手のひらに硬貨を乗せて差し出すスタイル

視覚障害者にとって、異国の地のお金の判別はなかなか困難です。

フィリピンの通貨は、フィリピン・ペソ(PHP)です。数字の前にPをつけて表します。紙幣の種類は、P20、P50,P100、P200,P500、P1,000の6種類あります。弱視の僕は、目を凝らせば何とか数字部分を判別できます。手触りでも多少のヒントがあります。P20は結構ヨレヨレの場合が多いです。店先でお金を判別するのは落ち着かないので、家にいるうちにお金を並べたり、大きい金額は折っておいたりしています。

また、硬貨は、P1、P5、P10の3種類ですが、いずれも新硬貨と旧硬貨が両方流通しています。つまり、6種類の硬貨があります。さらに、P1より小さい単位の補助通貨としてセンタボ(¢)というのもあります。¢50と¢25があるので、合計8種類の硬貨があります。センタボは軽くて小さくて、色もシルバーなのでわかりやすいです。問題は新旧混ざっているペソの硬貨です。僕は目で硬貨の数字を見ることができず、自分でまだまだ判別できません。子供に手伝ってもらうこともあります。お店の人を信じて、手のひらに乗せた硬貨から必要な硬貨を取ってもらったりすることもあります。

手のひらに乗せた硬貨から必要な硬貨を取ってもらうスタイルは、日本でもそのようにしていました。日本にいたときは、「日本は安全だから」と思っていたし、「外国ではできない」と思っていました。でも、いざ外国に来てみると、外国に来ているときこそこのスタイルが必要。手のひらに硬貨を乗せてお店の人に差し出すとき、ちょっとドキドキします。「相手に委ねすぎか!?」と思ったり、「正直に頼むよ!」と思ったりしています。もっと目が見えなくなってもこのスタイルで世界を渡り歩いていくのか、はたまた世界に電子マネーが普及するのが先か、これからの展開が楽しみです。

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