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バリ島の食堂がすごくおすすめなので、今すぐバリに行きたいという話

バリ島という場所に半信半疑の人がいるかもしれない。日本人観光客が集う場所。もはやそこには観光地としての顔しかないみたいなイメージをお持ちの方が。

でも、そんな人も、そうじゃなくてバリ大好きだけど?な人もぜひ行って欲しい食堂がある。


それが「ニクマット」というローカルな食堂だ。

ニクマットというと、日本人からすれば何やらとても肉々しい名前だが、ハラル料理のお店である。ハラルとは、簡単にいえばイスラム教の中で「許されている」ことをさし、ハラルフードとはイスラム教徒が食べてもいいものを指す。

イスラム教では、豚やアルコールは食べてはいけないとされているので、そういった禁止されているものを除いた食べ物のお店と考えるのがわかりやすい。


ただ、別にそこは今問題ではない。

このニクマットというワルン(インドネシア語で食堂のこと)。世界一周で出会ったレストランや食堂の中でも、トップにおどりでるほどの名食堂で、もう一度バリに行きたい理由の一つがこれなのだ。(バリには何度だって行きたいし、それ以外の理由も山ほどあるけど)


お店は、8:00~21:00まで開いている。おすすめは、朝少し遅めの時間帯に行くこと。9:30くらいがベストかもしれない。

ベストと言っておきながら、「かもしれない」をくっつけるなんてなかなかの、のんびり感だが、そんなのんびり感がバリにはあるからいいだろう。


店の真ん中にはショーケースがあって、そこに様々な料理がならんでいる。料理の種類はとても多くて、どれを選べばいいかわからない。でも困る必要はない。

店員のお姉さんがお皿を持って、一緒に選んでくれる。


お店のお姉さんは、客が日本人だとわかると「食べる?」と日本語で話しかけてくれる。

海外で食堂のシステムがわかっていない時の突然の「食べる?」は本当にずるい。日本語が聞こえたことで、安心するし。それが人間の三大欲求の一つをくすぐる言葉であった場合、思わずうなずいてしまうものだ。


ショーケースの向こう側から指でも指して選ぶのかと思っていたら、お姉さんはショーケースの中に僕たちを招き入れる。特別な空間に招き入れられたような感覚になって、よりお姉さんのことを信用してしまう。


そして、お姉さんは信用に値する。お姉さんがトングでさした料理に、ただうなずいておけば、美味しいナシチャンプルが出来上がる。ちなみにナシチャンプルとは、ワンプレートにごはんといろんなおかずを盛りつけた形式の食事のこと。インドネシアでは一般的な食事だ。

お皿の上には、大豆からできたテンペや魚料理、少し辛いけど絶品なチキンなんかが、ところせましと並ぶ。


ちなみに、僕は初めて行った際、お姉さんを信用しまくって、おすすめされる料理全てに「うん」とうなずいたら、最終的にお姉さんが笑いながら、そんなに食べられるのかと心配してくれた。なんていいお姉さんなんだ。

ただ、いくらお姉さんが信用できる人物だからといっても、料理選びには理性が必要だ。


そして、このお店のおすすめはナシチャンプルだけじゃない。

ぜひ一度「ソトアヤム」というスープを頼んでみて欲しい。インドネシア語で、ソトはスープ、アヤムは鶏。
鶏を煮込んだスープに、野菜やスパイスを投入。具沢山なスープができあがる。あっさり味だけど出汁の味がしっかりしていて、これとご飯だけでも十分満足な朝ごはんになる。

あんまりお腹が空いてない日には、ソトアヤムだけで済ませてもいいくらいだ。


僕と妻はバリにいる間、ほぼ毎日この店に通っていた。朝ごはんか昼ご飯は、ほとんどここで食べた。(朝ごはんか昼ごはんかは、起きる時間によって変わる。)

すると店の人とも、次第に顔なじみになってくる。彼ら(店には男性の従業員もいる)は、僕の顔をみて「お前はどこの出身だ?日本語を話しているけど、日本人なわけがない」という。「お前はバリ人よりも顔が濃いから、ジャワ人だ。」と言い、僕はそんなわけはない。生粋の日本人だと言い返す。毎日その一連の会話を繰り広げて、笑い合う。そんな風に、毎日店に通う。


妻はソトアヤムとごはんのセットを注文することが多くて、お姉さんたちは妻の顔をみるなり。「ごはん?」と聞く。ソトアヤムはどうせ頼むからご飯がいるかどうかを確認してくれているのだ。

いつの間にか、ソトアヤムは「いつもの」になった。いや、「いつもの」というセリフすら必要ない。


バリ滞在最後の日は、もうこのワルンで食事できないことが何より悲しかった。お姉さんたちに、明日旅立つことを告げると「また来てね」と明るい笑顔で言ってくれた。彼女たちの方が、旅立ちに慣れているのかもしれない。


バリに行ったら、とにかくニクマットへ行けばいい。2,3日通ってみて欲しい。

ちなみに、ニクマットの隣の麵屋もとてつもなく美味しい。でもそれはまたいつか話すことにする。


ソトアヤムが食べたい。お姉さんの「食べる?」が聴きたい。バリに想いを馳せるとき、いつもそう思う。

サポートしていただいたお金は、旅の資金に回し、世界のどこかであなたのことを勝手に想像してニヤニヤしたりなどします。嫌なときは言ってください。