見出し画像

監査法人で昇格後におちいりがちな3つの間違い【監査ガチ勢向け】

シニアスタッフへの昇格、マネジャーへの昇格、パートナーへの昇格、それぞれ全然違うようで、共通するところがあります。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

監査法人によって昇格のタイミングは違うと思いますが、直近1年に昇格した方、これからの昇格が決まっている方、おめでとうございます。

昇格する都度、2次元が3次元に、3次元が4次元になるように、これまでと違う変化を感じます。
ただ、どの昇格にも共通するところがあると思うんです。今回は、「おちいりがちな間違い」について、3つの点からお話しします。



昇格後におちいりがちな3つの間違い

💣昇格前と同じスタイルを続けようとして立ち行かない

これまでの職位で何年か働いているうちに、仕事のスタイルが確立していると思います。

例えばスタッフであれば、自分の割当を確かめて、往査初日に(または往査前に)クライアントに資料を依頼し、出てきた資料に基づいて質問や追加資料を依頼しながら調書を作っていく。

シニアスタッフに昇格。同じように仕事を組み立てて往査をスタートしても、不測の事態が多発して思うように仕事が進みません。
クライアントから質問が来る、スタッフの作業が止まっている、マネジャーから急な指示が来る。
やろうと思っていたことがまったく進まないまま、日が経ってしまいます。

シニアスタッフの仕事に慣れてくると、突発事項を予測しながら仕事を進められるようになります。それでも想定外は起こりますが、過去の経験から対応できるケースが増えてきます。

マネジャーになると、関与するクライアント数が増えます。シニアスタッフとして監査の回し方は分かっているので、これまでの延長線上で進めようとします。
しかし、すべてのクライアントに同じように関与しようとすると、まったく時間が足りません。

パートナーになるとクライアント数は倍増、シニアパートナーではさらに増えるので、それまでのアプローチでは破綻してしまいます。

💣求められる判断の量と質に圧倒される

スタッフのときは自分の割当を見ていればよかったのが、シニアスタッフになると監査全体が守備範囲になります。
スタッフは分からないことがあれば質問してくるので、その場で指示をするか、引き取るかを決めないといけません。

マネジャー以上では、さらにクライアント数がどんどん増えます。
10社も担当していると、いつもどこかで問題が起こっています。
問題が重要であるほど、自分が判断するポイントも増えてきます。

判断の量だけでなく、質=難易度も高くなります。
パートナーになると、マネジャーでは判断できないものや、一旦判断はしてくれているが決めるのにリスクがあることへの対応が求められます。
部下が優秀であればあるほど、どうしようもなく難しいものだけ相談され、たまには簡単なのも持ってきてよ、と思います。

💣部下の気持ちが分からなくなる

これまで、私のnoteで何度も触れてきましたが、昇格すると見える景色が変わります。

まったく見慣れない景色に最初は戸惑いますが、なんとか期待されている役割を発揮しようとかんばっているうちに順応してきます。
そして、昇格前に見ていた景色のことを忘れてしまうのです。

シニアスタッフのときには「マネジャーはどうして現場に来ないんだろう」と思い、自分が昇格したら現場に張り付くマネジャーになるぞと思っていたかもしれません。
また、マネジャーのときは、もしパートナーになったらもっと職員に寄り添った上司になると決意していたかもしれません。

しかし、仕事のスタイルを変えざるをえなくなり、日々飛んでくる高難易度の案件に走り回っているうちに、そんなことは忘れてしまいます。


3つの間違いを避けるためにできること

この3つを完全には避けることは難しいのですが、次の二つの対策をとることによって、ある程度は対応できると思います。
ただ、どちらも昇格前からやっておくことです。

✅昇格前から、上司の視界を想像しながら仕事をする

一つ上、できれば二つ上の職位の人たちが、何を見て、何を考え、どのように行動しているかを観察し、想像しましょう。
昇格したときには、ある程度準備ができた状態になっているはずです。

✅今、感じていることを文字にしておく

今見えている視界を文字にするのは難しいですが、仕事のいろいろな局面で感じたこと、考えたことを記しておくと、将来、「部下のことが分からない」と思ったときに参考になります。


おわりに

「間違い」というネガティブな表現にしてしまいましたが、誰もが通る道です。

新しい職位で期待されている役割を果たそうと一生懸命もがいているうちに、より短い投入時間で大きな仕事ができるようになり、難しいと思っていた案件が簡単に思え、部下の気持ちにも配慮できる上司になることができます。
振り返ると、成長してきた軌跡が見えると思います。

各職位の共通項についてお話ししましたが、職位別に見える景色について別の機会に書きましたのでご参照ください。

長年にわたって監査をする場合でも、早くに監査法人を飛び出す場合でも、より多くの方々が監査をしながら成長されることを願っています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?