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コラム『投資戦略』 2023年1月15日


日銀が先月、上下0.5%幅への拡大容認を示してから、当面は上限0.5%を維持することで短期筋(投機ファンド)のショートカバーがあるかと考えていましたが、短期筋は予想以上に強気で、1月17日~18日の政策決定会合へ向けて投機ファンドが大規模な国債売りを仕掛けて日銀の政策変更を狙う(促そうとする)状況となっています。

確かに消費者物価が4%前後へ上昇しているため、物価安定を狙った利上げは理に適ってはいますが、先の決定会合で「利上げではない」といっていることからも、早々に利上げをする(政策変更)については日銀の動向は不鮮明です。
 
先月の変更後はドル高円安に戻ることも無く、欧米の景気鈍化の気配も出てきていることからも、日銀が慎重に対処しようとするなら今後数か月程度は物価動向を注視することに留まる可能性が高いとみています。
何故なら、海外では「日銀が投機筋に屈した」、国内では「日銀が追い込まれている」「物価上昇が厳しい」と言うネガティブな記事が多いのですが、視点を変えれば、資源高の追い風もあり、漸く日銀が目指した物価上昇と賃金押し上げの両方が叶う環境になってきたとも言えます。
 
一方で資源価格は落ち着いてきており、今年の物価上昇や消費減退の動向次第でも政策の方向性は変わらない可能性があります。今は「赤信号皆で渡れば怖くない」と言う心理によるものか、特に食品や小売り事業者の値上げが続いていますが、これも何時まで続けられるかは不透明です。
 
最近では安易な財政出動(バラマキ)や予算増を国債発行で賄うことへの批判も増えていることから、国民の目が国債増発や日銀の動向に向き易いこともあり、行政や金融政策に対する国民の評価もどちらへ転ぶか難しい局面に来ています。
 
今回の政策決定会合で投機筋の期待通りに日銀が政策変更をするのか、または意に介さず国債購入を続けるのかの判断によって株式市場も大きく影響を受けます。

✳️金融政策変更無しの場合 

より強力な国債購入が見られた場合には投機筋のショートカバーにより株式の買戻しの動きが出てくると予想されます。

今月下旬からは12月の四半期開示も始まりますが、少なくとも今期中は日本企業の増益(上方修正)期待は高いと予想していますから、依然として割安な水準ではあります。

✳️金融政策変更有りの場合

円高と株安の両方が進む可能性も排除できません。

難しい局面です。

てらす証券アドバイザーズ株式会社 
代表取締役 満平隆志

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