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Ⅵ-#2 難しい新 プログラムの導入

1.スリム化は正義!?

新しいことを始めようとしても、なかなか踏み切れないのが現在の学校です。現在の学校には時間的ゆとりがなく「スクラップ&スリム」という言葉もよく聞かれるようになりました。ビルド&ビルドを重ねた結果、首が回らなくなってしまっている学校が少なくないことを考えれば気持ちはわかります。

けれどもスリム化ばかりが追求され、活動を減らしていくばかリになると、学校が裁量を生かして創造的に活動を展開することができなくなるだけでなく、かえって効率自体も低下してくることも考えられます。

2.短期の組織効率と長期の組織効率

学校の様々な活動、とりわけ教育プログラムの負担と効果の関係は下のグラフのようなイメージで考えることができると筆者は考えています。

負担と効果のイメージ

プログラム活動を導入した当初のうちは、慣れていないので調整や準備が必要となることが多く負担が大きいことが予想されます。

一方で効果はと言うと、やはりはじめのうちは指導のコツがつかめなかったり、生徒の反応も十分には読むことができなかったりで、十分には効果が出ないことがあります。

けれども活動に慣れてくるうちに、負担は減って、起こりそうな課題も事前に効果が出てきます。

もちろん負担は無限に減っていくわけではありません。負担の軽減もやがて平衡状態に達し、効果についてはマンネリ化していく分だけ低下していくかもしれません。

交点Xは効果が負担を上回るポイントです。この交点が永遠に訪れないならそのような活動は、初めからしない方がいいし、逆にある活動を続ける効果が負担よりも大きいならばやらなければ損ということになります。

けれども学校の場合、交点Xが来ると予想できるとしてもそうしたプログラムを導入できないことがままあります。例えばAIドリルなどはイメージしやすいでしょう。その原因は負担と効果を見極めることが難しいというだけではありません。

公立学校には大体3年間程度で異動があり、「効果が負担を上回るころには自分はその学校にはもういない」ということがままあるからです。多くの教職員や管理職がこのように考えると、学校で何かを始めること自体が困難になってしまいます。

こうした事態にならないよう、長期的なビジョンのもとにプログラムを導入するヒントとなるのが簿記の発想を取り入れて活動をデザインするための「プログラム・バランスシート」です。

(次回に続く)