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第4章 生活のなかのレジ袋

本当にレジ袋は使い捨てか

経済産業省が運営するウェブサイト「METI Journal」では、ワンウェイプラスチックの削減へ最初の一歩 資源利用を「賢く」と銘打った記事を上げた。

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「ワンウェイとは、通常一度使用した後にその役目を終えることをいう」のだが、統制派がレジ袋を"ワンウェイプラスチック"の問題意識のもと削減を目指しているのがわかる記事だ。


ほかの統制派にしても意識としては、レジ袋を大量に消費しているエコを知らない愚民に対して、官僚が「賢く」資源利用できるように導く、とのことで解釈してもいいでしょう。

プラスチックのレジ袋の需要が減ってくれば、当然、また生産の方も減ってきますし、また、それだけやはり減ってくれば、物を大事に使うとか、リユース、そしてリサイクルもあるかもしれませんけど。いずれにいたしましても、この3Rの一つの重要な目に見える効果は、やはりこのレジ袋の有料化と言えるのではないかなと、そういうふうに思っています。
原田大臣記者会見録 令和元年6月3日(月)
消費者のライフスタイルの変革を促していきたい。レジ袋の過剰な使用を無理なく抑制するには、事業者や個人がそれぞれの立場で創意工夫を凝らし、自主的な取り組みを進めることが重要」
梶山弘志経済産業相
ライフスタイルを見直し..レジ袋を辞退する..社会に変革していきたい」
小泉大臣閣議の後の記者会見

統制派は「レジ袋の有料化はワンウェイプラスチックに依存した日常生活を見直し、意識を変える第一歩としての意義がある」などとしている。

政府が公表した「プラスチック資源循環戦略」にも、レジ袋がワンウェイと定義されている。

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しかし疑問がある。国民生活におけるレジ袋は、本当にワンウェイなのか。使い捨てなのか。アンケート調査の統計をもとに、日本人の生活の中のレジ袋の立ち位置を確認しよう。

1.ごみ袋にするのはあたりまえ!?
「レジ袋の再利用方法で一番多いのは、やはり「ごみ袋として再利用」。調査によっては、100%に近い人がごみ袋として再利用しています。」

プレゼンテーション3n

レジ袋の有料化、最大の懸念点は「自宅のゴミ袋がなくなる」こと。

レジ袋削減に関する取組み意識や実際の取組み実態について調査した「レジ袋に関する消費者意識調査 集計結果報告書」では、買い物袋として持ち帰ったレジ袋は、全体の97%もの人が「ごみを捨てる時」「ゴミ箱の内袋」リユースしているとの驚異的な数字が叩き出されている。

・ 必要のないレジ袋は捨ててしまうので、資源の無駄遣いという意味では、レジ袋の有料化には賛成。しかし、レジ袋はごみ袋として活用しているので、有料になると買わなくてはならなくなり、不便。
主婦連合会 第2回「レジ袋の有料化」について

以上のアンケート調査を踏まえれば、日本国民の多くは、レジ袋を買い物袋として使用した後、ごみ袋として再利用することがわかる。
冒頭に紹介した統制派の認識として、「レジ袋を使い捨て」、「ワンウェイ」として扱っていましたが、これは国民生活の慣習からして捻じ曲げられた解釈と判明する。レジ袋を製造している日本ポリオレフィンフィルム工業組合の見解として、レジ袋を"使い捨て"と定義することに、疑問が生じることは当たり前である。

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は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

レジ袋と衛生問題

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実は、この動画マイバックを介しての感染拡大を不安に思う国民から、レジ袋有料化の見直しを問う声があった。これに対し小泉さんは次のように答えた。

マイバッグの使用が新型コロナウイルスの感染拡大を引き起こすのではないかという点については、現時点では科学的な証拠は見当たりません。そして、マイバッグを使うかレジ袋か、いずれにしても一番大事なことは手を洗うこと、消毒をすること、そして手を洗うまでは御自身の口や鼻に触れないようにすること、こういった基本的な感染予防が最も大事なことであります。
小泉大臣記者会見録(令和2年7月3日(金)

