身体障害者がネガティブな感情と上手に付き合うための3つのステップ

身体障害者の抱える悩みは、健常者とはある種異なります。

「できていたことが、できない。」

「健常者と同じように動けない。」

「健常者と同じタイミングで同じように状況を把握できない。」

これらの悩みは、悩みそのものが問題になるのではなく、これらの悩みによってネガティブな気持ちが湧き上がってくるのが一番厄介です。

『自分は人よりも劣っている。みじめだ。』

この気持ちが湧き上がってくると、非常にツラいです。劣等感ほど厄介なものはありません。自分は人よりも負けている、勝ちたい。でも、身体の不自由さはどうしようもない。ではどうすればいいか。

1. 自分が何を感じているかを理解する

自分がどんなことに哀しみや憤りを感じるのかを理解することが大切です。

うまくいかないことがあったときに反射的にイライラしたり、ツラくなったりしてしまうことがあります。しかし、そこでそれ以上深く考えるところまでなかなかいきません。一度立ち止まって、なぜイライラするのか、なぜツラく感じるのかを考えてみてください。そのときが無理でも、あとで気持ちが落ち着いたときでも構いません。「自分がみすぼらしく感じるから」という考えが浮かんだら、なぜそのように感じるのかをさらに考えてみる。できれば、紙に書き出してみると良いと思います。

自分がどういうロジックでイライラするのかを理解できると、次に同じ状況になったときに反射的に感情に振り回されにくくなります。もし結果として感情的になったとしても、これまでの自分のあり方と少し変わってきます。自分の心の動きを繰り返し観察することで、反射的に感情に振り回されることがどんどん少なくなります。

2. 自分に力を取り戻す

1で触れたように、感情に振り回されているか、感情を客観視しているかでは、大きな違いがあります。感情に振り回されているとき、自分の人生の主体性が失われています。感情を客観視しているとき、自分の人生の主体性を握っています。

ある意味で人生は不公平にできています。生まれた地域、両親、持って生まれた身体など、人それぞれ与えられた条件が異なる状態で生きています。身体障害の有無もその一つですが、身体障害の有無についての不公平さを嘆くことにはあまり意味がありません。なぜなら、人生が不公平であることは、当然だからです。

不公平さを嘆く被害者の立場から脱するには、身体障害があることの弱み、強みは何かを避けずに考えてみてください。車椅子に乗っていることの弱みや強みは何か、耳が聞こえにくいことの弱みや強みは何か。行動が制限されることは弱みかもしれませんが、目線が低いことは強みになるかもしれません。耳が不自由なことで得られる世界観は、他の人には真似できないユニークさを持つかもしれません。

被害者として状況を嘆き悲しむよりも、運転席に座って自分の人生を生きることが大切です。人生は不公平にできていますが、自分の与えられた状況から日々何を選択するかについては、その権利が万人に公平に与えられています。本田健さんが伝えている私の好きな言葉です。

3. 自分のやりたいことに取り組む

1と2を通して、個別の状況や自分の人生に対する視点の切り替えがある程度できるようになります。しかし、それだけではまだまだネガティブな感情に引っ張られるかもしれません。最後tにお伝えしたいのは、自分の好きなこと、やりたかったこと、楽しいことに取り組む時間を増やすということです。

人間の心は同時に2つのことを考えることができません。富士山のことを考えないでくださいと言われると、ついつい富士山のことを考えてしまい、他のことを考えられません。これを利用すると、ポジティブな気持ちのときに同時にネガティブな気持ちになることはできません。そのため、人生の中でポジティブなことに触れている時間を増やすと、ネガティブなことを考えている時間が自ずと減ります。

そこで、自分がずっとやりたかったことや楽しいこと、好きなことに取り組む時間を増やしてほしいのです。子どもの頃に好きだったものに触れるのもいいかもしれません。また、子どもの頃の夢にもう一度挑戦してみたり、読書が好きならもっと本を読んでみるのも良いと思います。好きな友達と会って話をしたり、好きな食べ物を食べたりするのも効果的です。こうして好きなことや楽しいことを考えているうちに、気分が変わったり、ツラい気持ちを忘れていたら、私の伝えたいことが伝わっていると思います。


身体に障害があると、日常的に心の傷に触れているような感覚があります。しかし、健常者にもそれぞれの悩みや課題があり、日々落ち込んだりイライラしたりすることがあります。ツラいのは自分だけではありません。自分だけが不幸なのではありません。気持ちが不幸な方向に向いているだけです。無理に頭を上げる必要は全くありませんが、下を向いているときは不幸に感じるし、頭を上げて生きれば幸せに感じることが増えます。そのことだけはぜひ理解していてください。


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