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私のような一部の人間が嫌悪感を抱く "言葉" がもたらす、社会的効果を振り返る

最近私の苦手な言葉に「おうち時間」が加わった。その他には、イノベーション、◯◯テック、働き方改革、サブスクが今までにノミネート。いやむしろこれらの言葉を大々的に謳った広告や、さも当たり前かのように会話に放り込んでくるような人々が苦手、というか嫌い。

これらのバズワードの使用によって『何か特別な力』を得られたかのように勘違いしちゃう人が一定数いると思うが、所詮は商業目的で作られた流行り言葉でしかないのだ。特に経営者・セールスマンに乱用の兆候が多く見られることは言うまでもない。さほど魅力的でもない商品を最新の言葉で "パッケージ" すれば売れると思っている。彼等にとって大事なのは商品の本質的な改良・開発ではなく、何よりも売ることだからだ。

偉大かつ革新的な言葉の発明

時を遡ると「イノベーション(innovation)」の流行以降、この悪しき流れが続いているように思う。私も敬愛する故スティーブ・ジョブズ氏が世に送り出した最高の電子端末『iPhone』の登場。ジョブズ氏の死後、イノベーションという言葉を着た "まがいもの" で世の中は溢れた。Appleに倣え、ジョブズに倣え。初代iPhoneと出会い、まさに本物の「イノベーション」を肌で実感していた私にとって、ジョブズ氏亡き世界は一気に色褪せて見えた。当時Apple信者であったことが大きな理由ではあるが…。

その後スティーブ・ジョブズは神格化され、多くの熱心()な経営者やセールスマンが彼の教えや思考に倣っていった。数年の後に颯爽と現れたのが「働き方改革」というとてもイノベーティブで革新的な魔法の言葉である。「労働に関わる全員に対してより良い労働環境に改善すること」だとイメージしがちであるが、実質的にこの改革のメリットを享受できたのは企業の経営者くらいだろう。働き方改革によって発生した新たなタスクや問題への対処は、経営層→中間層→末端労働者にほぼ全て押し付けられただろうし、今もこの状況は大きく変わっていないはず。そう、正しくは「働かせ方改革」であった。

トレンド感がもたらす抑止力と販促力

そして2020年の今。コロナウイルス蔓延による世界的パンデミックが発生し自粛ムード真っ只中に作り上げられた「おうち時間(Stay Home)」というパワーワードの登場である。自宅勤務や外出自粛が続く閉塞的な生活を強いられた人々の苦痛・不安を和らげてくれるかのような不思議な言葉。何の変哲もないことでも特別に感じさせてくれる鎮痛剤。無論、強制や強要ではなく自由や選択を好む現代人に対して、トレンド感によって外出しないという行動を促すことは必要である。

がしかし、これはもうただの商売文句でしかない。一部本当にパンデミックを抑制することを目的として使用している団体や組織も見かけるが、それは本当にごく一部に過ぎない。政府・自治体も例に漏れず、事業推進のためと言わんばかりにこの言葉を "活用" しているように思う。これらの事実に気づいた瞬間、所詮全ては社会経済の上に成り立ち、真に安全や平和を望む者などこの世界のどこにもいないのではないかという絶望感に襲われた。

最終的な見解

つまるところ、私は経済的効果をもたらすために作られた、あるいは改良された言葉が嫌いなのだ。ネット、テレビ、新聞、全ての媒体においてこれらの流行り言葉は金稼ぎのため乱用され、効果が薄まればボロ雑巾のように捨てられていく。それらを利用することしか考えていない者、馬鹿みたいに信じ込んでいる流され者。この社会構図は見ていて不快極まりなく、だから日本は、世界は、何も変わらないのだと感じる。

お前はこんな世界に何を期待しているのか?と問われれば、実は何も期待していないのかもしれない。何も変わらない鬱々と感じられる世界だからこそ、本当に魅力を感じられるモノに出会った時の喜びを感じられるのだと思う。人生楽ありゃ苦もあるさ。人生山あり谷あり。光があれば闇もある。そんな世界を実はけっこう楽しんでいるのだ。こんな文章を書いちゃうほどには。

というわけで私はこれからもイノベーティブなツールやサービスを活用して、自身の業務効率化=働き方改革を積み上げて、画期的な音楽・動画のサブスクによって表現の幅を広げながら、生産性が高く充実したおうち時間を過ごしていこうと思う。

真のイノベーションとは、言葉に惑わされず信念を持って作り上げるもの。真の働き方改革とは雇用関係の上では絶対に成り立たない。最強のおうち時間はゲームと映画と酒によってもたらされる。

そう信じながら、朝っぱらからハイボール飲みつつこの文章を書きました。(真のゴミクソ底辺である)

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