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Ⅲ-#2 使えない教員育成指標

教員育成指標の考え方

 前回述べたように、これからの変化の時代には学校の教員も成長し自己革新していくことが不可欠です。けれども学校の実態は、というと日々の仕事で追われるばかりで、自分の成長どころではなないのではないでしょうか?
けれども、こうした状況が子供にとって望ましくないということは自明です。

教員の成長一応「教員育成指標」というものがあります。平成 28 年の教育公務員特例法の一部改正を受けて全国の教育委員会で作成されたもので、多くの教員にとっては管理職との面談で使われているアレです。筆者もある自治体でこの教員育成指標を運用する教員育成協議会の委員をしています。

 教員育成指標では教員養成期から退職の時期までを大体4段階くらいに分け、教員の力量も「学習指導」「生徒指導」「マネジメント」「情報活用能力」等に分けてそれぞれの段階で、どのような力量が必要とされているかについて一覧化したものです。

静岡県の教員育成指標

この指標自体は単なる目安で中立的なものなのですが、しかし、この教員育成指標を依存しすぎると、いくつかの致命的な問題が生じます。

一つは教員の個別性に対応できないということです。だから過度に教員育成指標に依存すると、結果的に教職員は強みや個性を失い、学校教員のあり方を均質化する方向に作用する可能性があります。ダイバーシティが強調される今日、この傾向はそれと逆行するものと言えます。

もう一つは教員の姿勢を受け身にしてしまうことです。人から与えられたものであることに変わりはありません。だからこの指標を強調するほどに、教員の成長とは教育委員会の敷いたレールの上を進んでいるような感覚を持っても不思議ではありません。

今後の教育に求められるのはあてがいぶちではない、個別性を活かした学びです。となれば教員も、自分の成長は自分でデザインしたほうがいいに決まっています。

そんな発想で作成したのが次回から紹介するキャリアデザインシートです。