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型月第5魔法「魔法・青」の考察

こんにちは,テルです.
今回はこれまでと全く異なり,Type Moon(通称,型月)で語られる魔法に関する自分なりの解釈を掲載します.おそらく,このチャンネルで最初で最後のゲーム系のnoteになると思います.

  • 注意1:このページを覗きに来る読者は,おそらく型月世界の魔法について大方の知識を持っていると思うので,その説明はしません.ご了承ください.

  • 注意2:長いです.目次機能をご利用ください.


第5魔法の本質:世界の知覚

結論から言います.一言で述べるならば,第5魔法の本質は「世界の知覚」であると考察しています.
つまり,蒼崎青子と青子の祖父は,時空間を正しく知覚できることが本質にあると解釈できるのではないかと思っているのです.(第2魔法で並行世界が証明されているため,より正確には「自身の存在世界の知覚」かもしれません)

何言ってんだ?と当然思われると思います.ですので,妄想を以下で語っていこうと思います.

なぜ意義を失った?

魔法の説明の時に必ず出てくる説明「とっくに意義(せき)を失っていた」ですが,実は従来の考察であまり見ないです(ないとは言わない).

意義と言うのは,日本国語大辞典によれば,以下の意味を持つそうです.

① 言葉などの表現によってあらわされる意味、内容。
言葉、事柄、行為などが現実にもつ価値。ねうち。多く、重要なものをいうのに用いる。

コトバンク, 日本国語大辞典より

すなわち,通常生きる私たちにとって,価値がなくなってしまったことが重要なポイントになると考えられます.
ここに私は違和感があるんです.価値がなくなったと明言されたにも関わらず,魔法として成立しているんです.

そこで,「人類が文明を築くにつれて注目しなくなったものはなにか」と考えることで,このヒントがあるんじゃないかと考えるわけです.

仮説:私たちは,錯覚の上に世界を知覚している

人類の文明が発展する上で注目しなくなったものは多くあるだろうけど,私たちになじみ深い事例を取り上げても問題ないと思います.ですので,「GPS導入によるイヌイットのナビゲーションスキルの喪失」を見てみます.少々逸れますが,理解のために,ご容赦ください.

GPSは皆さんも日々お世話になっているやつです.地球上での自分の位置が知れるやつ.これを地図と重ねると地図アプリの完成ですよね.
世界海事大学に所属しているclaudio aporta教授は,こんなことを報告してます.

(カナダ北部で生活する)イヌイットのハンターは,GPS導入によってナビゲーション能力が喪失し,彼らが今どこにいるのかを,GPS無しでは把握できなくなった.

Aporta, C., & Higgs, E. (2005). Satellite culture: global positioning systems, Inuit wayfinding, and the need for a new account of technology. Current anthropology, 46(5), 729-753.

要は,GPSを利用することが,自分の中での認知世界を作るのが難しくなったってことかと思います.これは私たちも同じで,機械を通して得た世界を知覚するようになってきているんじゃないか?と思うわけです.皆さんの周りにもいませんか?地図が全く読めない方が.

じゃあ機械ではないもので,こういった影響があったものはなにか?
私は,「文字」こそが該当するのではないかと思ってます.文字は大変便利でして,私たちが互いの考えを伝えるうえで重要な役割を担っているわけです.ただ,いつも思っていることがあるんです.

今使ってる言葉は,伝えたいことの一部しか表現できていない

私の語彙能力が低いだけじゃないか,ともお思いでしょうが,ちょっと待ってください.
今見ている文章から皆さんが得られる情報は,本当に全部伝わっていると言えますか?このページだけではなく,あらゆる本について,あなたは作者の想いを完全に受け取れているでしょうか?
私たちは十分ではないものの,必要な情報だけを文章で表現できているのではないかと思うわけです.

イヌイットもそうですが,昔は生活に必要なことを口伝での伝承に加え,実際に生活での経験が口伝で不足するものを補っている方式が主流でした.
しかし,文字が発達するとどうでしょう?言葉は文字となり,何かしらの媒体に刻まれることになります.
この媒体は時間も空間も越えられるので,大変便利になりました.当時の歴史を知るにも,文字のあるなしでは得られる情報は大きな差があるでしょう.
さて,ここで重要なのが,私たちは文字を通して世界を構築していると言うことです.この構造はGPSのお話と同じです.
タチが悪いのは,その情報は本物のように映ることです.時間をこえた物ほど,刻まれた媒体がその古さを教えてくれるんです.

