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お隣の概念が、結婚したら崩れた件について。


皆さま、こんにちは。創作系寺嫁のゆかでございます。

みなさまは、生活圏が変わったことで、文化の違いを感じたことはありますか?

私は愛媛に生まれ育ち、奈良で進学・就職期を過ごし、それから三重に嫁いでまいりました。

温暖で恵まれた気候から、夏炉冬扇の盆地を経て、鈴鹿卸の厳しい土地にやってきましたので、さまざまな点でカルチャーショックを受けたものです。

その中のひとつに、「隣」という概念があります。ご近所さん、という意味の、「お隣さん」です。
実家にも、一人暮らしのときにも、当然「お隣さん」はいました。
親密な付き合いをするか、ご挨拶だけの間柄になるのかは人それぞれだと思いますが、とにかく、わたしにとって「お隣さん」とはそういったものでした。

が、ある日、お義母さんがおっしゃるのです。
「ちょっと、お隣さんにお届け物をしてきます」

お寺というものはかなり大きな建物ですし、「アパート住まいのお隣さん」のように、敷地がぴったり隣り合わせになったお宅はありません。

はて、この立地の「お隣さん」とはどなたのお宅のことだろう?

と、わたしは思いました。

嫁いできて日が浅いので、あそこのお宅はだれだれさん、こちらのお宅はだれだれさん、というのもうろ覚えです。
当然、わたくし、尋ねました。

「どこに行かれるんですか?」

聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥。
ましてや、「お隣さん」と呼ぶようなご近所付き合いは、これからこの地域でお世話になるうえでかかせません。
覚えねば!という意気込みで尋ねた問いに、お義母さんは答えてくれました。

「ここと~、ここと、あとはあそこやね」

ん???

「それから、裏の〇〇さんと、〇〇さんと〇〇さん」

まってまって??

お隣さんって、どうやっても「右隣」と「左隣」の二軒でしょ??
裏にあるお宅なら、それは「裏」であって、「隣」じゃないんじゃ??

混乱する頭で聞いてみると、どうやら「隣」は13軒ほどあるそうで。

どういうことー???

尋ねてみても、「昔からそう呼んでいた」とのことで、なぜ「隣」が13軒もあるのか、そもそも隣合ってないお宅を「隣」と呼ぶのかが分かりません。

田舎って謎だなあ……と思っていたのですが、最近になって、ひょっと思い出しました。

そういやなんか、「隣組」とかいう言葉があったな???

もともと江戸時代に「五人組」というくくりはあったな、と思っていたのですが、あれは年貢の確保が目的ですから、「寺」が仲間に入れられるかしら?と、自分の中でその説は否定していました。

が、調べたところ、「隣組」とは、戦時中に作られた制度です。

ウィキペディアにも、「10軒前後の世帯を一組とし、団結や地方自治の進行を促し、戦時下の住民動員や物資の供出、統制物の配給、空襲での防空活動などを行った。」とあります。

今となってもこの「隣組」のくくりだけ残っていて、今の町内会や回覧板を回すグループなどはこれに基づいていることもあるそうです。

なるほど、これかあ!

とようやく腑に落ちた午後のひと時なのでした。

でもまあ、まだまだよく分からないくくりになっているグループはあるんですけどね。


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