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ジャニーズ事務所 記者会見から学ぶ不祥事対応

4時間にわたって行われたジャニーズ事務所の記者会見。ガバナンスの勉強と思って全部見ました。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

2023年9月7日14:00~18:12に実施されたジャニーズ事務所の記者会見。
NHK及び民放各社でライブ中継されました(テレビ東京のみ映画を放映)。
登壇者は以下の4名です。

  • 東山紀之氏(新社長)

  • 藤島ジュリー景子氏(前社長)

  • 井ノ原快彦氏(ジャニーズアイランド社長)

  • 木目田裕弁護士

ジャニーズ事務所の件は、前々回のてりたまnoteで取り上げました。
主としてこれまでのマスコミの対応について述べています。

ひょっとして今回お読みいただく方々の中には、いつか不幸にして謝罪会見をすることになる方がいらっしゃるかもしれません。そんな万一の場合に備えて気づいた点をまとめます。
なお、記者会見の内容については触れていませんので、各種報道をご参照ください。


タレント二人のコントラスト

記者会見では、やはり新社長として東山氏が話す場面が多く見られました。
東山氏は、普段テレビで見るとおりのシャープなイメージ。隙(すき)なく淡々と語る口調は事務的にも聞こえ、特に前半ではドラマの中の役柄を脚本どおりに演じているように錯覚します。
途中からは疲れもあってかやや崩れ、少し踏み込んだ話をする場面もありました。

一方、ジャニーズJr.を擁するジャニーズアイランド社長の井ノ原氏は、やわらかい人柄がにじみ出ていました。困っている様子を隠さなかったり、その場で思い出したことを話すなど、準備された回答をなぞるのではなく、本音で語っている印象を受けます。

実際に二人がどうだったかは分かりません。
ひょっとすると井ノ原氏の方が演じていた可能性もあります。(そうであればすごい演技力だと思います)
ただ、人柄の出し方で、受け取る印象はずいぶん変わると感じました。


謝罪会見での正しい立ち振る舞い

謝罪会見を含め、不祥事が起こったときの記者会見では、説明する側はとても弱い立場です。
本来、記者の皆さんに対して謝っているわけではないですが、いくら厳しい質問をぶつけられても丁重に答えないといけません。
その姿は全国に放映され、切り取られ、何度も使い回されます。

今回の記者会見を見て、重要なポイントが3つあると感じました。

◆ 記者会見はトスバッティング

たまたま3週間ほど前にX(Twitter)でこんなポストをしました。

今回のジャニーズ事務所の記者会見も同じで、マナーの悪い記者の質問であっても、感情的になることなく打ち返していたと思います。
そこで言い争いになってしまうと、登壇者の発言だけが切り取られて「やっぱり反省していない」「本性が現れたw」などと拡散されてしまいます。

◆ 質問には真摯にとことん答える姿勢を崩さない

司会は冒頭に「質問はお一人一つ限りで」とくぎを刺していましたが、記者は誰も守りません。
当てられていないのに質問したり、終了しようとしているのに勝手に質問をする人もいます。
司会はコントロールしようとしますが、登壇者、特に東山氏がそれを制して回答する場面が多数ありました。

まったくの想像ですが、登壇者は真摯にとことん回答し、司会は悪者になって場をコントロールする、という役割分担があらかじめ決められていたのかもしれません。
そうすることで、登壇者の好感度を下げないようにできそうです。

◆ 長丁場を乗り切る体力と精神力

謝罪会見なんて、誰もが逃げ出したい場面。しかも、会見を開くほどの大問題が起こって何日も走り回っているわけですから、スタート時点ですでに体力的にも精神的にも追い込まれていることが多いでしょう。

その状態でテレビカメラの前にさらされながら、失言すれば即炎上、はぐらかせばやはり炎上、口ごもれば一斉にフラッシュがたかれるという綱渡りを強いられるわけで、かなり過酷な状態です。

普通の人なら、疲れてしまって意識がもうろうとしてしまうところ。
そこで気を抜いた表情を見せたり、不用意な発言をすると、その部分が切り取られる。それまでの努力が台無しになってしまいます。


記者のマナー

ここでは記者をたたく趣旨ではなく、記者会見を開くときにはこんな記者もいますよ、という情報提供の目的です。

◆ ルールは誰も守らない

冒頭に1回1質問と言っていますが、ほとんどの人が守っていません。
マイクのスイッチが切られても、地声で質問を重ねる人もいました。

もっとも、質問に対して十分な回答が得られなかったり、回答の中に追加で質問をしたいことがあるのが通常だと思いますので、質問一つで切られるのはつらいということも分かります。
何かよい方法があればよいのですが。

◆ 感情的に正義を振りかざす人

過去の記者会見で、記者が激高して暴言を吐き、処分を受けたり所属する報道機関が謝罪したりということが何度もありました。
今回は「暴言」とまではいきませんが、やや感情的になり、登壇者に首を縦に振らせるまでたたみかける人も。

他方、静かな口調を保ちながら鋭い視点で切り込む記者もいて、そんな人にはプロフェッショナリズムを感じました。

◆ 持論を延々と語る人

意図がよく分からないのですが、自分の意見をとうとうと語る記者もいました。話し終わっても、結局何を質問したかったのかよく分からなかったり。

あいまいな質問にはあいまいに答えればよいので、実害はないかもしれません。


おわりに

たまたまジャニーズが続きましたが、芸能ネタに転向しようという趣旨ではありませんので、ご安心ください。(万一心配されている方がいらっしゃれば)

世の中にガバナンスの教材はいくらでもあるなと思う今日この頃です。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま


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