うまく表現できていないでしょうが,私たちは文字や機械を通して得た,経験に基づかないが,知っているという錯覚のもとに,世界を知覚しているということが,ここで言いたいことです.

仮説:本当の世界は,私たちの知覚の外にある

私たちが錯覚した世界を知覚していることは,やんわりとでも伝わったかもしれません.
では,なぜ意義を失ったのかを考えます.
これはシンプルです.我々人類にとって意義がないだけであり,世界にとっての意義が失われたわけではないためです.

私たちが文字や機械に身を任せることで,長年必要な経験や口伝の理解は必要なくなったと思うのです.そうなると価値はどんどん下がるでしょう.非効率で,発展のスピードに追い付けない.死ぬわけではないけれど,知らなくてよいものになれば,意義なんて感じられません.ただ存在するだけです.

ここで注意する点は,完全に失われているわけではないというところです.人類にだって意義はないけれど,この世界で生きていますし,色々な物事を経験しています.ただ「大部分は錯覚の上にある」というのが重要なのです.

以上が,私が考える「意義を失った」理由です.

蒼崎青子は世界を正しく知覚できる術を継承した

蒼崎の三代目が「掘り当てた」

蒼崎青子の祖父(三代目)が偶然掘り当ててしまったらしい第5魔法.
「掘り当てる」という表現は,蒼崎の家が霊地の管理者だったからなのかもしれないですが,個人的には「物事を掘り下げる」という意味合いのほうがしっくり来ています.
おそらく,三代目は感覚を掘り下げていった結果,偶然にも世界を正しく知覚できるようにチューニングできたのでしょう.(空の境界における,肉体の意識を残す技術に似ているかもしれませんね)
これが掘り当てたということなのではないでしょうか?

燈子ではなく,青子だった理由

三代目は,第5魔法を燈子ではなく,青子に継がせた点については良く知られている通りでしょう.
蒼崎燈子は魔術回路の精密さが段違いで高い,魔術師としての才能も桁違いです.(封印指定もされてますし)
そんな燈子ではなく,青子の方が良いと言われる理由はなんなのか?

結論としては,「肉体の感覚とリンクしやすい」ということではないかと思っています.

冒頭から使っている「知覚」と言うのは,要はアンテナを張るみたいなもので,あとから修正も可能です.ただし,こんなもの毎回意識してアンテナをチューニングするなんて大変です.草十郎が私たちと同じように思考し,動作するのより大変でしょう.
こんなものは,本当に「感覚的に」できるに越したことはないでしょう.

燈子は確かに才能の塊でしたが,幼少からの努力家であったことも踏まえると,三代目としては適格でないように映ったのかもしれませんね.もしくは10年経っても,燈子が意識的に魔術を扱っている姿に幻滅したのかもしれません.

一方の青子は,魔術回路は平凡ながらも,めちゃくちゃ燃費が良いという利点があります.しかも特に意識してそれを体現しているわけでもなさそうです.魔術理論に苦戦しているようですが,使えるなら問題ありません.
三代目は,感覚的に魔術を使える青子に継承の光を見たのかもしれないですね.

青子の魔術回路

FGOで実装された青子のスキルには,「魔術回路」があります.スキル説明は以下のようになっています.

魔術回路(自転):A
第五魔法明を可とする、特殊な魔術回路。その魔力尽きる事はない。惑星から立つために必要な要素の一つと言われている。

魔術回路(転):EX
第五魔法明した後に発現すると言われる、魔術回路。大な魔力を生みだすが、それがどんな術式によるものなのか、どのような理論から生まれるものなのか、余人にはまったく理解できない。子本人もぜんっぜん分からない。一方、第二魔法の使い手ゼルレッチスーパー子をチラッと観測した間にだいたい把握したのであった。

FGO 蒼崎青子(フォーリナー)プロフィール欄より

まあ,本人にも分からないけど,正しく世界を知覚できる術(魔術回路)を継承した結果,無尽蔵の魔力を手にできるっぽいですね.
私も理解できていないんですが,真エーテルや,星の燃料であたりが関係しているのでしょう.カルデアスのための燃料を欲していたマリスビリーが聞いたら卒倒しそうです(笑)

蒼崎青子は世界の時空間を操作できる

さて,第5魔法を継承した青子は結局どうなったのかについて,以下では妄想を語っていきたいと思います.

