ISLM分析

こんにちは、teruです

大学時代から経済学は学んでいましたが、ようやくISLM分析に理解が追い付いてきました、自分用のメモを兼ねて要約していきます


図はwikiから拝借

ISLM分析は縦軸に金利、横軸にGDPを取って、双方の関係性を表す分析ですが、ISとLMで違う点は視点が財市場(モノ)か、貨幣市場(お金そのもの)かというところです

・IS曲線

IS曲線はInvestmentとSavingの頭文字をとっているだけあって、投資と貯蓄のバランスが取れるポイントを結んだ線になります
個人の財布もそうですが、供給されたお金は一定の税金を徴収されたのち、可処分所得と呼ばれる自由の利くお金が残り、それをいくつかは貯金に回し、他は生活費、遊興費、自己投資と様々使われていくわけです

で、なぜGDPでこれを観測しようとしているのかというと、GDPは消費+設備投資+政府支出+(輸出-輸入)で表せるからです
我々の消費が増える、企業が将来性を見越して大規模投資を始める、政府が援助を手厚くするといったことでGDPは増大していきます

ではこれが金利によってどのようにして反応するのでしょうか
まず金利が3%から1%に変わったとしましょう
すると我々や企業が借りるお金にかかる利息は2%分も下がったことになります、かなり利子負担が軽減されますね
ということは、今まで買いたかった家や車を我慢していた人々がローンを組んで思いきって購入してみよう!となりやすくなるわけです
企業も同じで、銀行からの融資の返済負担がかなり減りますから、新規投資に乗り出しやすくなります

ということは上述したGDPの式に当てはめると、消費や設備投資が増えていきますので、金利の低下をもってGDPは上昇するということになります

逆も然りで、金利が3%から5%になると、むしろ借り入れの条件は悪化しますから、大きな買い物や投資は手控えようという動きが想定されますから、先ほどとは逆にGDPの低下が想定されます

で、この例で言及した金利が1,3,5%の時のGDPを結んだ線がIS曲線というわけです

ちなみにこの線自体を左右に操作することもできます
上記の通り、金利に反応して消費や投資は動いてしまうので、政府が手を加えることができる部分は政府支出、あるいは輸出になります
また最初に述べた通り、可処分所得は税金を引いたのちの数字なので、税額を調整することでも余剰資金を増やし、消費や投資を喚起することは可能です
このようにして政府支出、輸出、税金を調整すると、金利を動かさずともGDPに変化が出るので、IS曲線自体が横にシフトするような動きが出るのです

・LM曲線

一方LM曲線はLiquidity preferenceとMoney supplyの頭文字をとっており、貨幣需要と貨幣供給のバランスが取れるポイントを結んだ線となります

そもそも貨幣需要/供給とは何か
貨幣需要は文字通りお金が必要とされている度合いですが、この需要には二種類あります

一つ目は取引需要、売買で共通の価値尺度として使われるお金が必要とされている度合いです
で、売買が盛んにされているということは、モノを買って使いたい、機械を買って設備投資したいというニーズが高いわけですから、GDPに関連する項目というわけです

二つ目は投機的需要、資産としてのお金を持ちたいというニーズの度合いです
で、資産として持つからには、売買などの予定がなければ、債券などでの運用を行うため利子が期待できるのです
ということはこのニーズは、自分の貸したお金にいくら利子がつくのか、および債券価格の変化、つまり金利に左右されるのではないかと考えることができます
(一応債券価格について言及しておくと、満期までの年限で売買がしにくい債券は、市場の金利が変化すると、後発の債券のほうが有利かどうかで価格が変化します、今より低い金利で発行されるなら今の債券の価値が高まりますが、もし高い金利で発行されるようであれば、今の債券が相対的にしょっぱい条件になってしまうので価値が下がります)

次に貨幣供給、日本でお金を作れるのは日銀だけですから、日銀がいくらお金を市場に流しているのかに注目すればいいです(ちなみにこの市場に流通するお金の総量のことをマネーストック、マネーサプライと呼びます)

ところが、この総量だけに注目することには一つ、大きな欠点があります、それはインフレです
極端な話をしますが、たとえ市場に5億円あっても、パンの値段が一夜にして100円から1000万円に変わってしまったとしたら、パン500万個が50個に変わってしまうのですから、499万9950個のパンが吹き飛んでしまったことになります、これで供給は一定ですと言ってしまっていいのでしょうか

なのでこのマネーストックを物価で除したものが貨幣供給となります

で、経済学をやった人ならもう常識になってるかと思いますが、市場経済では需要と供給の均衡がとれるところで価格が決まるという原理がありますが、貨幣も同じというわけです

つまりこの貨幣需要と貨幣供給に何かのはずみで均衡が崩れたら、すぐさま不均衡を是正すべく、市場のメカニズムが働くのです

例えばGDPが上昇した場合、貨幣需要の取引需要で述べたように、売買目的でのニーズがより高まるわけですから、このままでは貨幣需要だけが大きくなってしまいます
そこで人為的にすぐに変えられる項目として金利が挙げられるのです
この時金利を上げると、債券価格の下落を招き、投機的需要を下げることができるので、GDPの拡大で広がった取引需要に対し、同じ程度の投機的需要の縮小を利上げで起こせば、均衡を保てる、ということです

これは逆も然りでGDPが下がったときに取引需要が縮小したところに、利下げで投機的需要を喚起すれば均衡が保てるのです
このバランスが取れた点を結んだものがLM曲線というわけです

ちなみに貨幣供給側の変化はLM曲線自体の横シフトを起こします
市場に出回るお金が増えると貨幣供給が増え、不均衡解消のために貨幣需要が上昇、金利が変わらないならGDPのみでこれを調整するので同じ金利水準で見ると、変化後のLM曲線のほうが右側に位置するはずです
一方物価が上昇した場合、貨幣供給が下がり、不均衡解消のために貨幣需要が下落、金利が変わらないとするとGDPのみでこれを調整するので、同じ金利水準で見ると、変化後のLM曲線のほうが左側に位置するはずです



長くなったのでこんなもんで一回終わります


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