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#1456 令和5年度の総リフレクション

この令和5年度は、私が久しぶりに担任として実践を行っている年である。

なにせ、大学院でまるまる2年間、現場から離れているからだ。

その大学院での2年間の学びにより、自分の中で大変革も起きた。

なので、大学院に行く前と今とでは、教育実践の質的な変容がなされた。

しかし、限界も見えてきたところだ。

来週からは11月。

「魔の11月危機」とも言われる。

その前に、これまでの実践を総リフレクションし、これからの方向性を探っていく機会としたい。

以下に、「令和5年度から初めて取り入れた実践」とメリット・デメリット、今後の方向性をまとめていく。


1日の連絡をスプレッドシートで共有・連絡

メリット
・朝の会で、担任がその日の連絡を細かく話す必要がなくなった。
・子どもが連絡を朝に確認し、主体的に動く姿が見られる。

デメリット
・タブレット端末を朝に使うので、そのまま関係のないことをし始める子どもがいる。

→ 実践を継続する。連絡を見たら、タブレット端末をすぐにしまうよう指導する。

授業開始と終了の号令の廃止

メリット
・継続することで、大幅な時間短縮につながっている。

デメリット
・休み時間と授業の切り替えが難しい子どもがいる。

→ 実践を継続する。授業開始時は「教師からのインストラクション」なので、その際に静寂をつくり、気持ちの切り替えを促す。

成長ノート ※以前にも実践経験あり

メリット
・行事がある際、めあて設定や振り返りに活用することができる。

デメリット
・実践が不定期になってしまっている。
・「やらされ感」がある。

→ 毎週実践することを目指す。難しいのであれば即廃止し、「ホワイトボードミーティング®」を導入することを検討する。また、行事ごとのキャリアパスポートで代用する。

重要事項を説明する際のパワーポイントスライドの活用

メリット
・教師が筋道を立てて、話を展開することができる。
・子どもに、視覚的に重要事項を伝えることができる。

デメリット
・文字の情報量が多いと、うまく内容が伝わらない。

→ 1スライドに入れる情報量を精選する。伝えたいことを絞る。

班長制度

メリット
・班を軸にして、学習や活動をすることができている。
・学級目標を意識する子どもが見られてきた。

デメリット
・班長としてふさわしくない言動をとる子どもがいる。
・班長としての自覚が足りず、班をまとめることができない子どもがいる。
・班長に立候補する子どもが固定化しつつある。

→ 実践を継続する。「班長として心構え」を再度指導する。班長にふさわしいと思う子どもに個別に声かけをしていく。

係活動

メリット
・掲示板を有効活用できている係が見られる。
・主体的に活動できている係が見られる。
・1か月単位で相互評価することで、改善していこうとする姿が見られる。

デメリット
・活動が停滞している係が見られる。
・相互評価をしても、直後の1回だけ活動して終わりとなる。

→ 相互評価の際に、「継続して活動するためにはどうすればいいか」をコメントしてもらう。教師も助言する。

学級会

メリット
・計画委員会を中心に話し合い活動を展開し、実践することができている。
・学級会の流れを、教師も子どもも掴みつつある。

デメリット
・学級や個人の問題点を「クラス会議」という形で話し合うことができない。※学級会を研究している学校であるため、「クラス会議」をしていると管理職から指摘されてしまう。
・話し合いと実践はできているが、振り返りまですることができない。

→ 異動した学校では「学級会」と「クラス会議」を併用したい。また、話し合いで決定したことを実践した後は、全体で振り返りの場を設ける。

ICTを活用した学期ごとのめあて設定と振り返り

メリット
・1か月を単位として、定期的にめあての振り返りをすることができている。

デメリット
・ICTに記録してあるため、教室に掲示することができない。なので、めあてを毎日意識させることができない。

→ 実践を継続する。ICTに記録した学期ごとのめあてを印刷し、教室にも掲示するようにする。

行動目標決め

メリット
・曖昧な学級目標を、具体的な行動目標として抽出することができた。

デメリット
・ICTに記録してあるため、子どもに普段から意識させることができない。ほぼ無意味と化している。

→ 週ごとや月ごとに「特にがんばりたい行動目標」を選択させ、それを掲示することで、意識化を図る。

OPPシートを活用した授業実践

メリット
・単元の学習の流れを可視化することで、教師も子どもも見通しをもって学ぶことができている。
・スプレッドシートを使うことで、子ども同士で相互参照したり、教師がコメントを入力したりすることができる。

デメリット
・「一番重要だと思ったこと」を書く活動に「やらされ感」が出ている。
・結局「書いて終わり」になっており、「後で見返す」ことがない。
・タブレット端末を授業前からいじっている子どもがいる。

