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つなぐ。そして次の世代へ。

計画相談という仕事は、新規を受け入れなくなると、途端にモチベーションに影響してしまう厄介な業務である。別に面倒であるとか、やる気がないとかそういったものではなく、新たなケースを受け入れることでもたらされる数多くの課題を、その解決に向けて日々明け暮れることになるが、逆にその役割が、私たち自身にとって求められる役割であり、それこそが計画相談としてのパワーやエネルギーになっているのを感じるのだ。だからこそ今の私は、他の業務も相まって新規を受け入れる余裕がないため、課題解決の日々からは少し解放されることになっているにも関わらず、同時に、得も知れない虚無感ともいうべき感情に襲われる。今は、まさにそんな時期なのだろう。

であれば、新たな利用者の受け入れを行えばよいではないかと言われそうだが、この業務が長くなるにつれて、私自身の法人役員としてに役割も大きくなっていく実情がある。もっというならば、計画相談を維持するためには、不安定な事業だからこそ、私が所属する法人であっても、計画相談以外の事業を確実に発展させていかないといけないのだ。だからこそ、今の今でも、自分自身が確実に精神的にも肉体的にも疲弊している状況を客観的にみながら、虚無感に襲われる自分のこころの移ろいを感じるようになっている。それは決して、年齢を重ねた私にとって、その失いつつある若さだけが原因・理由ではない。意欲というか疲労というか、課題に直面しようとする活力ともよぶべきそのパワーがなくなっている感覚とも言える。とにかく、利用者や課題に対して向き合うことに対して少なからず「拒否反応」が出てくるのだ。

別の側面から考えると、確かにこの地区で計画相談を始めた時期は、他の誰よりも従事した時期が早かったこともあり、この地区においては、先駆者としての評価をいただいていたと思っている。しかし、それはすでに過去の話で、実際の私が感じているのは、計画相談を始めた時期は、確かに計画相談の相談支援専門員としての評価をベースに求められている実感があったが、今となっていは、新しく計画相談を始める相談支援専門員の方が、私たちの時代よりも確実に丁寧で、細やかな業務をおこなっているという現実である。それを横目に見て、私自身がそれでも業務の優位性が高いかと問われたら、私はむしろ、今の相談支援専門員の方がより難しい場面に対応していると思っている。だから、もう、計画相談の相談支援専門員として前に出て何かをすることが、恥ずかしいというか、もはやその役割から離れたい気持ちでいっぱいになるのだ。

おそらく、これが計画相談として全速力で走ってきた9年目の個人的な、しかし、私にとって大きな課題なのかもしれない。燃え尽き症候群にも近い、疲弊した状況。今の私にとって、とにかく「ここまできたのだ」と思うことしかできない感覚である。9年目に入って、今、私が感じるのは、先述した通り、若い、次の世代の台頭である。若いといっても、年齢が若いのではなく、この業界に飛び込んできて、新しい気持ちで取り組もうとしている相談支援専門員を意味する。その周囲でみているだけで、眩しくもあり、同時に羨ましさも感じている。私も8年前は、そんな気分だったような気がするが、今の私には、微塵も感じない感情である。業務としては、確かに成熟しているのかもしれない。経験を重ねたことによって、自分の役割は自分で決めることから、リスクを避けることも事前に察知できてしまう。今の自分の状況を冷静に分析して、受け入れを行う可否を決める力を持ってしまったために、新しい状況に向き合うエネルギーを失いつつあるのだ。周囲から求められるものも変わっているようにも感じる。しかし、今の私には、それを受け入れる力は持ち合わせていない。

計画相談の仕事も、相談支援専門員の仕事も、私はきっと大好きだと言える。何を隠そう、私の人生の大半は、相談支援従事者としての業務であり、今更他のことに手を出そうとも思っていない。他の誰から、何を言われようとも、私は、この地域で、基幹相談支援センターよりも先に、自立支援協議会の相談支援部会よりも内容は濃く、計画相談支援業界全体のことを考え行動してきた自負がある。周囲を見渡せば、頼りになる計画相談支援事業所であり、相談支援専門員ばかりである。そこには、大袈裟ではなく、私たちと繋がり、学び合った仲間たちの存在がそこにある。

だからこそ、今の私は、その過去とも呼べる栄光にしがみついて業務をすることはしたくない気持ちが強い。過去は過去であり、現在は現在なのだ。私よりもはるかに行動している相談支援専門員がいれば、私の役割は次の世代につなげることが、地域にとっては最も重要なのだ。私は丸10年、計画相談としてやり抜こうと思っている。しかし、それまでに残された期間は、次の世代のバトンタッチに費やそうと思っている。それは、自事業所でも同じであり、私は、おそらく計画相談支援事業所のトップの役割から降りることを考えるだろう。計画相談から足を洗うことはないが、私は、裏方に下がることが、次の世代の成長につながると思っている。

どの業界も、あまりにも年配者が牛耳る世の中だからこそ、せめて私の周囲は、それを辞めさせたい。次、この場所に戻ってくるときは、きっと、私が再度、ゼロから何かを始めているときかもしれない。

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