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インディーズ映画の経済圏をつくる - DOKUSO映画館を立ち上げた理由 -

こんにちは、DOKUSO映画館 劇場支配人(CEO)のたまいです。

DOKUSO映画館は、月額980円で国内外のインディーズ映画が見放題のサブスクリプションサービスです。2020年1月23日にサービスを開始し、少しずつではありますが、映画業界や映画好きの方に知ってもらえるようになってきました。

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映画(動画)のサブスクサービスは、Netflix、Amazon prime video、hulu、U-NEXT、さらにはDisney+などなど、巨人たちがひしめき合い、斧や剣を振り回しているような状況で。

なぜ、そんな血で染まるレッドオーシャンに後発で、さらに「インディーズ映画」に特化したサービスで参入したのか。今回は、DOKUSO映画館を始めた理由を日本インディーズ映画の現状も踏まえてお話します。

出発点は、映画プロデューサー(副業)

出発点は、前職・博報堂で働きながら個人で映画プロデューサーの仕事を始めたこと。映画プロデューサーをはじめるキッカケは、実は酔っ払った勢いです。

ある人の紹介で知り合った、ひと回り以上年上の映画監督。お互いにクリストファー・ノーラン監督、クリント・イーストウッド監督の作品が大好きで、その話をするためだけの飲み会を定期的に開いていました。

そんな飲み会も5年目を迎え、浅草のホッピー通りで一緒にホッピーを飲みながら酔っ払ってきたときのこと。

「映画のプロデュースをしてほしい」

と言われました。

ホッピーでハッピーな気持ちになっていたこともあり、僕は勢いでOKしたことを覚えています(うっすらとしか覚えていませんが…)。

しかし酔っ払った勢いとは言え、約束は約束。本来副業禁止のサラリーマンでしたが、従業員規則を読み漁り、グレーゾーンを突き止めた僕は、映画プロデューサーの仕事を個人でスタートすることになりました。

はじめての製作映画『40万分の1』、滑り出しは順調だったが…

予算はないし、本業との兼ね合いで時間もないしでクタクタになりながらも、なんとか『40万分の1』という映画をつくりました。(※DOKUSO映画館で配信中)

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インディーズ映画業界では、作りあげてから上映するまでが一番難航すると言われている中、製作から1年弱で全国13館での上映が決定。

Youtubeでも予告編が合計60万回以上再生され、手前味噌ながら、このスピード感やPR力は話題となり、いろいろなお仕事をいただけるようになりました。

でも、仕事をすればするほどわかってきたことがありました。

この仕事は、どうやっても負け戦になる…。

なぜなら、収支計画書が書けないから。

インディーズ映画は、製作段階でいくつの映画館で上映できるかが不明です。

ある程度完成した作品を映画館に持っていき、そこで上映するかどうかを決めてもらうスタイルだから(厳密には映画館を自社保有していない限り、大手でも同じ)。

つまり、収益の予測、計算ができない中でいくらの製作費をかけて作るかを決めなくてはいけない。さらに、製作期間は最低でも半年は必要で、準備を含めたら1年以上かかることも普通です。

その期間の製作費を、一旦すべて製作委員会が負担する。僕の場合で言えば、僕がぜんぶ負担していました…。完全に持ち出しです。

そんなやっとの思いで完成した作品を映画館に持ち込んでも、どんなに早くとも上映は半年後。東京、大阪から始まって、評判が良ければ全国順次公開と進んでいきますが、終了まで3カ月ほどかかります。

なんだかんだで最終のお金の回収までは、映画をつくりはじめてから2年くらい。それまでお金が入ってこない。これはもう負け戦どころか無理ゲーに近いです。僕の周りでも1本目でがんばりすぎて、2本目に続く体力がなくなる方が本当にたくさんいて…。

リアルの映画館を作るお金はないが、デジタルなら?

この流れを断ち切るために、上映できることが脚本段階では決まっていて、ある程度のキャパシティで、上映するのもお金の支払いも早い映画館を作らなければダメだと痛感しました。

だけど、さすがに映画館を建てるお金は持っていない。しかも、1つ映画館を建てるだけでは問題解決にならない。だったらデジタル上に映画館を作るしかないと、企画書を書いていました。あてもなく。

数か月後、ある投資家の方から「その企画、おもしろいね」と反応いただき、博報堂を退職してDOKUSO映画館を立ち上げることになったのです。

(その後、エンジニア、デザイナーを採用して、僕を含めた4人ですべて自社開発のサブスクサービスを数ヶ月でローンチすることになるのですが、このあたりの苦労話はまた別の機会にでも。)

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DOKUSO映画館が大事にしている3つの立ち位置

こんな流れで始まったDOKUSO映画館ですが、大事にしている3つの立ち位置があります。

まず、立ち上げ当初から今でもブレることなく言い続けている「DOKUSO映画館の中で経済を回す」ということ。

劇場興行を否定するつもりはまったくありません。僕も含めて、あの劇場のスクリーンと音響で映画を観る体験を愛しているから。でも、前述したようなインディーズ映画の状況、環境もあり、劇場での上映だけでは収益がでないことがほとんどです。

しっかりと製作費を回収してもらい、次の作品につなげられるようにしたい。DOKUSO映画館で言うと、10万人の会員さんが集まれば、約30作品の製作者には月に80万円ほどの収益が生まれる試算をしています。

月に80万円が2年間続けば、単純計算で約2,000万円となり、次回作の製作費になる。この環境を作りたくて、日々奔走しています。

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次に、大手サービスとの違いで言えば、距離感です。インディーズ映画のコミュニティ、インフラになれるように、どんな人間たちが運営しているのかをちゃんとわかるようにしています。

例えば、馴染みの本屋さんのように「あの書店員さんがオススメしているのであれば僕と趣味が合うから面白いはず」のような。

僕たちが扱っている映画は、ポスターやパッケージを見て「あ、知ってる」となる作品ばかりではないので、1枚1枚ポップを書いたり、記事を書いて紹介したりしていて。あの運営の人のオススメなら、きっとこの映画も面白いはずと見てもらえるキッカケになれたら嬉しいです。

新着一覧

最後に、インディーズ映画を作る方々のポートフォリオになること。インディーズ映画業界において、俳優、スタッフのキャスティングはとても苦労します。

例えばオーディションにてプロフィールシートに『○○』に主演と書いていただいても、その作品を見る術がなかったり、同様に例えば録音部を探していても、その技術を知る方法がなく、知り合いの口コミでキャスティングしていることが多いのです。

『○○』でいい仕事をしていたこの人にお願いしたい、となるようにクリエイターページを今後も拡充していく予定です。

映画を作り続けていける場所になるように

DOKUSO映画館の成り立ちを含めていろいろとお話しましたが、少しでも想いが伝わったら嬉しいです。

DOKUSO映画館が、クリエイターの方々にとって次の作品製作や、商業映画デビューなどの次なるステップへとつながる架け橋になるよう、今後も邁進していきます。

「DOKUSOのランキングで3カ月連続で1位でした!」と言ってもらえるように、それが少しでも箔になるように。

登竜門じゃないですけど、「DOKUSO出身です」と言ってくださる方が現れたらそんな幸せなことはないですね。

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