肉体感覚として世界を理解できる

青子が世界を正しく知覚できるようにアンテナがチューニングされたことで,青子の認知は大きく変化したでしょう.
なぜなら,私たちがただそこにある空間や時間を,手に取るように,肉体感覚として知覚できるのですから.
その結果,私たちが積み木をいじるように,世界のことをいじれる(過去へジャンプしたり,事象ごと未来にぶっ飛ばしたり)ということを可能にしたのではないでしょうか?
それなら,どこからか無尽蔵に魔力?エネルギー?を引っ張ってくることもできるでしょう.

まあ,肉体感覚として世界を知覚できるからと言っても,当の本人は有効な活用手段が思い当たらないと言っていますし.

草十郎の蘇生

おそらくは,青子はこの世界を粘土のように形が代わり,ゴムのように弾力のあるものとして認識しているのかもしれません.

燈子が驚いていた「草十郎の蘇生」について,上のように世界を認識したとすると,青子がなにをやったのかを解釈すると,「切れた糸を結ぶ」ということなのではないか?と考えられるのです.
この切れた糸は燈子によって断ち切られたものです.
ですが,青子はこの断ち切られた糸を掴み,結ぶことで草十郎が〇ぬというのを回避したのではないでしょうか?

ただし,この糸は青子が無理やり引っ張ったのでしょう.引っ張られると張力が発生しますので,負債を抱えることになります.
青子は知覚として,この張力が高まった状態(負債)を分かっていますが,世界が崩壊するほどではないことも分かっているのだと思います.
ここでは,(引っ張った力)=(前借りしたエネルギー)と解釈しても良いかもしれません.もしくは,引っ張った分世界の崩壊を早めた,でも.

燈子の質問に対して「遥か未来に置いてきた」という発言の真意は,知覚できる世界の範囲では継続できる(糸が切れない)状態を維持できているんだから,どっかの未来に切れ端があるんじゃない?ぐらいの投げやりな回答だったのかもしれません.

草十郎が蘇生前後の記憶がないのは,「結び目」に使われたかもしれない,と解釈しています.

また,ゴムのように弾力があるもの,という表現は,FGOコラボを踏まえても,この表現かなぁと思っています.
FGOコラボで,ナンバーワン/オンリーワン・シャイニースターによって起きた世界崩壊を事象ごと未来へぶっ飛ばしていましたが,「繋ぎとめている」という表現があり,楔を抜くと1999年にバチンッと戻るっていうのも,ゴムっぽい表現じゃないですか?

ところで,こうした時間に関する結果も,第5魔法の副産物でしかないというのは明らかになっているので,思い切って今回のような「世界の知覚」に本質があるんじゃないか?という考察をしてみたわけです.

燈子との戦闘

草十郎の件をきっかけに,27歳の姿になった青子ですが,これはなにをやったのでしょうか?

個人的には,自分の「未来を手繰り寄せた」のではないかと思っています.
糸として解釈すると,自分の糸の先(27歳)を燈子と戦闘する時点に持ってきたと言うことです.
ただ,そんなことをすると,草十郎の時のように張力がめちゃくちゃ発生してしまうでしょうから,もしかしたら膨大なリソースを星から生み出すことで世界の時空間の軸から外れているのかもしれませんね.さすが魔法・・・

世界の時空間の軸から外れている,というのは燈子の戦闘シーンにおいて,燈子の攻撃が全く通らない場面がありましたよね.
おそらく個人的には攻撃が来るタイミングを見計らって,自分が存在する場所にいる時空間を感覚的に調整しているんでしょう(自分で書いていて意味が分かりませんが).
だからこそ,座標がブレるように燈子さんには映るわけです.

また,糸を手繰り寄せるといった表現をするのは,FGOにおいてスーパー青子になる際に「座標変更」と言っている点もヒントかなと思っています.
ここで糸と言っているのは,まさに時空間のことですから.

ここで,手繰り寄せるには確定した座標を知覚できなければなりません.だからこそ,第5魔法は世界の知覚という表現になったわけなのです.

おわり

私が第5魔法「魔法・青」について考察した内容は以上になります.
時間やエネルギーの視点とは異なる,知覚からの考察でした.

ですが,まだまだ穴は沢山あります.
最も大きな穴は「知覚できるからといって操作できるのはなぜ?」ということです.
この点については「そういうものだ」とスルーしているので,どなたか引き継いでくれたら嬉しいです.

型月の作品は,世の中の様々なことを考えさせるきっかけをくれる本当に良い作品です.今後も応援していきましょう!

また,ゆっくり解説や,考察ブロガーの方々の考察が多く出ている中で,こういった妄想考察を世間に出すのは大変恥ずかしいですが,皆様の考察の一助になれば嬉しいです.

最後まで読んでいただいた方には最大限の感謝を!!

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