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#1764 「学習のプロセス」に沿った教育

人間が「学ぶ」「学習する」という営みには、次のような四段階のプロセスがある。

①無意識無能:できないことを意識していない状態
②有意識無能:できないことを意識している状態
③有意識有能:意識しないとできない、意識すればできる状態
④無意識有能:意識せずにできる状態

教育者である私たちは、この段階に合ったアプローチをする必要がある。

まずは、①→②の段階である。

つまり、未学習の内容を子どもに「自覚」させることが求められる。

ここが出発点なのである。

本時の学習内容・課題を子どもたちに提示する。

そして、「既にできる・わかる」「少しはできる・わかる」「全くわからない」など、自分はどの段階にあるのかを自覚させる。

このように、子ども自身の「理解度の自覚」がとても大切なのだ。

これにより、「学習の必要性・必然性」が生起する。

「既にわかっている子ども」は、もしかして基礎的な学習をする必要がないかもしれない。

「全くわからない子ども」は、初めから丁寧に学習していく必要があるだろう。

まずはここが出発点なのである。

次に、②→③の段階である。

本時の学習内容を、教師が焦点を絞って指導する(ワンポイントレッスン)。

または、学習内容を子ども自身が学んでいく。

こうやって、「意識すればわかる・できる」状態にしていくのだ。

しかし学校教育では、多くの子どもたちがこの段階に留まり、④段階に到達しないまま、次の学習内容に移行してしまうことが多い。

だから、「学校で一度学習しているけど、できない」という現象に陥ってしまうのだ。

よって必要なのは、③→④の段階に到達するための「練習」なのである。

③段階で得た知識・技能を本当に「技能化」「身体化」するためには、たくさんの練習が必要だ。

インプットした内容を自分なりにアウトプットしてみる。

試行錯誤を繰り返し、徐々にできるようにしていく。

学んだことを自覚し、脳に刻むためにリフレクションをする。

このような取組の継続により、「意識しなくてもできる状態」にまでなっていくのだ。

そのためには、学校教育だけの時間では足りないかもしれない。

ただでさえ、カリキュラムオーバーロードが叫ばれている学校で、子ども全員を④段階まで到達させることは不可能に近い。

よって、家庭教育の力も借りながら、徐々に④段階に移行させていくようにするべきだ。

これは「学級経営」でも同じことが言えるだろう。

子どもたちは、人間関係や望ましい生活習慣の作法について、正しく身に付けていないことが多い。

つまり、①の段階にいるわけだ。

それを②の段階に移行させるためには、「その行動は違う」「それは望ましい行動ではない」と教える必要がある。

これにより、②の段階を自覚させ、「望ましい行動とはどういったものか」「どう行動すべきなのか」を教えることができる。

この指導により、一部の子どもは③段階に移行し、「意識すれば望ましい行動ができる」状態となる。

しかし、これを習慣化させることができなければ、④段階には到達しない。

③段階は非常に不安定な段階なので、望ましい行動ができたり、できなかったりするのだ。

よって、子どもの行動を見取り、フィードバックをしたり、価値付けをしたりすることを継続することで、徐々に④段階に到達できるようにしていくのである。

このように、学習指導でも、学級経営でも、①~④の学習の段階を意識した指導をすることが重要となる。

ぜひ、上記のことを意識して、より多くの子どもの「学習」を最終段階に移行させていきたい。

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