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遺跡はもう飽きた病

「遺跡はもう飽きた」病。

世界一周などの長い旅をしていると誰もがかかる病のこと。


主に

・遺跡でお腹いっぱいになる

・遺跡を見てもたいして感動できない自分に嫌気がさす

・遺跡より暑さが気になりだす(東南アジアで発症した場合)

・スマホの写真フォルダが遺跡でいっぱいになる

などの症状がみられる。


旅に出発する前は、あんなに行きたかった遺跡。遺跡自体の価値はもちろんわかっているつもりだし、来れた嬉しさもある。でも、初めて遺跡を見たときのように感動できていない自分が情けない。そして、遺跡に滞在する時間も心なしか減っていっているような気がする。こんな風に思い始めたら、あなたも「遺跡はもう飽きた病」だ。


この病にタイのアユタヤでかかってしまった。よりによって遺跡の宝庫アユタヤで。カンボジアでかかるよりはまだマシか?

自転車を借りて遺跡をめぐる。全く楽しめないわけじゃない。遺跡を見れば感動もするし、次の遺跡はどこだろうと楽しくなって地図に目をおとす。

でも、一緒にいる妻との熱量が明らかに違う。1つ1つの遺跡にいたく感動し、周囲をじっくりと歩いて巡り、写真を何枚も撮るなどしている妻。

それに対して、見た瞬間は感動するものの、おおまかな姿を見たらもうそれで満足してしまい、だんだんその遺跡に飽きて、「遺跡よりアユタヤにある全ての涅槃像を巡った方が面白いんじゃないか」なんてことを考えてみたりする僕。

外国人旅行者がおもむろにカバンから取り出すバナナを見て、「本当に外国人はバナナを持ち歩きがちだな」「それにしてもバナナは持ち歩きやすい果物だな。カロリーメイトもあれには勝てないな。」などと考えだす始末。そして、暑さが気になりだす始末。


世界一周のはじめのころ、インドネシアのジョグジャカルタでボロブドゥール遺跡を見たときのあの感動はどこに行ったのだろう。

カンボジアで、ベンメリアという遺跡を訪ねたとき、降っている雨を気にすることもなく、写真を撮り続けた僕はどこへ行ってしまったんだろう。

ちなみに、雨のベンメリアは神秘的で、退廃的で本当におすすめだ。ぜひ、雨の日を狙い訪れて欲しい。


そんな病でも、やっぱりこれは気になる。

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誰もが一度は写真で目にしたことあるこの場所。(これは遺跡なのか?遺跡の定義とは?)

ミーハーとはこのことをいう。先ほどまでアユタヤの遺跡より、外国人の携帯しているバナナに興味をそそられていたくせに、今はこれの写真を撮りまくっている自分がいる。


旅をしていると、自分の人間性がさらけだされる場面が多々あるが、今がまさにそれだ。「熱しやすく冷めやすい。」そう言えば聞こえはいいが。どうやら僕は竹野内豊にはなれないようだ。(映画「冷静と情熱のあいだ」)


ただ、この病のひじょうにやっかいな点は、治療に際しておおきな副作用をともなうことだ。治療法は1つしかない。日本に帰ってしばらく旅をひかえればいい。


しかし、そうなってくると大きな副作用に悩まされる。「遺跡に行きたい」という禁断症状だ。あれだけ、「飽きた、飽きた、バナナ、バナナ」と思っていたはずなのに。

頭の中は遺跡でいっぱい。テレビに映ったあの遺跡に想いをはせ、行きたい遺跡などをリストアップしだす始末。挙句の果てには一度行ったことがある遺跡が、今どんな風に変貌しつつあるのかまで気になりだし、「人生はやっぱり短い」なんて哲学的ことまで考え始める。

これがいわゆる禁断症状である。一度、旅に出て、遺跡を目にしたものは、この禁断症状と「遺跡はもう飽きた」病の狭間で幸せにもだえることになる。これが旅人の実態だ。


今はなかなか海外へ旅に出られないけれど。いつかまたあの憧れの遺跡に行って「もう飽きた」となるまで味わい尽くしたい。そんなことを考えつつ、こんな文章を書いてしまいました。


最後に禁断症状が出そうな写真を何枚か貼って、今回の話を終わりにしようと思います。

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アユタヤ(タイ)

2017-05-18 07.04.18のコピー

ボロブドゥール遺跡(インドネシア)

2018-01-26 11.40.30のコピー

トゥルム(メキシコ)

2017-07-16 18.01.48のコピー

ベンメリア(カンボジア)


最後まで読んでいただきありがとうございました。

サポートしていただいたお金は、旅の資金に回し、世界のどこかであなたのことを勝手に想像してニヤニヤしたりなどします。嫌なときは言ってください。