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#1666 なんちゃって「個別最適な学び」

私は最近、前回の記事でも紹介した加固希支男氏の著書を読んだ。

そして、カミナリを打たれたような衝撃を受けた。

私のこれまでの実践が否定される形となったわけだが、それでも前向きに捉え、これからの授業改善に生かしていきたいと考えた。

以下では、なぜ「カミナリを打たれた」と感じたか、その詳細を述べていく。

私はこれまで、「個別最適な学び」を重視するため、旧来のような一斉授業を極力避け、子どもたちに学習や活動を任せる実践を行ってきた。

例えば、算数科の授業では、冒頭で教師からのミニレッスンをし、「問題の解き方」を指導した。

以下の記事の通りである。

ミニレッスンの後は、子どもたちの自由進度学習を重視した。

教科書の基本問題を解かせ、終わった子どもには補充プリントを課していた。

子どもたちは自分の学習速度に応じて、基礎問題で終える子もいれば、補充プリントをどんどん解く子もいた。

これを「自由進度学習」だと認識し、「個別最適な学び」と信じて実践してきたのだ。

しかし、このような授業は、「なんちゃって個別最適な学び」であることがわかった。

これでは、「塾での学習」となんら変わりないのである。

まず、ミニレッスンでは、数学的な見方・考え方を意識させることができなかった。

単なる「解法」「問題の解き方」「計算の仕方」を教えることに終始してしまった。

それなら、授業動画を見たほうが効率的である。

また、教科書の問題、ドリルの問題、プリントの問題を教師から与えられ続け、それを解き続ける子どもを生んでしまった。

子どもが自分で問題を発見したり、つくったりすることができないのである。

しかし、数学的な見方・考え方を発展させることができれば、問題を発見したり、自分で問題をつくったりする実践は可能である。

そうすれば、「他者から与えられる問題をこなす存在」から、「自力で問題を創造し、解決する存在」に変容させることができる。

そんな意味で、私の実践は否定されてしまい、カミナリを打たれたわけである。

これは算数科の授業だけに言える話ではない。

全ての教科で、「見方・考え方」を働かせることを意識できていなかったのだ。

これからは、もっともっと「見方・考え方」を重視した実践をしていく必要がある。

一斉授業では、教科等特有の見方・考え方を全体で共有するようにする。

その際は、子どもが見方・考え方を「創出」し、それを明示的に指導することで、「受容」できるようにする。

そして、見方・考え方を働かせながら、問題を自分で発展させていく、つまり「転移」させることができるようにしていく。

このように、見方・考え方の「創出」「受容」「転移」を意識した単元の授業デザインを行っていくようにしたい。

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