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自分で選んでよかったこと

3月の末日、はじめての一人暮らしに心躍らせていた。

地方の国公立大学に落ちてしまったわたしは東京の私大への進学を決めていた。

今日はその引越しの日だった。

新居の隣の公園の桜は満開でそれが窓から見えた。

引越しには父母と妹もついてきてくれてひと通り新居を掃除をしたら床に座ってピザを食べた。

午後からはもう大忙しだった。届いたベッドを作ったり棚を作ったり、タンスを作ったり。全ての作業を終えたのは21:00近くだった。みんなでご飯でも食べようと思ったけれどコロナ禍真っ只中。この時間にやっているお店はなくその日はそのままわたしは新居へ、父母と妹はホテルへと帰った。

次の日の朝、8:00ごろ。わたしの携帯に一本の着信があった。出てみると落ちた地方国公立大学からだった。なんと補欠合格で合格したというのだ。この合格を受けるか今すぐ決めてくださいと言われた。わたしは慌ててしまって少し時間をくださいと言った。急いで父に連絡した。すぐにそっちに行くと言われた。わたしは純粋に嬉しかった。落ちてた思ってた大学に受かっていたなんて。それもそこの大学の二次試験は自信のある小論文で受けた。自分の小論文が評価されたんだと思った。でもわたしは今東京にいる。それも昨日きたばかり。激しく動揺していたのも事実だ。誰かに相談したくてお世話になっていた国語の先生に連絡をした。国語の先生は電話をかけてくださり「おめでとう」と言ってくださった。この先生とは何度も小論文の練習に付き合ってもらった。今のわたしの興奮状態を受け止めてくれた。先生も悩ましいですねと言っていた。でも最後に、「最後に決めるのは寺松さんですから」と言った。

そうこうしている間に父母と妹が来た。父はすごく喜んでいた。そりゃそうだ。国公立の方は偏差値も高く、受験勉強を頑張ったと誇れる大学なのだ。父も母ももう一度引越ししてもいいよと言ってくれた。

わたしは恐ろしく悩んだ。これからの4年間を決める大切な決断だ。でも最初から答えは決まっていたような気がする。

わたしは国公立大学に辞退の電話をかけた。




あの時、国公立に落ちた時にわたしは東京の大学に通うと覚悟を決めたんだ。一度腹を括ったんだ。それを曲げてしまうと国公立で嫌なことがあった時にこの選択を後悔してしまうと思った。一度、決めたことなら後悔しないような気がした。

本当にあれからわたしはいろいろあって大学3年生になったけど一度もあの時の選択を後悔していない。もちろん、嫌なこともたくさんあった。でもあの時、自分で決めたからこそあの選択に誇りを持って大学生活を送れている。

#自分で選んでよかったこと

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