中川 テルヒロ

光のない世界の専門家 / 視覚障害当事者(中途・弱視) / 一般社団法人 PLAY… もっとみる

中川 テルヒロ

光のない世界の専門家 / 視覚障害当事者(中途・弱視) / 一般社団法人 PLAYERS 理事

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助けてもらうことが当たり前になっちゃっていた自分

先日、新宿駅で山手線に乗ろうとしたとき、ホームに立っていた女性に白杖が少しぶつかりました。 僕は「すみません」と言った流れで、「山手線に乗りますか、電車が来たら教えてもらえませんか?」とお願いしました。 「はい」と簡単に返事をもらいました。 そして、しばらく電車の到着を待ちました。 電車が駅に到着したとき、「電車が来ましたよ」と声をかけてもらいました。 僕は、「ありがとうございます」と言った後、「乗るところまで肩を貸してもらえませんか?」とお願いしました。 すると

    • 福岡のタクシードライバーのおじさん、乗った最初は無愛想な感じで機嫌が悪いのかなと思うことがよくあります。でも、大抵の場合、降りたときの移動のサポートが手厚くて情に厚い。

      • SONY「XRキャッチボール」を銀座で体験できます!2023年7月11日~7月25日

        目が見えなくなってあきらめたことのひとつがキャッチボール。 2021年のソニーさんのインクルーシブデザインのワークショップに参加したとき、そのように話しました。 そこから生まれたのが「XRキャッチボール」。 今回、このXRキャッチボールを銀座で体験できるみたいなのでお知らせします。 しかも、離れた2拠点をオンラインでつないでキャッチボールするとのこと。たまたま同じタイミングで居合わせた向こう側の人と一期一会のキャッチボールをぜひ楽しんでみてください! パークラボ E

        • 視覚障害者向け音声ガイドから思う

          ティーバーの解説放送やNetflixの音声ガイドは本当にありがたい。 それに慣れた結果、今度は音声ガイドの付いていないコンテンツを見続けられないことがある。 音声ガイドがないとき、時間は経過していくのにストーリーについていけない自分がいて、ついていけないことに耐えられないと、視聴をやめてしまう。 ついていけないというのは置いてけぼりをくらっているような気持ちがして、どこか虚しくて、どこか悲しい。 こういうちょっとした気持ちを今まで見ないようにしてきた気がする。 何かが足りない

        助けてもらうことが当たり前になっちゃっていた自分

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        • Xデーに失明する男のイマココ
          中川 テルヒロ
        • 【視覚障害者向け】心を整える11の言葉
          中川 テルヒロ
        • 視覚障害で不幸にならない生き方
          中川 テルヒロ
        • 海外移住・海外子育て in フィリピン・セブ
          中川 テルヒロ
        • 運命をひらく365日の質問
          中川 テルヒロ
        • 運命の人に出会う11のステップ
          中川 テルヒロ
          ¥300

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          2024年のGAADに登壇したい

          今日は、世界各地でアクセシビリティを考える一日。 Global Accessibility Awareness Dayです。 朝からYouTubeでのオンラインセミナーを見ています。 アクセシビリティに関するさまざまな取組の発表を聞いています。 発表内容の多くが、ウェブアクセシビリティ、情報アクセシビリティの話。 ホームページやアプリが使いやすくなるのはもちろん産生で、なんの反対もないのですが、 ウェブアクセシビリティの話はもうおなかいっぱいになってしまいました。

          2024年のGAADに登壇したい

          その人に質問をするのではなく、その人に質問を作らせる

          ほぼ日の学校にて、糸井重里さんと秋元康さんの対談を聞いて、最後の糸井さんのこんな一言が心にとまりました。 「その人を表すというのが、その人に対する質問を100並べたら表れると、みんな思ってた。 だけど、今日初めて思ったのは、 その人を一番よく表すのは、その人に質問を100個作らせることだね。」 それに重ねて書くのはおこがましいところではありますが、 僕がPLAYERSで「視覚障害者からの問いかけ」というワークショップをやっていて思ったのがこれと似ていて、 視覚障害者に

          その人に質問をするのではなく、その人に質問を作らせる

          視覚障害者が一人でビジネスホテルに宿泊したときに体験したハプニングいろいろ

          2ヶ月に1回ぐらいの頻度で一人で出張します。ビジネスホテルに泊まったときに視覚障害者として体験したいろいろなハプニングについて書いてみました。 冷蔵庫の中のおにぎりが冷たく固くなっていた 冷蔵庫の設定温度が一番低くなっていたみたいで、前夜に買って入れておいたおにぎりが朝になったら冷たく固くなってました。設定温度のダイヤルをちゃんと確認しなかったことでそんなことになりました。チェックインのときにスタッフの方に確認してもらうか、ビデオ通話で人の目を借りて確認しておけば避けられ

          視覚障害者が一人でビジネスホテルに宿泊したときに体験したハプニングいろいろ

          視覚障害者が一人で出張・旅行したときにチェックインしてからホテルの部屋で確認すること一覧

          だいたい2ヶ月に1回くらいの頻度で東京や大阪に出張に行っています。その際、いつもビジネスホテルに宿泊します。ホテルに到着して部屋で一息つくまでに色々と確認をするので、それらをまとめてみました。 できれば事前にホテルへ連絡を入れておくそもそも予約時にホテルへ一言連絡をしておくと親切です。自分が視覚障害者であることとチェックイン時に部屋への案内や部屋の構造の説明をしてほしいということを伝えます。それは予約時のフォームの備考欄でも構わないし、電話で連絡してもかまわないと思います。

