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のっぱらへでかけよう!vol.4

てるさんの野遊び子育ち日記
「northern style スロウ」vol.64 Summer 2020 掲載

最北の地にも夏がやってきました! と言っても、他から見ると、夏とは思えない過ごしやすさだと思います。稚内市街地より少し気温が高めのここ上勇知でも、30℃を超える日は片手で数えられるほど・・・それでも、こども達は川や海、もちろん野原でも夏を満喫しながら野遊びに興じています。

暑くなるに連れて、野外のあちこちで生き物の活動が盛んになってきました。昆虫達はもちろん、水辺の生き物も姿をたくさん見せるようになっています。当然、その姿を見つけるとこども達はスイッチオン! チョウチョやバッタを見つけると虫網と虫かごを持ち出して追い回しますし、魚を見つければタモ網とバケツを持ち出してザブザブ川に入っていきます。そして、ある程度捕まえると、今度はその生き物を触りまくります。時には弱らせたり死なせてしまうこともありますが、この直接生き物に触れる経験がとても大切だと考えています。そこには、図鑑や映像などからは得ることができない生の感覚があります。甲虫の硬い質感、イモムシやミミズの柔らかい感触、魚のひんやりしてヌルヌルする感じ、また乱暴に扱うと脚が取れてしまったり、死んでしまったり・・・触れてみないと絶対に分からないことばかり。また、実際に手に取ると自分の興味で細部を知ることができますし、生で見る色彩は写真とは明らかに違うでしょうし、もしかしたら独特な匂いもあるかもしれません。触る以前の実物が目の前にあるワクワク感や触っても大丈夫なのかというドキドキ感も含めて、こどもは直接触れることでその生き物を確かめて、それを総体的に理解できるのだと思います。

しかし、最近のこども達を見ていると、生き物に直接触れることができなくなっている印象を受けます。自分で捕まえたくて網を持ち出し何度も失敗してようやく虫や魚を捕まえても、どうしても触ることができず網から虫かごやバケツに移せない場面が増えました。また、虫などの小さな生き物が側に寄るだけで大騒ぎしたり、そもそも野外で遊んでいるのに服が汚れたり濡れることを嫌がったり、もっと言うと手を汚すこと自体できない子が増えている気がします。以前ある幼稚園のこども達と野遊びしていた時、手を汚したくないがために野原で転んでも手の平をつかずに肘をついて受け身をとっている子がいて驚いたことがありました。(受け身をとっただけまだましかもしれませんが・・・)

なぜこんな状況になってしまったのかは、野外で遊ぶ機会が減ってしまったからに違いありません。ゆうち自然学校に遊びに来るこども達を見ていると、最初は野遊びに不慣れでも回数を重ねる毎に慣れていき、いつしか手や服の汚れを気にしなくなり、個人差はありますが虫網を使わず素手で虫を捕るようになったり、長靴から水が溢れながら魚を追い回すようになったりします。ですので、お父さんお母さんは、億劫がらずにこども達をどんどん野外に連れ出して下さい。そして、服が汚れても濡れても、捕まえた虫を見せに来ても、できるだけ(がまんして)笑顔で受け止めて、決して眉をひそめず小言も言わないようにお願いします。小さなこどもは、最も身近な人が嫌がったことには敏感に反応します。虫嫌いな子が増えたのは、案外お父さんお母さんの影響かもしれませんね!

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