今日の仏教語 その4
みなさま、こんにちは。
創作系寺嫁のゆかでございます。
今日お伝えする仏教語は、「縁」です。
たまに「緑」と書き間違えそうになるあの「縁」です。
いや、これが仏教語なんて、常識じゃん?? という方もおられると思います。私も、どちらかと言えばそう思っていたので、あえて言う必要はないかな、と当初の候補からは外しておりました。
が、気付いてしまいました。
我が国日本には、「縁結びの神様」が多数いることを!!!
この代表的な仏教語である「縁」を「結ぶ」のです。
もちろん、縁結びの寺もございます。
(これはこれで、私の中で物議をかもしている問題ですが、またの機会にいたします)
ちなみに、「結ぶ」という言葉は、『古事記』にも書かれているような超日本的な言葉です。
ですが、「縁」は仏教由来。つまりは外来語なのです。
さてここで恒例の、日本国語大辞典さまにお出ましいただきましょう!
まずは「縁(えん)」を引いてみます。
二つ以上のものが寄り付いてかかわりを持つ作用を表す。
とあり、その後にしっかりと、「仏語」とありますね。
ともみさんいわく、仏教の言葉としては、「縁」一文字よりも、「因縁」「縁起」などの二文字熟語として使われることが多いそうです。
日本に入って来た仏教は、一旦中国語に翻訳されたものであり、中国語は基本的に熟語で構成されているので、そこはなんの不思議もありません。
更にここで、別の読み方を引いてみました。
まずは「ゆかり」。「ゆかり」はおそらく当て字です。
なんらかのかかわりあい。多少のつながり。を表す和語を「ゆかり」と言い、多くの参考文献も平仮名表記のようです。
それが、似た意味を持つ「縁」を当て字するようになったのではないかと推測できます。
次に調べたのは「えにし」です。
こちらは仏語の「縁(えん)」由来でした。
古語の発音では、「縁」は、「えん」ではなく「えに」と読んでおり、それに強調の助詞である「し」がついて「縁し」→「(縁)えにし」とまとめられるようになった、というタイプの日本語だそう。
大変和語っぽい読み方なので、古くから和歌にも使われるようになりました。外来語からできた和製英語が、日本語だと思われているようなものでしょうね。
「スマート」だとか「シビア」だとか、「キャンペーン」などが似たあたりでしょうか。
こういう話もともみさんとよくするのですが、そもそも元の英語でどういう意味か知らないで使っている外来語ってかなり多いんですよね。
とくに「シビア」とか、どなたが知ってらっしゃる方いらっしゃいます??
閑話休題。
ともかくも、「縁」は完全に仏教由来の言葉であることが分かりました。
仏教がなければ日本語に「縁」という言葉は存在せず、「ゆかり」にも「縁」という字は当てられなかったでしょう。
さあ、ここでもう一度登場です。
「縁結び」
縁結びで有名な神社に祀られている神様のほとんどは『古事記』に出てくる神様ですが、当然のごとく『古事記』に「縁結び」なる考え方は存在しません。
そんなご利益があるだなんて、書かれてもいないのです。
「縁」は仏教由来。「結び」は日本古来のもの、もしかすると日本神道的な考え方です。
「縁」を結ぶ神様も、縁を「結ぶ」仏様も、こう考えればなんだか奇妙な感じがしますね。
平安時代に神仏習合が行われて、仏教と神道の垣根が低くなり、まぜこぜにされた時期がありましたから、ここらへんの時代に混ざってしまったのでしょう。
神様も、まさか自分たちが縁結びの神様になるとは思っていなかったでしょうね。
しかしながら、縁結びを謳われてから、早数百年、古ければ千年経っていても不思議ではありません。神様自身も、もしかしたら「昔は縁結びなんて仕事はしてなかったのになあ」ということすら忘れてしまっているかもしれませんね(笑)
などということを考えていた、七夕の夜なのでございました。
おしまい!
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