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Ⅲ-#5 シートの作成方法(2)

 2)目標設定

中央は成長のベクトルを決めて志を立てるためのものです。

成長のベクトルを考える際には、組織のニーズと自分の関心の両面から考えることが重要です。スーパー(Super, D.E.) の「キャリアのアーチモデル」はよく知られていますが、この中でも個人の文脈と社会の文脈双方がキャリアの土台となると捉えられています。

学校という組織の中で仕事をしている以上、組織から何を期待されているかを抜きに職能成長は考えられません。組織のニーズが何であり、そこに自分がどのように貢献すべきかを自問してみることはミドルリーダーであれば当然のことです。

一例としては次のようなものが考えられます。

一方で、自分を殺して組織貢献ばかりを考えるのも問題です。というのも、組織貢献ばかりが強調されると、本人が苦しいのみならず組織活動の創造性が奪われてしまう結果になりかねないからです。この両面を考えるという作業を、「学校内外で果たすべき役割」欄と、自分が「魅力を感じる知識・経験・スキル」欄を考える作業を通して行っていきます。

一例としては次のようなものが考えられます。

次にキャリア・アンカーです。アンカーとは船をつなぎ止めておく「いかり」の事で、転職が当然とされるアメリカ社会の通底するパターンがあることから、シャインが概念化したものです(E. H. シャイン『キャリア・アンカー -自分の本当の価値を発見しよう-』白桃書房2003)。キャリア・アンカーは「あなたがどうしても犠牲にしたくない、また、あなたのほんとうの自己を象徴する、コンピタンスや動機、価値観について、自分が認識していることが複合的に組み合わさったもの」と定義されます。同書では診断テストなども紹介されていますが、もっとシンプルに「これがなくなったら仕事を辞める」といった自分にとっての「ゆずれないもの」がこれに当たります。
例えば

といった記載になるひつがいるかも知れません。

そしてこの両面が交錯するところに「成長のテーマ」を設定します。「成長のテーマ」に際しては、日常から成長の指針とすべきものですから単なるあこがれではなく、「地に足のついた」ものにする必要があります。また、「成長のテーマ」は自分自身が「憶えていられる」ように表現する必要があります。というのも(これ以外の部分は定期的にチェックすれば十分ですが)、この部分だけは日々の仕事の合間でも思い出して活動に活かしていく必要があるからです。

一例としては次のようなものが考えられます。

(次回に続く)