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海外子会社でよく聞く親会社への不満

監査人としてクライアントの海外子会社に往査に行くと、だいたいどの会社でも似たような愚痴を聞くことになります。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

監査マネジャーになってからパートナーとして監査法人を辞めるまで、いろんなところに海外往査に行かせていただきました。
クライアントによって、また地域によって子会社の状況は違いますが、親会社から派遣されている駐在員から出てくる愚痴は似ています。



海外子会社でよく聞く親会社への不満

「こっちは一人で対応してるんだよ💢」

親会社のあらゆる部署が報告を求めてきて、一つひとつはたいした内容でなくても、積み重なるとたいへんな作業になっています。しかも、定期的な報告は増える一方。

日本語での報告だと、駐在員しか対応できません。
あるいは英語などでよくても、現地のスタッフに頼もうとすると「親会社対応は私の仕事ではない」と言われたり、すでに忙しすぎて困っていると不満を言われたりして、面倒になって駐在員は自分で何とかすることになります。

報告を求める人たちは、ほかの部署からどんな依頼が行っているか知らないので、似たような内容の報告を頻繁に求められることも。
誰もいない会社で(あるいは単身赴任の部屋に戻って)、夜な夜なレポートを作っていると、愚痴の一つも言いたくなりますよね。

「口出すだけで、助けてくれないのかよ💢」

やたらと「あれやれ」「これやれ」と言ってくるのに、助けを求めると塩対応、というのもよく聞きました。
親会社で子会社への窓口になっている人は、たいした権限を持っていないことが多いし、自分が動くべきなのかどうかも分からない。

結局、駐在員は、元上司や同期などこれまでに培った社内ネットワークを駆使して自力で解決することになります。
この会社に転職して間もなかったり、海外子会社採用だったりすると、ネットワークがないため皆さん苦労されています。

「お前がここに来てやってみろよ💢」

自己主張の激しい現地スタッフ相手に、「期限は守ろう」とか「ルールは守ろう」というレベルで毎日戦っているのに、親会社のきれいなオフィスから高尚なことを言ってきやがって。
親会社とか、歴史があって人もたくさんいる子会社とかと同じことを求められても困るんだよ。
できるもんなら、お前が来てやってみろよ。

「OKY」という言葉を聞いたのはずいぶん前ですが、昔も今も変わらない光景ですね。

監査人としても、会計処理や内部統制で一律の対応を求めることが多いので、心苦しいところです。


番外編:外資系の日本法人

子会社は子会社でも、外資系クライアントの日本法人に往査すると、ちょっと違う不満が聞こえてきます。

  • 親会社の担当者がコロコロ変わりやがって、何度同じ説明をさせるんだよ

  • 「○人削減せよ」と問答無用で割り当ててくるけど、こっちは業績もいいし、人が足りないんだよ

  • 親会社から送り込まれてきた社長は、どうしてどいつもこいつも本国の上司にゴマをするしか能がない奴ばかりなんだ

  • マトリクス組織だか何だか知らないけど、上司が複数いて訳が分からない

  • 地域統括会社ができたら、そっちとやり取りすればいいのかと思ったら、親会社にも報告させられて、意味ないんだよ


おわりに

「親会社から、品質だ、安全だ、法務だ、ITだとチェックが来て、その上に内部監査と監査法人。こっちはもう監査疲れですよ」
こんな不満もよく聞きました。

申し訳ないのですが、現地に行くと分かることがあるし、親会社を含めたクライアント全体を知るよい機会になりました。

駐在員の方に了解を得たうえで、日本に戻って駐在員の置かれた状況を親会社に報告したこともあるのですが、効果はあったのか……


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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