鈍感な十代でよかった
30歳を目前にして急に情緒が育ってきた。それまでのぼくは「楽しい」「嬉しい」「嫌だ」くらいしか感情がなかった気がする。人間にはそれより複雑な感情があることは頭では理解していたが、それを実感するようになったのはごく最近だ。今まで形だけ真似をしていたことの意図もわかるようになった。寒いとからだが動かなくなるので服を着るといい。お腹が空くとあたまが働かなくなるので食べるといい。服を着る、定期的にご飯を食べる、そういう基本的なことの実際的な意味が腑に落ちるようになったのもこの頃のこと