科学的根拠に基づかないレジ袋有料化を進め、批判されればプラスチック問題を考えるきっかけと正当化。マイバックを介しての感染は、科学的に根拠がないとして、レジ袋有料化見直しに反対。実にご都合のよい解釈である。

小泉さんはマイバックによる感染拡大の疑いはない、科学的根拠はない、とおっしゃるが、レジ袋が普及した歴史的背景を踏まえれば、感染拡大防止の観点からレジ袋は有益なことがわかる。
郵便学者内藤陽介さんはエコバックの感染拡大の原因の可能性と、レジ袋が普及した歴史的経緯を簡単に説明されている。

エコバッグは不潔? ほおっておけば雑菌の温床に 
また、新型コロナウイルスの感染拡大を予防することが全国民にとっての喫緊の課題となっている現状では、衛生面からは、むしろ使い捨てのレジ袋を奨励したほうが適切ではないかとの指摘がある。
もちろん、エコバッグを使っている人の中には、毎回、洗濯・除菌して常に清潔になるよう心掛けている人もいるだろうが、現実には、それは少数派で、多くの人はなかなか洗濯などしていないだろう。
昭和30年代までは、買い物籠に新聞紙や経木でくるんだ肉や魚を入れて持ち歩き、帰宅後、荷物を出した後も駕籠自体はそのまま放置して、そこから雑菌が発生して衛生面のトラブルが生じることは珍しくなかった。その後、家庭での冷蔵庫の普及とあわせて、毎回新品のレジ袋を使い捨てにする習慣が定着していったことで、衛生環境は劇的に改善された。

実際、水気や臭いの関係上、レジ袋は必要不可欠な小売店は、鮮魚を渡せないといったトラブルも報道された。

アメリカのいくつかの州では、レジ袋有料化に踏み出した日本とは対照的に、世界ではコロナの感染拡大の防止の観点から、禁止から無料の動きが起こった。

統制派のレジ袋有料化の根拠であった「世界でもレジ袋有料化の流れ」がコロナによって崩れた。

は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

レジ袋はごみを燃やす際、燃料になる

確認できただけでもレジ袋の用途は4点あります。

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買い物袋は当然。そしてアンケート調査でも判明したゴミ袋。先ほど紹介した衛生的。そして、意外に知られていない、ごみ焼却燃料

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先ほども紹介した清水化学工業株式会社サイトに要点がまとめられているので紹介させていただきます。

ポリ袋は実はエコなんです。
自治体によってはサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり、重油燃料の使用量がその分減少し、無駄とならない。総二酸化炭素排出量は、サーマルリサイクルしても、そうしない場合と大差ない。

 サーマルリサイクルとは、なにかというと

「エネルギー回収」ともよばれ、熱や蒸気などとして回収することです。日本では、発電や施設の暖房、周辺施設への温水供給などに使われています。
 サーマルリサイクルは、焼却時の熱量をエネルギーとして利用するわけなので、ただ焼却するよりは有意義なことです。

埋め立て地の少ない日本として熱回収は、循環社会の実現において適切な処理方法と考えられている。

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プラスチックが廃棄物だと「多く回収ができ」るとして、記されている。もちろんプラスチックを、レジ袋と入れ替えてもいいです。

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環境省も循環社会のサイクルのなかの一つとして、熱回収をあげている。

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つまり、環境省が掲げていた循環社会の一要素を担っていたのが、熱回収の燃料としての一面を持ち合わせる、レジ袋だったというわけです。

国際的にも熱回収は、敵視されているわけではなく、2018年のG7シャルルボワ・サミットで提案された「海洋プラスチック憲章」においても、(熱)「回収」の項目がまず先頭に掲げられている。

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熱回収に対して疑念を示す方もいらっしゃるが、世界の目指す目標からしたら、あまりにも急進的な意見と言わざるを得ない。

