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「グローバルなコンプライアンスと倫理の課題:KPIからFSC、現代奴隷法まで」

さて、本日も一問いきましょうか。
奴隷法なんて、少し過激的な文字が出てきます。

問題 5

「ソフトローからハードロー」に関する次の文章の空欄に該当する語句として、最も適切な組み合わせを一つ選べ。

1. ISOはISO26000だけでなく、ISO9000シリーズやISO14000シリーズのように( A )サイクルに基づく経営改善のための国際規格も発行している。
2. 原材料に関する国際認証にはさまざまなものがある。その中で、国際認証の原点とも言えるものに、1994年にマルチステークホルダーで設立した( B )認証制度がある。
3. 2015年、英国が設立した「現代奴隷法」はサプライチェーンにおける人権侵害の有無やリスクを企業に自ら確認させ、根絶することを目的にした法律で、その対象は、( C )での売上高が3600万ポンド(約66億円)を超える企業である。

選択肢:

• ア. PDCA / MSC / 英国
• イ. PDCA / FSC / 全世界
• ウ. KPI / MSC / 英国
• エ. KPI / FSC / 全世界

回答

ア. PDCA / MSC / 英国

解説

この問題の空欄に入る最も適切な組み合わせは「ア. PDCA / MSC / 英国」です。

1. ( A ) PDCA
ISO規格、特にISO9000シリーズやISO14000シリーズは、「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)」に基づいて経営改善を進めるための国際規格です。このサイクルは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)という4つのステップで構成されており、企業が継続的に品質や環境パフォーマンスを向上させるための基盤を提供します。
2. ( B ) MSC
「MSC(Marine Stewardship Council)」は、持続可能な漁業を認証する国際的な制度で、1994年に設立されました。MSC認証は、水産物が持続可能な方法で採取され、環境に配慮していることを証明します。これは、国際認証の原点とも言えるもので、マルチステークホルダーの協力によって設立されたことが特徴です。
3. ( C ) 英国
2015年に英国で制定された「現代奴隷法」は、企業のサプライチェーンにおける人権侵害のリスクを把握し、改善を促す法律です。この法律は、年間売上高が3600万ポンド(約66億円)を超える企業を対象にしています。企業は、自社のサプライチェーンにおける人権侵害のリスクを評価し、その対策を報告する義務があります。

この解説は、ISO規格の基本的な考え方、国際認証制度の重要性、そして英国の現代奴隷法に関する情報を含んでいます。これにより、問題に対する理解が深まり、なぜ「ア. PDCA / MSC / 英国」が正解なのかが明確になると思います。

さて、補足として、不適切なワードの説明もしていきます。

◎KPI(Key Performance Indicator)とは?

KPIは「重要業績評価指標」と訳され、企業や組織が目標を達成するための進捗状況を測定するための指標です。具体的には、売上高、利益率、顧客満足度、従業員の生産性などがKPIとして使われます。KPIは、組織の戦略を効果的に実行するために不可欠であり、目標達成に向けたパフォーマンスを定量的に評価するために使用されます。KPIはPDCAサイクルの一部として利用されることが多く、企業が継続的な改善を行うための指標として重要な役割を果たします。どちらかというと目標の中でも、枝葉の部分にフォーカスを当てるので、僕にはあまり馴染まない言葉です。

◎FSC(Forest Stewardship Council)とは?

FSCは「森林管理協議会」の略で、持続可能な森林管理を促進するための国際的な認証制度です。FSC認証を取得することで、森林から得られる製品が環境的に適切であり、社会的に有益であり、経済的に持続可能な方法で生産されていることが証明されます。FSCは1993年に設立され、木材や紙製品など、森林に由来する製品に対する認証を行っています。この認証は、企業が森林資源を責任を持って管理していることを示すものであり、消費者に対して環境に配慮した製品を選ぶ手助けとなります。森林単体になるのが、本問題では不適切な箇所でしたね。

◎現代奴隷法と類似する世界的なルール

類似の国際ルールとしては以下が挙げられます:

• 米国の「ドッド・フランク法」
この法律には「紛争鉱物条項」が含まれており、企業に対してコンゴ民主共和国および周辺地域からの紛争鉱物の使用状況を開示する義務を課しています。これは、紛争地域での人権侵害を助長する可能性のある鉱物の使用を減らすことを目的としています。
• フランスの「企業の注意義務法(Duty of Vigilance Law)」
2017年に制定されたこの法律は、大企業に対して、自社およびそのサプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊を防止するためのリスク管理計画を策定し、実施することを義務付けています。

日本の外国人技能実習制度

日本の外国人技能実習制度は、主に発展途上国の人々が日本で技術や技能を学び、自国の発展に役立てることを目的としています。しかし、この制度はしばしば労働搾取や人権侵害の問題が指摘され、批判を受けています。一部の企業では、実習生が過酷な労働条件で働かされる一方、十分な給与や生活支援が提供されないことが問題となっています。このため、外国人技能実習制度が事実上、安価な労働力を得るための手段として利用され、現代奴隷のような状況を生み出しているとの批判があります。

現代奴隷法との関係:
日本では、現代奴隷法のような包括的な人権保護の法律がまだ整備されていませんが、外国人技能実習制度における問題は、国際的な人権基準に反するものとして認識されています。日本政府もこの問題を改善するために法改正や監視体制の強化を進めていますが、課題は依然として多く残されています。

それでは、今日はこの辺で👋

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