企業の組織診断と、教育現場のやる気把握

どんな会社でも最近は従業員満足度調査を実施しているのではないだろうか?満足度調査という言い方だったりエンゲージメントサーベイという横文字だったり、質問項目も様々なタイプのものがあるが、基本的には各社員から見た今の組織や上司の満足度、等々を聞く。

組織としての健康診断であり、管理職にとっては自らのチームの健康状態や不満を吸い上げるための仕組みでもある。

以前コンサルティング会社に勤めていたときに、あるプロジェクトではクライアント企業の各部署が自部署の評価のみならず、関連部署の評価を相互に行う、という調査をやったことがあった。つまり縦割り組織の弊害がどのチーム間で一番起きているか、部署間コミュニケーションが悪化しているのはどこか、を把握するためである。例えば営業部門から見て開発部門に対する不満は大きいのに、逆はそうでもない。法務部門は広報に対してプロフェッショナリズムが欠けていると少し思っている、等々。この調査結果はクライアント企業の経営陣に妙にウケた。ただ面白がられた、という意味でもあるが。。。

たいがいの従業員満足度調査は1年に1回か多くて四半期に1回くらいだと思うが、私の勤めている某グローバル企業では毎日行っている。つまり社員が毎朝会社に来てPCを立ち上げるといきなりポップアップ画面が広がって、1−2問回答させられるのだ。

最初はウザいものだな、と思っていたがこれが慣れてくる。1−2問なわけなのでものの10秒程度しかかからないし、毎日違う質問なので時々考え込まされて面白かったりもする。

ちなみにどんな質問かというと、「上司に満足していますか?」「この組織の方向性をきちんと理解できていますか?」「自分の仕事は正しく評価されていますか?」といったごくごく普通のものから、「チームメイトに満足していますか?」「業務に必要な情報やツールは十分ですか?」「上司の上司には満足していますか?」「最近上司と来年の個人的な目標について話しましたか?」「この部署は情報が完全でなくてもスピーディな決断で進んでいますか?」「カスタマーを理解するアクティビティをこの1ヶ月で何かしましたか?」等々具体的に問題をあぶり出すための質問もある。

毎日質問は違えど、基本的な「上司に満足していますか?」は数週間に1回程度で同じ質問をされるので時系列での分析も可能だ。ちなみに誰がどの回答をしたのかは見えないようになっている。

これが管理職の立場だと、非常にこの結果が便利なのだ。

まず自分への評価を定期的にチェックできることがある。毎週1on1のミーティングをやっていても毎週「俺ってどう?」と聞くわけではないし、業務に多忙になると、上司として対応がまずかったものがあるか自分で気付けないこともあるが、この調査結果の評点が下がっていたりすると明確に発見できる。

また数字が平均よりも高い・低いことをより具体的にチームに聞いて改善に繋げられる。単純にチームミーティングで「最近、みんなの覇気が下がっているように感じているんだけど?」と上司が投げても「そうっすかね。毎日普通にやってますよ」と言い返されるとそこで議論が深まらないことがある。

でも「このモチベーション質問への評点が先月より0.2ポイント下がっているけどこれって何か原因思い当たる?」と聞くと、評点が下がったこと自体が歴然とした事実なので深堀るしかない。そうなると「そうなんですね。そう言われるとそうだなー。もしかしたら先月リリースされた社内ツールがあまりにも使いにくくて事務作業が増えて逆に生産性下げてる、って言っているやついっぱいいますよ。ツール活用促進のプロジェクトに入っているXXさん(私のこと)には言いづらかったですけど」、という正直な話が出てきたりもする。

また点数の低い項目をチーム全員にさらして、「組織の方向性が見えないって評点が低いけど、どうしたら改善できるかディスカッションしよう」とチームミーティングに使うこともできる。「それって上司の仕事でしょ?」という反応もあるが、常にこの調査結果の評点を赤裸々にさらしておくことでいつのまにか「上司がなんとかして上げるべき項目」から「チームとして上げるべき項目」として意識が少しづつでも変化することがある。

翻って、教育現場では朝の登校時の挨拶時に先生たちはあまり浮かない顔をしている生徒を発見することもあるし、朝会で出席を取るときに顔色や気分を探っていたりもする。そうして昨日と違う雰囲気の子を休み時間や放課後にそれとなく聞いてみる、ということもやられているだろう。

だが、上記のようなツールの力を借りてもいいのだろうと思う。ミネルバ大学のようによりオンライン授業が普通になってくれば必ず朝にログインするので、こういったツールはやりやすくなる。リアルな学校現場でもなんらか朝のチェックインをオンラインで行えばできる。普段は掲示板に紙として貼られるべき情報を朝登校したてきに生徒がログインして見るようなツールとタブレットくらいあれば出来てしまう。出席簿代わりでもあるし。

学習歴ログの管理も重要だが、日々のモチベーションがどう上下しているか、どの教科のことを憂鬱に思っているのか、等々毎日一人一人から秘密裏に聞くことが出来れば先生方も実は非常に助かるのではないか、と思う。


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3人娘の父。自分の子供が小学生になり教育への関心高まる。グローバル企業にて日本やアジアマーケット向けのSales&Marketingに従事しながら、日本の教育に思いを馳せる。グローバルビジネスの経験を日本の子供達に還元していくことを目標に日々是精進。
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