→ 実践を継続する。毎時間の学習後に自己評価(◎・○・△)を選択し、単元の終盤で苦手なところを復習できるようにする。帰納的アプローチ型の授業では「一番重要だと思ったこと」を書かせるが、演繹的アプローチ型の授業では相性が悪いので書かせない。タブレット端末は「必要なときだけ」開くように指導する。

算数の授業におけるワンポイントレッスンと個別指導

メリット
・教師の出番を減らし、子どもの学習時間を増やすことができている。
・算数が苦手な子どもを中心に個別指導をすることができている。

デメリット
・帰納的アプローチではなく、演繹的アプローチなので、「なぜそうなるのか」を原理的に理解できていない子どもが多い。
・原理的な理解が弱いなので、汎用性が乏しく、テストで生かすことができない。
・得意な子どもと苦手な子どもが二極化している。

→ 「なぜそうなるのか」を理解するため、説明型課題を導入する。説明型課題を解く際は、班を単位とした学び合いとする。授業の後半は練習問題の時間とし、個別指導を行う。

道徳の授業におけるスプレッドシートを活用した振り返りの蓄積

メリット
・通知表の道徳所見を書く際に有効活用することができる。

デメリット
・振り返りの文章の量と質に差が出る。

→ 実践を継続する。振り返りをする視点やポイントを継続的に指導する。

Canvaの活用

メリット
・子どもたちの学習意欲が高まった。

デメリット
・学習と関係のない「デザイン」にこだわる子どもが見られる。
・活用の幅が限定的である。

→ Canvaの活用例を教師自身が学び、学習内容と親和性の高い活用法を見出していく。

コーチング的問いかけ

メリット
・教師からの指示を待つことなく、主体的に行動することができる子どもが増えてきた。

デメリット
・教師が「問いかけ」を忘れ、指示をしてしまうことがある。
・一部の子どもは教師からの指示が必要な状態である。
・教師の問いかけが、子どもの思考を誘導してしまうことがある。

→ 実践を継続する。コーチングで子どもの思考を誘導することなく、拡散・収束できるようにしていく。

評価におけるパフォーマンス課題

メリット
・総括的評価の際に、パフォーマンス課題の成績を考慮することで、「思考・判断・表現」を評価しやすくなった。

デメリット
・パフォーマンス課題を作成する時間がかかる。
・45分間で終わらない子どもが出て、休み時間に行わせることになってしまう。

→ 実践を継続する。パフォーマンス課題の形式を「ICT」と「紙媒体」で選択できるようにする。タイムマネジメントの重要性を指導する。

形成プリントと「〇〇の力」ワークの採用

メリット
・形成プリントを授業で活用することで、子どもたちの理解度を把握し、指導に生かす「形成的評価」をすることができる。※算数のみ
・「〇〇の力」ワークを家庭学習にすることで、漢字練習や授業の復習になっている。※国語のみ

デメリット
・形成プリントがお荷物(ただ消化するもの)になってしまっている。※国語のみ
・「〇〇の力」ワークの内容が、授業の進度と一致しないため、家庭学習に不向きである。※算数のみ

→ 来年度以降は、算数のみで形成プリントを採用する。また、算数では「計算ドリル」「計算スキル」を採用する。国語では、「漢字ドリル」「漢字スキル」「〇〇の力」のいずれかを採用する。

市販の問題集のデジタル的活用

メリット
・教師が子どもの人数分の印刷をする手間が省ける。
・子どもが学習ページを主体的に選択することができる。

デメリット
・カメラを使っているのでうまく撮れなかったり、混雑したりしてしまう。

→ なるべくPDF形式にして、Classroomにアップするようにする。

1週間単位の家庭学習の計画・実践

メリット
・自分の1週間のスケジュールに合った、無理のない家庭学習の計画を立てられるようになってきている。
・家庭学習カードに各々が計画を書くため、連絡帳を書く機会が大幅に減った。
・漢字の練習&活用練習は成果が出てきている。

デメリット
・「宿題=作業」的な感じを払拭できていない。
・結局、ノルマがあるので、教師が毎朝チェックし、やっていない子どもに声をかけることになる。

→ 漢字の練習&活用練習は継続する。算数は「けテぶれ」を導入したい。OPPシートの自己評価で「苦手なところ」を自主的に学習できるとよい。または、「説明型の家庭学習」を導入したい。


以上が、令和5年度からはじめた実践の総リフレクションである。

やはり、教師は「省察的実践家」でなければならない。

自分の教育実践を絶対視せず、常にリフレクションし続ける必要がある。

そして、リフレクションから得られた学びを今後に生かし、実践をアップデートしていくことが求められる。

そのような教師としての姿勢を、めがね旦那さんは「未練込みの決断」と表現している。

自分の教育実践に対して悩み葛藤し続けながら、よりよいものを模索し続ける。

そんな姿勢が、「人間を相手に仕事をする教師」には求められるのではないだろうか。

これからも、自分の実践をリフレクションし、アップデートを重ねていきたい。

では。

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