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栗田咲子個展 「光の溜まり」KURITA Sakiko Exhibition2023年4月29日(祝・土)ー5月13日(土)12時-18時(月曜日休廊)gallerymorningkyoto 15th.anniversary

椎の花香る新緑の京都東山より展覧会のご案内です。

栗田咲子個展 「光の溜まり」
KURITA Sakiko Exhibition
2023年4月29日(祝・土)ー5月13日(土)12時-18時(月曜日休廊)

https://gallerymorningkyoto.blogspot.com/2023/04/kurita-sakiko-exhibition-2023-429-513.html

好きなどうぶつに囲まれたい。熱めのぬるま湯に浸かっていたい。
いい匂いの花が好き、木と丘と山が好き。
川と海と晴れと雨と曇りが好き。
考えるのが苦手な私は相変わらず絵空事の中に生きています。/栗田咲子  

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日常の何気ない瞬間を、それぞれの時間、場所を超えて新しい景色として見せてくれる。細部に宿る愛しさとユーモア、哀愁をさり気なく感じさせてくれる表現。今回は動物が登場する新作(ペインティング5点、ドローイング6点)を中心に近作6点を展示しています。/gallerymorningkyoto

今展に際し、以倉新(いくらあらた)氏(富山県美術館)に寄稿いただいたテキストを案内状別紙に掲載しています。ご参照ください。(以下)

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「栗田咲子 くりかのころに寄せて」

自由で緻密に画面は構成され、我々はより直截に
絵画的官能、目の愉悦に導かれるだろう。

不思議な絵だ。身の回りの風景や人が、脈絡を外されて、一枚の絵の中に描き込まれている。身近なものを具象的に描くことは、90年代の具象絵画の流行以来めずらしくないが、というより作者は、そのような「身の丈感覚」で日常を描く「90年代の絵画」の始まりを告げた 一人なのだが、以来、長いキャリアの中で栗田咲子の作品は穏やかに成熟しつつ、不思議な魅力を放ち続けてきた。
90年代半ばの、自身や友人たちの姿を自由奔放に描いたようなデビュー当時のドローイング風の作品から、2000年前後になると動物や植物が登場し、「日常的な光景をコラージュして再編するスタイル」 に変化していく。犬や猫、よく通うという動植物園や水族館の鳥や魚、植物など、作者の身近な日常を坦々と描いた絵は、「まるで私小説」のよう とも評されてきた。

以来、作家は「身の丈」の日常を何気なくマイペースに描き続けてきた。しかし、そこには“絵画の問題”が、声高にではなく、ずっと描きこまれてきたのではなかったか。作者は以前、「モチーフと色彩が同質になる構成」を意識していると語っているが、確かに色彩と繊細なマチエール、そしてそれによって描かれているモチーフ(意味)の連関(の外れ)が、何か言葉にし難いものを残す。
「モチーフと色彩が同質になる構成」とは何か? その答えが絵の中にあるのだろう。描かれたものの取り合わせの「奇妙」さ、だけでは絵の不思議さ、魅惑は深まらない。モダニズム以降の色彩と形態による絵画空間の追求が、抽象ではなく具象、それも衒いなく描かれた身近な風景や人の、意味の連関を微妙に外した形と色の構成によって担われているところに、画家の真価がある――などと言わずとも、犬や猫、牛やヤギやカモメまでみな「穏やかな顔」で登場する、「脱力感」と「ユーモア」に包まれた絵 は、「確かなデッサン力」と「豊かな色彩の力」 に支えられて、謎を孕んで多くの人を魅了してきた。
その絵画世界が昨年頃からまたひとつ、豊かな深まりを見せ始めているようだ。新作では、これまでのコラージュ風の構成から、よりストレートに、ひとつの風景としての大画面があらわれつつある。奇妙な取り合わせの効果が影を潜め、繊細な筆触による深い色彩と形態の大胆な試みが、ひとつの風景として立ち上がる。白い雲が湧き立つ緑の丘は、手前に広がる大きな陰の繊細な黒の世界に引き立てられて、雄大でリリカルである。もはや意味の連関の外れは意識されないほど自然に、しかし自由で緻密に画面は構成され、我々はより直截に絵画的官能、目の愉悦に導かれるだろう。
画廊開廊記念以来、5年目、10年目と節目を飾ってきたという、栗田咲子さんの個展を心待ちにしたい。(富山県美術館・以倉 新)

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栗田咲子略歴

大阪府在住
1996 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
1972 岡山県に生まれる

主な個展
2022 「道草」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2019 「restart」 ギャラリーモーニング/京都
2018 「栗研」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2016 「たまたまをしこたま」 ギャラリーモーニング/京都
2015 「空耳さいさい」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2014 「雨の中の虹彩」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2012 「おもいだし-わらい」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2011 「養いもの浄土」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2010 「お八つの友」 ギャラリーモーニング/京都
2009 「Install」 ギャラリーモーニング/京都
  「数珠の茂み」 FUKUGAN GALLERY/大阪
2008 「花鳥異景」 FUKUGAN GALLERY/大阪
  栗田咲子展 Gallery Den58/大阪
2007 「RAINBW BALLEY」 FUKUGAN GALLERY/大阪
‘99, ’00, ‘02, ’03, ‘05, FUKUGAN GALLERY/大阪
   栗田咲子展 Gallery Den/大阪
2005 栗田咲子展 gallery kiku/大阪
2004 「結構気だるげ猫灰テンション」 ギャラリーココ/京都
‘03, ’01,’99, ‘98, ’96, ‘95, ギャラリーココ/京都

主なグループ展
2021 「Still, Life――まだ、生きてます栗田咲子・菱木明香・リース直美」
    京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA/京都
2016 「ヒデとサッコのアトリエショウ」/ 「野営芸術」 島ヶ原、やぶっちゃキャンプ場/三重
2010 「絵画の庭」 国立国際美術館/大阪
2008 「是が非の絵画」 大和プレス/広島
   「アートイニシアティヴ・プロジェクト」 神戸アートビレッジセンター/兵庫
2007 「栗田咲子/寄神くり」 Take Ninagawa gallery/東京
2006 「i am beautiful」 PH gallery/N.Y.
2004 「Art Court Frontier #2 」 art court gallery/大阪
2002 「The art transit」 The Pales side hotel/京都
2000 「VOCA展2000」 上野の森美術館/東京
1997 「神戸アートアニュアル'97」 神戸アートビレッジセンター/兵庫
1996 「佐藤国際文化育英財団 第5回奨学生美術展」 佐藤美術館/東京

パブリックコレクション
国立国際美術館

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栗田咲子さんの展覧会にてギャラリーモーニングは15年目へ。
今後ともよろしくお願いします。てらくぼかなこ、寺久保吉完

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