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緊急事態宣言下の児童通所支援施設の運営を考える(その3)

国及び地方自治体が示す児童通所支援施設をはじめとする児童福祉サービスに対する指示の混乱ぶりは、今回のコロナウイルスによる根本的な問題が、人との距離をとる必要があるということに尽きる。どの程度、パニックになっているかを簡単に紹介したいと思う。

①障がい児支援(放課後等デイサービス)の支給決定を受けていない児童が放課後等デイサービスを利用しても、報酬の請求ができる。

②支給決定の支給量を超えて、放課後等デイサービスを利用することも可能。

③利用前の契約も後回しでOK。

④サービス提供時間の変更も柔軟に対応してもOK。

⑤サービスを提供する場所は、今の事業所内でなくても問題なし。緊急事態なので届出の必要なし。

⑥別の事業所からの応援といった職員の柔軟な対応も可能。

⑦受け入れは、これまでのルールである150パーセントを超えての受け入れも問題なし(要は、15人でも20人でも受け入れは可能)。職員の人員配置が足りなくても問題なし。

⑧通所を閉鎖しても、在宅支援を行えば、1日分の請求を行ってもOK。内容は、音声通話やテレビ電話などをつかって、児童の支援や相談支援を行えばOK。メールやLINEなどのコミュニケーションツールでのやり取りでもOK。

これを最初みて、私が思ったことはひとこと。「これはすごいな、なんでもありだな・・・。」この一言に尽きる。もちろん、すべての項目は、事前に、利用児童のお住まいの自治体の福祉課との事前協議が必要であり、最終的には、その自治体の許可(判断)が必要となる。しかし、このようなご時世だからこそ、自治体も事業所を救済することに必死になるのは否めない。(なによりも、利用者や保護者からのクレームを恐れている。)ただ、許可が得られたからといって、これを安易に進めることは、最終的に命取りになりかねないとも私は考える。なぜなら、これらの支援の多くは、これまで私たちが児童通所支援施設としてこどもたちのことを考えて行ってきた支援目的そのものを変更することにもなるからだ。

支援のすべてではないものの、対人関係の構築や適切なコミュニケーションといった社会性の獲得の支援を行ってきた私たちにとって、新型コロナウイルスの感染拡大は、関わる上での必要な距離(ソーシャルディスタンス)をとることを強いられることとなった。その結果、私たちの支援に対する根本的な方向転換を余儀なくされることになった。これまでは、「社会」や「世間」という曖昧なモノに対して、配慮を受けながらでもいかに接点を持ち、良好な関係を構築して、自分の居場所をつくっていくことができるか?という視点で支援が行われてきたのではないだろうか?それこそが、私たちの考えてきた「将来」であり、誰もが望んだ「将来」であり、その多くは、そのための支援であったと思う。しかし、今回、私たちが直面した新型コロナウイルスの問題は、コロナウイルスの終息に対する考え方次第によっては、そのことが全く意味をなさなくなる可能性を示唆している。

すなわち、これから先は、当たり前の様に「ソーシャルディスタンス/ソーシャルディスタシング」を前提とした生活に対する支援ということになる可能性があるのだ。


だから、今一度、事業所のあり方を考えから、あらためて「支援」を行う必要性があるのではないだろうか。

今は、運営法人や事業所が生きるか死ぬかの状況でもあるので、今はできることに取り組むという点で問題はないが、それだけでは、利用児童や保護者を納得・満足させることにはつながらないのではないだろうか。


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