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この人は、嘘みたいなことを、本気で思っているのだ

BUMP OF CHICKENのライブに行ってきた。
ツアー「ホームシック衛星2024」有明アリーナ初日。
藤原基央が本気だった、もうどうしようもなく本気だった、という話。

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私がBUMPを聞き始めたのは中学生の頃。部活で仲の良かった先輩がBUMPファンだったのがきっかっけだった。
(BUMPとの出会いはまた別の記事にしようかな…)

そんなこんなで彼らの音楽と、彼らの看板と、彼ら自身を好きになって、気がつけば10年が経った。
彼らのライブに行くのは3回目。本当に楽しくて、最高で、あぁやっぱりこのバンドが世界で一番好きだと思える時間だった。

人生初のライブだった2016年のBFLY、運よくツアーファイナルに入れた2019年のaurora ark。私自身が若かったこともあり、ライブという場所そのものに興奮していた部分も大きかったように思う。

それに比べて、今回のホームシック衛星は地に足をつけて楽しめたライブだった。
仕事と研究に明け暮れていて、私も多少おとなになって「ライブ」に対する特別感が10代の頃ほどは自分の中になくて…とにかく日常生活の中に突然現れたライブだった。

当日までを指折り数えて待つような可愛いことはしていなくて、前日になって「あ、明日か。場所どこだっけ」とドライヤーをかけながらGoogle mapで経路を調べるような落ち着きようだった。

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こうやって書くと誤解が生まれそうなのでもう一度。
私は10年来のファンで、自分で言うのもなんだけどかなりコアな感じでBUMPが好きです。
コアというのは、まず大前提に彼らの音楽とことばが人生のお守りになっているという意味だし、4人を含めたBUMP OF CHICKENというチームに惚れ込んでいるという意味だし、PONTSUKAリスナーですという意味だし、俺お前ビリーブ♪の続きを大きな声で歌えますという意味です。ラプンツェルのやつも歌えますよ!

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で、話を戻して、そう、落ち着いて、ある意味で冷静に「内容そのもの」に集中できたライブだった。
だからなのか、藤原基央の本気度合いが胸に残るライブだったのだ。

彼は常々「大勢の中のひとりだと思ってんじゃねぇ!俺はおまえに会いにきたんだ」ということを伝えてくれる。
なんなら「勘違いすんなよ」のニュアンスさえ感じたこともある。
パフォーマンスやファンサービスではなく、いつでも本気の様相を持って伝えてくれる。

今回のライブで、その藤くんの言葉が、100%の本当の本気なのだと気づいてしまったというか、疑いようがないじゃないかと思ってしまった。
「しまった」というのは、芸能人やアーティストに対して一般人である私がそういう感想を抱くのは、普通に考えればただの妄想でしかないからだ。
でもライブの非日常要素の影響をあまり受けていない、ちょっと冷静な状態でそう思ってしまったもんだから、そのリアリティに慄いているのだ。

いやいやそんなわけないし、普通に考えればやばいファンの妄想だし。
でも、あの人が本気だったのは疑いようがないんだよな、あの話し方、歌い方で本気じゃないわけがないんだよな。えぇ…?
そういう戸惑いの横で「あ、この人本気だ」というストレートな感覚が僅差で勝利していて、トータルの感想として妄想ではなく事実として自分の中に残っている。
なんということだ。

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私がBUMPと出会った頃にはもう既に「一対一が何万通りある」と繰り返し言っていたような気がする。
別にそれを嘘だと思っていたわけではない。決してない!
ただ、どちらかというと「そういう信念・哲学を持って音楽をやってるんだな。かっこいいな」という憧れに近い感覚で、遠くにいるすごい人のすごい考え方を覗き見させてもらっている感覚だった。

でも、それはちょっと違ったみたいで、藤原基央はそれを「考えてる」だけじゃなくて、本当に何万通りの一対一を実際にやってのけていたみたいだ。
そしてその何万通りある一対一の中に、自分とBUMPの一対一も入っていたみたいだ。
えぇ?そんなことある?すごいな。

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「宇宙飛行士への手紙」で「死ぬまでなんて嘘みたいなことを本気で思うのは」という歌詞がある。
文脈は違うかもしれないけれど、「嘘みたいなことを本気で思う」、まさにそういうことなんだろう。
ここで「本気で思う」だけじゃなくて「嘘みたいなことを本気で思う」というBUMPだから、そういう現実主義なところがあるBUMPだから、信じられる。

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ずーっと本気だったBUMPの、藤くんの言葉を、疑ってはいなかったもののその本気度合いに気づけていかったことになんだか申し訳なく思った。
でも今回のツアーでどうしようもなく信じてしまったから、スタンド席で近いとは言えない距離だったけど「BUMPに会ってきた」という感覚になってしまった。やばいファンだ。
リアルの知り合いばりの心理的距離。
秀ちゃんとヒロくんとお酒を飲みたいし、藤くんとチャマとはジンジャーエールで乾杯をしたい。

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別にこの感想が真実でも思い込みでもどっちでもいいけど、そう思わせてくれたBUMPってすごい。
最強のお守りになってくれてありがとう。

以上、藤原基央が本気だった、そしてBUMPがそう思わせてくれたことが嬉しかった、という話でした。


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