          視覚障害者が一人で出張・旅行したときにチェックインしてからホテルの部屋で確認すること一覧

          中川テルヒロのプロフィールと実績

          1980年生まれ、奈良県出身。福岡県在住。趣味は読書とランニング、好きな漫画はHUNTER x HUNTERです。10歳頃に発症した網膜色素変性症のため、現在は左目が全盲、右目が中心のみ見える状態です。最近の目標は毎月どこかへ出張することです。既婚、一男一女の父親。一般社団法人 PLAYERS 理事。 続いて、これまでに視覚障害者という側面を生かして関わったプロジェクトを以下に紹介します。 『XRキャッチボール』SONYインクルーシブデザインのワークショップにリードユーザ

          中川テルヒロのプロフィールと実績

          マイクロアグレッションを思い出して心がチクリとしたときの処方箋

          本を読んでいたら「マイクロアグレッション」という言葉が出てきました。それまでこの言葉を聞いたことがなくて、初めて芽にしました。小さな攻撃性という意味らしいです。詳しくは検索してみてください。 本の中の例を読んでいると、いいのか悪いのか、自分の受けたマイクロアグレッションを思い出しました。 例えば、「誰だかわかる?」と名乗らずに声をかけられて、「声だけで誰だかわかったりするんでしょ?」と話しかけられたことを思い出しました。 問題は、これを思い出したあとの自分の心の処理です。

          マイクロアグレッションを思い出して心がチクリとしたときの処方箋

          視覚障害者が使うスクリーンリーダーに配慮した文章の書き方

          この記事では、視覚障害者がパソコンやスマホで使う音声読み上げやスクリーンリーダーに配慮したメールや文章の書き方について、僕なりにポイントをまとめてみました。 なお、僕が普段使っている動作環境としては、iPhoneではVoiceOver、パソコンではNVDAというスクリーンリーダーを使っています。 では、早速一つずつ書いていきます。 1. 文の最後の句点「。」ごとに改行を入れる 一般に公開される記事などで一文ずつ改行が入るのは良くないので、あくまで視覚障害者向けのメール

          視覚障害者が使うスクリーンリーダーに配慮した文章の書き方

          視覚障害者が一人で旅行・出張するときのホテル選びのポイントは?

          だいたい2ヶ月に1回ぐらいの頻度で、一人でどこかに出張しています。大阪や東京といったよく行く場所もあれば、初めて行くところもあります。そんなときの宿泊先選びのポイントを視覚障害の当事者の立場からまとめてみます。 まずは沿線、最寄り駅を選ぶ もちろん宿泊料金はホテル選びの大事な要素ですが、それを差し置いて考えるなら、最も重要なのは駅選びと駅の出口からの徒歩での所要時間です。 まず駅選びですが、新幹線の駅や空港の駅から乗換なしで直通で行けるところを探します。そもそも視覚障害

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          目が見えないことを免罪符にして

          目が見えないという免罪符がなかったら、人に自由に助けを求めることができないということに気づいてしまった。 「人に自由に助けてほしいと言えることは人生で大切なことですよ。」なんて、自分があたかもそれができるかのように人に説いていたことが恥ずかしく思われます。 目が見えないことでようやく成長できてきた部分があったように思っていたけれど、根本で変わっていない部分があるなって。 ずっとお釈迦様の手のひらの上にいるってこんな漢字なんでしょうか。

          目が見えないことを免罪符にして

          年を重ねるってのも悪くない

          目が見えないと、一人で外出するときは、途中途中で人に助けてもらいます。 そんなとき、自分で声をかけて助けを求めるのですが、すぐに人をつかまえられないことが多々あります。 そもそも人が少ないとか、人はいるんだけど自分よりちょっと遠いとか、有機が出なくて僕の声が小さいとか。 助けてくれる人と出会うまでのほんの1~2分が、すごく長く感じます。僕はこの時間があまり好きではない。 それでも最近、こういう苦手な時間があるのも大事なのかなと思えるようになってきました。 我慢してし

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          ブラインドトランスフォーメーション

          デジタルトランスフォーメーション、略してDXという言葉が日常的に世間を飛び交うようになりました。 (ちなみに、Transformationを略すときにXになるのは英語の監修らしいです。) 年齢はたとえですが、60代以上の人にとってはDXに適用していくことに困難を感じる人もいるようです。 新しいシステム、ツール、ウェブサイト、アプリに慣れていくのは、人によっては大きなストレス。 最近では、そんな人にもスムーズにDXを浸透させていくにはどうしたらいいかという記事もあるほど。

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          視覚障害とタッチパネルって相性悪い

          目が見えない代わりに手で触ることでなんとかするのも視覚障害者のスキル。 クレジットカードの暗証番号の入力は、数字の5にポチがついているから入力できます。 でもこないだ暗証番号の入力がタッチパネルになっている端末がありました。なんか結構ショックでした。 タッチパネルの方がかっこいいから?新しいから?これにしちゃおうみたいなノリなんでしょうか。。。 今まで通りのボタン式でもいいんじゃないの?僕から「できること」を奪わないでという気持ちになりました。 タクシーの料金支払い

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