Grandpa's cloud(2)
雨の日が嫌いになったのは、あの人が雲になってからだ。
三十三年前、冬、広島。
僕が初めて「死」に直面したその日、空には雲が浮かんでいた。
じぃちゃんはすごく優しくて、滅多に怒ったりしない人だった。
覚えているほとんどの表情は笑い顔。
笑い顔といってもいろいろあって、なかでも印象的なのは「苦笑い」の顔だ。
蘭とか百合とかが好きだったじぃちゃんは、どこかに出掛けたときには決まって鉢植えを買って帰ってきていた。
その鉢植えをこっそりと畑に並べる。
その姿を見付けたばぁちゃんは