ピタゴラス三角形の面積は6の倍数

3つの辺の長さが自然数となる直角三角形を、ここではピタゴラス三角形と呼ぶことにする。

以下「ピタゴラス三角形の面積が6の倍数となる」ことを示す。

補題として、ピタゴラス三角形の直角を挟む2辺の長さ$${x,y}$$は以下リンク先で求めてあるので、これを用いる。

さて、ピタゴラス三角形の面積$${S}$$を、$${a>b>0}$$なる自然数$${a,b}$$を用いて表して、下記のように変形する。

$$
\begin{align*}
S&=\frac{xy}{2}\\
&=ab(a^2-b^2)\\
&=ab(a^2-1-b^2+1)\\
&=ab{ (a-1)(a+1)-(b-1)(b+1) }\\
&=(a-1)a(a+1)b-(b-1)b(b+1)a\\
\end{align*}
$$

このように式を変形すれば、$${S}$$は各々が4つの因数に分解された2つの項の差の形で表すことができ、どちらの項においても、4つのうち3つの因数は連続した自然数となっていることが分かる。

ところで、3つの連続した自然数には、偶数と3の倍数がそれぞれ少なくとも一つずつ存在するから、その積は必ず6の倍数になる。

そこで、これら2つの項が6の倍数であることをわかり易くするため、自然数$${p,q}$$を用いて


$$
\begin{align*}
(a-1)a(a+1)&=6p\\
(b-1)b(b+1)&=6(q-1)\\
\end{align*}
$$

と表す。$${6(q-1)}$$としたのは$${p>q}$$であり、$${n-1}$$が0となる場合があるためである。

以上より、ピタゴラス三角形の面積$${S}$$は

$$
\begin{align*}
S&=(a-1)a(a+1)b -(b-1)b(b+1)a\\
&=6pb - 6(q-1)a\\
&=6(pb - (q-1)a)\\
\end{align*}
$$

面積は正であるから、$${pb - (q-1)a>0}$$であることは自明であり、ピタゴラス三角形の面積は6の倍数となる。

(例)ピタゴラス三角形の3辺の長さと面積

$$
\begin{array}{}
&x=&y=&z=&S=&\\
&2ab&a^2-b^2&a^2+b^2&xy/2&\\
\hline
&4&3&5&6&\\
&12&5&13&30&\\
&8&15&17&60\\
\hline
\end{array}
$$

以上


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