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インタビュアーという職業——それっぽさと戦う覚悟

こんにちは、宮崎です。

大学院時代にアフリカでインタビューを70本こなし、現在はビジネス誌や採用ページでインタビュアーを務める僕が、インタビューについて語ります。

【結論】インタビューをすれば、誰でも「それっぽい」記事は書けます。でも、「それっぽさ」を超えたところに本当の価値があり、それに挑むのがインタビュアーだというお話です。

書くためのインタビュー

なぜインタビューをするのか。
なぜインタビューをしなければならないのか。
なぜインタビューは効果的なのか。

インタビューをする目的のひとつめは、記事に訴求力を持たせることです。
インタビューをすれば「それっぽい記事」になりそうですよね?
その通り。実際、それっぽくなります。

インタビューをするだけでそれっぽい記事が容易に出来上がる理由は2つです。1つは現場で拾った生の声でござるっていう権威性があるから。もう1つは、振り幅が広くて3つの型から一番最適なものを選べるからです。
3つの型とは

①独白型
○○しました。なぜなら○○だったからです。

②対談型
——○○したって聞きましたが?
そうなんです、○○しました。
——なぜそんなことをしたんですか!?
いやー、もう○○だったので…。でも後悔はありません。
——…覚悟はしていたということですね?

③ルポルタージュ型
「○○しました」と涙を浮かべる。「もう、○○だったので…。でも後悔はありません」
自分に言い聞かすように、彼女はそう語った。

インタビュー記事であれば、メディアやターゲットに合わせて形式を自由に選べます。訴求力を高めやすい点でインタビューはすでに強いのです。
③のルポ型なんて例文の時点で既にそれっぽい。誰が何を書いてもそれっぽくなります。

ぶっちゃけると、インタビュー記事が持つ「それっぽさ」はわりと重視されるポイントです。インタビュー記事を作ろうとする担当者さん(あるいは、ここまで読んでくださったあなた)は、それをまず頭に浮かべていますよね?

そうしたインタビューを書くためのインタビューと定義しましょう。内容の話は置いといて、それっぽい形をつくる、書くためのインタビュー。

知るためのインタビュー

インタビューにはもうひとつの目的があります。それが知ることです。というかそもそもインタビューというのは知るためのものであったはず。知るためにインタビューしますという姿勢は、インタビュアーの本来のあり方であり意地でも守り通したいポイントです。

それでは、何を知るのか。もちろん「伝えるべき情報」です。
そして多くの場合には記事をつくる目的は読者を動かすことですから、伝えるべき情報とは読者を動かすために必要な情報だということになります。
すなわち読者を動かすための情報を得られれば、インタビューは本当の意味で成功です。

とはいえ、読者を動かすための情報を手に入れるのは簡単なことではありません。なぜなら、インタビュイー様ご自身も、伝えるべき情報を把握していないからです。例えば「言いたいことはあるが書き方が分からない」とご依頼をいただく場合、蓋を開けてみれば言いたいことも決まっていないケースはわりと多いです。これは個人のご依頼でも法人のご依頼でも同じです。

そういう時のためにインタビュアーがいます。私たちの役目は、伝えるべき情報をインタビューを通して収集・選別および生産することです。

ただ書くためにいるのではありません。インタビュイー様の豊富な経験や莫大な知識を引き出し、ご本人も無自覚だった情報を探り当て、その情報の中から伝えるべき情報を選り分けます。もちろん足りない情報は別途調べて考えて記事をつくります。

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インタビューは知的生産の手段。伝えるべき情報・知識を生み出すのがインタビューです。聞かないと分からないから聞くのではありません。聞いても分からないものを二人三脚で探す道のりが、インタビューです。

インタビューに賭ける

インタビュー【inter-view】の語源は、相互に見ること。例えば採用面接はJob Interviewと言いますが、会社と候補者の2者で行い、候補者と会社がマッチするかを確かめるものです。何らかの目的を達成するために、2者が1つのことに取り組む手段のことをインタビューと呼びます。インタビューライティングはその延長線上にあります。

せっかくインタビューの機会をいただくのだから、「それっぽさ」に甘んじたくないのです。2人で力を合わせて知ることに徹底的にこだわれば、もっと強い武器になるはずです。私はインタビューに携わる人間として、「それっぽさ」ではなく中身で勝負します。

ということで、ご相談・ご依頼お待ちしております。
terpa.cope@gmail.com


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