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Ⅴ-#6 シートの作り方(3)

1.代案のプラス・マイナス

今回紹介するのはシートの下の部分です。

今までの学校慣行を変えようとして、色々代案を考えたものの、様々な弊害が出たり、かえって非効率になったりといったことがあります。けれども失敗をおそれるあまり、何も手がつけられなくなってしまったら、何も変革はできません。

必要なことは、適正な範囲内でリスクをとり、小さな試行錯誤をくり返しながらスピーディーに変化を起こしていくことです。
そしてそのためにも必要なのが、どのような+-がありそうか、あらかじめ予想しておくことです。

シートの下の部分は、この作業のためにあります。まず前回の代案をベースにシートの右の下の3つのマス目の記載例を見ていきましょう。

前回出した代案は、毎月の校内研修を廃止する代わりに、「少なくとも年一回は授業を動画にとって校内で公開し他の教員の授業を年2回は見てコメントを寄せる」のと「 新採と希望者には校内メンターを配置して月一回お互いに授業を見合って対話する」という手立てを講じるというものでした。

この代案には「すべての教員が授業することで研修をより日常化できる」、「若手支援は手厚くなる」といった改善を期待できます。これを対応策の+に記載してみます。

一方で「校内メンター担当の教員については指導負担が増える」といったマイナス面もあります。これを対応策の-に記載します。そしてマイナス面については対応が必要になることもあります。この場合なら「他の分掌業務を軽減する」などの措置が必要かもしれません。

そして「一同に会する機会の減少がどう影響するかはわからない」、「授業研究のかたちの変更には2年間かけて順次行った方がいい」等、結果が不透明な部分や、たとえ効果が期待できることでもじっくりと行った方がいい改革もあります。これを対応策の?に記載します。

もしマイナス面がプラス面より多ければあまり魅力的な改革案とは言えません。その逆であればやってみる価値はありそうです。
そしていずれにしても、あらかじめ期待される効果を見定めてその効果を確かめていく作業は、他のあらゆる改革同様に必要になることです。

そして最後に代案を実施したときにかかるコスト(時間・労力)を考え、導入前のコストと比較してみます。

いうまでもなく、新たな取り組みを導入して負担が増えるようであれば、今日の学校の置かれた環境下でその取り組みを持続させることは困難です。

(次回につづく)