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タスク管理をもっかい試し直す

香川照えです。

先日、会派の研修でタスク管理についてGTDを中心に語らせてもらい、小規模チームでの安価な情報共有とタスク管理の設計として、

電話連絡をチャットワークというサービス(無料)に一本化し、タスク管理をTo doistというサービス(月額400円くらい?)に一本化する

という運用をしてきたのですが、前日夜にTo doistで事務局に割り当てたタスクについて、午前中に外出機会があり、できれば午前中に一緒に対処してくれれば二度手間にならなかったのになあ、というようなタスクが午後に持ち越されるようなことが起こり、まあそこまで大したことではないものの、タスク管理がどうなっているのか気になり、ひとつ事務局と話をしてみました。

もちろんお互いに徹底不足だったことが原因だということになるのですが、私としては、事務所内でのタスクの割り当て機序は限られており、

①日中、事務所にいれば口頭
②日中、外からだと、電話か簡単な指示ならチャットワーク、資料がある場合はメールで資料のやりとり(ただし日中リアルタイムでメール閲覧をするとは限らないのでメール単体で仕事の依頼はしない)、
③夜間にタスクが発生する場合は、事務局デスクにクリアファイルで関連資料まとめて付箋で指示、もしくはTo doistで期限付きタスクとして割り当て

というパターンに限られますので、朝イチは③だけの確認です。

デスク上を確認し、To doistを開くというルーティンが行われてさえいればたいてい把握できるものとたかをくくっていたのです。午前中私が不在でもタスクに着手できるはずと。実際今回は、To doistで指示したタスクをこなす際に必要となるデータはメールで送っており、メールを開かないとタスクがいまいちわからなかったということだったようです。メールと合わせて読めばわかるものの、そもそもメールを読んでいなくて午前中にはタスク自体に気づけてなかったということでした。

私としては、そこはわかって欲しかった面はありますが、やはりミスの生じる枠組みであれば改善しなければ、と思い返すことにしました。
とはいえ、事務局提案の、To doistの方でもメールに元資料があるよと注意喚起をするか(これをしていればもちろんベスト)、チャットワークでその旨わかるように指示をするとかしてくれると助かる、という要望には乗れません。

タスクを二重三重に気づけるような案内をする、というのは、もちろん慎重でいいのですが、そもそもせっかくシンプル化したタスクの機序を複雑にするうえ、依頼時点での私の負担ばかりが増えることから、仕事が立て込んだときに余計にミスが起こるリスキーな土壌を生み、また、結局事務所としての成長に繋がらないので採用はできません。そのため、こうしたロスを避けるために根本的な問題に踏み込むことにしました。手間をかけずにタスクの意味が把握できて事務局が自律的にすぐ動けるための仕組みを作る、ということです。

そもそも、タスクについてはチャット的にタイムラインに消えていくと使い勝手が悪いのでチャット型のサービスは採用せず、タイムライン型の連絡関係とタスクは別立てとしてそれぞれ単一機能で運用することとしてきました。タスク管理については、UIのみやすさや使い勝手からTo doistを選んだものの、結局のところ、今回の不具合は、サービスやアプリの問題ではなく「文章的に端的に整理された状態で他者から割り振られたタスク」というものはその前提や背景が捨象されてしまってわかりにくく、「ん?なんだろこれ、イチから作れということなのか、作ったものを元に作業しろということなのかわからないな」ということになり動き出しにくい、徹底が不十分になりやすい、というリスクを抱えていたことに気づくことができました。

特に弁護士の仕事は、時系列的にいつどんな形で連絡(しかも媒体も電話、事務所面談、外部面談、メール、ファックスといろいろ)があって、そこで相手とどんな会話ややりとりが交わされて、何が事務局のタスクとして発生するのかを事務局自身が正確に掴むには、情報や進捗などの途中経過がきちんと共有されていることが必要になります。しかし、弁護士は事務局が不在の時間にやたら情報収集をしたり関係者とやりとりをするし、事務局も仕事で事務所を空けて外回りをすることもあるし、有給休暇などで情報が1日分抜けてしまうこともあるし、弁護士が勝手に事務局の仕事をワンステップ進めてしまったりかえって後退させたりするし、突如猛烈なスピードで文書を作成したりします。弁護士と事務局の持っている情報はズレる一方になります。

それゆえ、前提となる情報や進捗が共有されていない中で、タスクソフトの端的な文章ひとつ、付箋紙一枚でタスクを振られても事務局もわからない場面も出てきますし、弁護士としても結局「そんなことせんでええねん」「それはもっとさくっとしてほしかった」というような間違った処理がなされるリスクを抱えるわけです。

さてどうしたものかと、ちょっと愚痴混じりに他の弁護士に話してみると、「うちはいろいろ検討して事務所内のタスク管理としてstockというサービスを使うようにしました」とのコメントをもらいました。

新しもの好きなのと、ちょっと今のシステムで間違いが起こりやすいことに凹んでもいたので、早速stockを試用してみましたら、なかなかいいというか、私のように外出機会が多く、夜間に書面仕事やタスクを進めるタイプの弁護士にとってはかなり有用なサービスであることがわかりました。

詳しくはstockの公式サイトに譲りますが、個人的には、「電話連絡+タスク割り当て」には止まらない、「案件単位での漏れのない情報(電話連絡、面談記録、手続きややりとりの流れなど)の共有と、チームでのタスク管理」が一連で行えるサービスというところに魅力を感じました。上述したような弁護士業務にありがちな弁護士と事務局の持っている情報のズレがかなりカバーされるという点は大きなメリットがあります。お互いが発生したタイミングで情報を一つの箱に放り込んでさえおけばいいのです。

↓ 実際のPCのアプリの画面(電話連絡フォルダを開いて「メッセージ」をクリックした状態。何か処理を行うとここに現れます)

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情報の名札やサイズは後からいくらでも変えられるので、とりあえずinbox感覚入れておきさえおけば取りこぼすことはありませんので安心です(わからなくなってもキーワードで検索すれば拾えますし)。そうやって、時系列的な(いわば縦軸の)情報処理と、案件ごとの(いわば横軸の)情報蓄積と、これらをベースとするタスク割り当てが一つのアプリでシンプルに完結するのです。

PCで「Aさんとの面談記録」のノートを開いたまま、右上の「タスクを追加」を押せば、Aさんの案件のデータに紐づいた形でタスクが作成され、しかもタスクばかりがソートされた画面に移行すれば、あとは面談記録のノートは見ずに「タスク」の一覧だけ開いてサクサクタスクをやっつけていけばいいのです。逆にタスクを見ていまいち何をするんだったのかわからなければノートに戻れば理解可能になります。

たとえば、弁護士が事務所不在で依頼者のAさんから電話連絡があった場合、「Aさん ●●事件」というフォルダなりノートを作成しておき、そこに電話で聞き取った内容を入力すると共に、「メッセージ」というアイコンをクリックして「Aさんからお電話がありました」と入力し、すぐにかけられないような状態であれば「タスクを追加」をクリックして、「Aさんに折り返しのお電話を」と入力しておけばいいのです。こうした情報はフロー情報として弁護士側のスマホに通知されると共に、「Aさん ●●事件」というノートに紐づいた情報として同時に蓄積されていきます。ですから、「いつ電話あったっけ?」とか「前、何を話したっけ?」ということを事務所の記録を見なくともstockを見ておけば外出先からでも対応できるのです。これはGTDとの相性も相当いいのではないかと思います。

ということで、チャットワーク+To doistによる案件管理から、stockに移行してまだ営業日では2日ほどですが、これはなかなか快適です。

またうまい使い方がわかれば書いてみます。

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