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フィクションと言い張った妖狐のデグラス

妖怪の中でも知名度のある妖狐ですが、これについて克明に描いた小説があります。
それが長崎文理の残した狐ものがたりです。
これは父親である長崎半七郎の経験を書いたものであり、ドキュメンタリーとは言い過ぎですが、実際の妖狐について的確な記述が多いです。

長崎半次郎は若かりし頃、親戚だった長谷川源次郎の家に住んでいました。
その家で雇っていた14歳の小侍の様子がおかしくなったのです。
清めよ清めよと言いながら、床の間に勝手に上がった挙句主人に合わせろと言い出しました。

帰ってきた源次郎はおかしくなった小侍と話をしたのです。
狐が数日小侍の身体を貸してほしいという頼みでした。

源次郎は面白そうなので、数日貸すことにしました。
狐と話すのは希少な経験ですから、話を始めたのです。

気にあったのは狐の身体はどうしたのかと、その狐は空狐という魂だけの存在です。
元々は狐だったのですが、犬に噛み殺されてしまったのでした。

この地に来る前は、江戸で仁王を流行り神にして寺を繁盛させたのに、和尚が傲慢だったので、見放したところ、あっさり寺が寂れました
その後は越後で剣術の師匠に憑いて、強くしたものの、やはり慢心するようになり見捨てたのです。
狐の力で相手には幻影を見せて一時的に強くなっただけだからです。

源次郎が不安になったのは狐がいる間は良くとも、去った後に問題が起きていることでした。
小侍は大切ですからね。

狐は説明します。
人に憑いて問題を起こす狐というのは野狐なのですと。

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狐には野狐と善狐がいます。
善狐は金狐、銀狐、白狐、黒狐、天狐の5種がいるのです。

善狐は困っている人には手を貸しますが、慢心している人は見捨てます。

小侍は何か問題になるばかりか、鼻に持病があるので、治しておくと源次郎に約束したのでした。
数日後、小侍は元に戻り、鼻も良くなったそうです。

表向きには小説と言っていますが、実話を書いています。
このように何か見えない力を得たとしても、それに慢心しない精神力など様々なものを身につけていく必要があります。
遠い道のりではありますが、見えない力を統合的に磨いていくのが重要です。


これからも良い記事を書いていきます。