Grandpa's cloud(3)
雨の日が嫌いになったのは、あの人が雲になってからだ。
三十三年前、冬、広島。
僕が初めて「死」に直面したその日、空には雲が浮かんでいた。
僕のじぃちゃんは絵かきだった。
とは言うものの、絵を売ってお金にしていたのか、それとも単に絵をかくのが好きなだけだったのかはわからない。
一つ言えることは、じぃちゃんの絵のレベルは趣味の域を優に越えていた。
じぃちゃんの家に行く度に、壁に立て掛けてある絵を眺めるのが好きだった。
新聞紙に包まれたまま重ねてある絵、額縁に入れられてはいる