誤解もあるようだが、「プラスチックを燃やすとダイオキシンなどの有毒物質が出る」というのは昔の話で、「プラスチックごみは、燃やして熱でエネルギーを回収するのがもっとも効率的で環境負荷も小さい」。

2050年までに海洋プラスチックごみによる、新たな汚染をゼロとすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の障害にはならない。

レジ袋を捨てるからこそ循環できる社会を、小泉さんはご存知なのでしょうか。

レジ袋は決して、使い捨て、ワンウェイと言い切れる代物ではないことがお分かりになったかと思われる。

は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

レジ袋はダメで、エコバックはいい?

環境省は、国民生活のなかのレジ袋大量消費を問題とし、本当に要るものなのかとして、レジ袋使用の抑制を訴え、常に消費者がマイバックを携帯すべきとこれまで訴えてきた。

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しかしマイバックにしても、その名称の印象から誤解される方がいらっしゃるが、エコを担保する代物ではない。

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小泉さんは「熊本地震によって、大量に発生したブルーシートを回収・洗浄・縫製し」たプラスチック製のブルーシートを、よくレジ袋有料化広告の場で使用されている。復興の象徴としてつくられた、大変意義深いマイバックを片手に、

「いらないと思っていてもレジ袋に入れてもらうことがあった。マイバッグを使うことでごみの削減に貢献できるのならよいことだ」と記者団に語った。

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小泉さんは、レジ袋は「ごみになる」という一点を指して、レジ袋を卑下している。

しかし、ごみ袋として回収されるレジ袋は、環境省が推奨していた熱回収によって処理、見事に循環が実現していた。

なぜレジ袋にそこまでこだわるのだろうか。

統制派は一部正論をおっしゃりますが

プラスチックというものが、人類が発明した最も有用な、大事な素材の一つでありまして、これ自体には何の罪もありません。ただ、その使い方やら処理の仕方が今日のような環境問題になっているわけであります。
原田大臣記者会見録(令和元年6月3日(月)

結論が間違っている。

レジ袋という形で環境の側面から、しっかり規制をしていくことも大切ではないかと思うところであります。
原田大臣記者会見録(令和元年6月3日(月)

原田さんのご指摘通り、その使い方、処理の仕方が環境問題になっている。小泉さんがプラスチック素材でできているブルーシートでも、使い方(マイバック)が正しいならば、規制対象に入れないのと同様、レジ袋はその処理に関しては何も問題はない。

規制対象にすること自体おかしい。

レジ袋はダメで、エコバックは推進するプラスチック削減対策は、矛盾に満ちたものです。

プラスチックのブルーシートをエコバックとして再利用するのはいいが、プラスチックレジ袋の熱回収はダメとでもいうのだろうか。この矛盾は統制派がレジ袋を"使い捨て"・"ワンウェイ"と問題提起していることから生じている。

その悪影響があってか、国民の間でも過剰なプラスチック製容器包装という認識です(複数回答)。しかし、レジ袋大量消費がいかような環境問題を引き起こしたのだろうか。どんな環境負荷を与えているのか。

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朝日新聞の調査によるとレジ袋有料化の意義は、使い捨て、生活の見直し、プラごみ削減の一環、海洋プラスチックごみ問題解決。

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国民の間違った環境問題意識を上から目線で蔑むつもりは毛頭ない。毎日必死に働いていらっしゃる方々が、環境問題なんかに構っていられるほどヒマではない。

国民の環境問題に関する事実誤認の全責任は、統制派にある。

(間違いがございましたら、資料と共にご連絡ください。文書校正もご教授お願いいたします。m(_ _)m)

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今回のnote画像(GIF)デザインにいくつか質問がございましたので、ココナラを開設しました。
パワポや資料、広告、GIF等の作成ならお役に立てるかもしれません。これからも有益な情報を提供していきたく思っておりますので、よかったらお付き合いのほどお願いいたします。


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