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日銀のマイナス金利解除への警戒感後退、ドル円145円手前まで上昇。


【12/19相場概況】

東京時間、日銀が金融政策の現状維持を発表するとドル円は買いが先行。フォワードガイダンスなどの文言変更もなかったことで早期マイナス金利解除への思惑後退から一時143.78円まで上昇。

欧州時間、植田日銀総裁の記者会見では、「基調的な物価上昇率、2%に向け上昇する確度が高まっている」と発言すると、142.46円まで急落。その後、「チャレンジング発言は、仕事の取組み姿勢一般に対するもの」と述べ、市場の早期マイナス金利解除に対する思惑を否定。「物価安定目標を十分な確度をもって見通せる段階にはない」と発言、1月会合での政策修正の可能性について「そんなに多くはない」と発言すると、20時前には一時144.95円まで上昇。NY時間、米金融政策が2024年早期の利下げ観測が根強い中、米長期金利が低下すると、ドル円は143.53円まで下押し。

【12/20相場観】

日銀は、金融政策維持でフォワードガイダンスも修正なし。筆者は、出口戦略に対しての「地ならし」的コメントが出ると見ていたが、一切記載がなく、植田総裁は1月の会合での金融政策修正も否定。国内経済において不安定要素が多く賃金上昇を確認したいという事は、金融政策変更は6月以降となるかもしれない。あくまで筆者の思惑ではあるが、自民党派閥の政治資金パーティー問題による政局混迷の中、現時点でマイナス金利解除を示唆すると、景気回復に悪影響を与える可能性があり、日銀は金融政策の維持を決めたのではないか。ともかく、年内最後の注目イベントが終わり、欧米はクリスマスモードとなり、マーケットは動意薄な状態が続きそうである。
 
日足一目均衡表では、「三役逆転」点灯中。昨日反発したものの、転換線と基準線が下降で乖離が拡大。一目均衡表上では、下降途中の調整の戻りと判断する。現在200SMA(単純移動平均線)を上抜けとなっているが、ここを維持できるかがポイントとなりそう。

日銀が量的緩和継続となったので反発目途を計測。151.90円から140.94円の戻り(フィボナッチ・リトレースメント)で、23.6%(143.52)が到達となり、次が38.2%(145.12)・50.0%(146.42)となる。ただ、想定ほど踏み上げ(売り手による損決済の買い)が出ていない感じがするので、146円突破には、新たな買い材料が必要なのかもしれない。

※チャート・表などは筆者作成
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20231220執筆 FXエバンジェリスト遠藤寿保

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