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「仕事が長続きせず、自分が情けない。不眠気味でつらい」との悩みにお応えしました(前編)

このnoteの相談室は、僧侶で、自死相談のNPO代表であり、テラエナジーの代表取締役であるぼく(竹本)が、皆さまの些細な悩みや、誰にも言えないような苦しみにお応えできればと思っています。

というのも、ぼく自身、かなりこじらせながら、道に迷い続けてきました。そんなこじらせ系の先輩として、考えてきたことや救われた経験のサンプルをもとに、皆さまの苦悩が少しでも和らぐような、モノの見方や考え方をお話できれば!と願っています。

今回のお悩み

大学卒業して就職はしたものの長続きせず仕事を転々としています。4年前からは派遣を転々としています。もう10社は超えました。今年に入って意気揚々と就いた派遣仕事ですが、どうにもうまくいかず、半年間での契約が終われば、それで更新しないつもりです。

自分が情けないです。最近は不眠気味です。

IT系の仕事を転々としてきました。一般的にうつ病になる方が多い業界と言われています。元々心身の弱い私には向いていなかったのかなと今さら思ったりします。他に興味ある仕事もないですし経験もないですが。

悩みすぎてどうにかなりそうです。路頭に迷いそうです。自分に失望しています。ただただ、心身の安定と平穏な生活を送りたいだけです。

お悩みについて

はじめてのご相談をいただきました。匿名希望とのことでしたのでAさんと呼ばせていただきます。

不眠気味との事、眠れないというのはとてもつらいですね。お布団に入り眠りたいのに眠れない。目をつむるのだけど、明日の事、将来への不安が次から次へと頭の中で浮かんできて、目が冴えてしまいどうしようもない。眠れていないから、気分もすっきりとせず、それでも仕事はしなければならない。こんな状態が続くと余計に仕事も上手くいかないですよね。さらにご自分のことを情けないと思っておられるのですから、苦しみもそうとうに深いと思います。自分で自分を情けないと思うことほど、持っていきどころのない、どうしようもない気持ちはありません。仏教ではこうした状態の事を無縄自縛(むじょうじばく)と表現します。自らの思いに囚われる事で、自分自身を縛り付ける、とてつもなく苦しく抜け出すことの難しい状態です。

「今年に入って意気揚々と就いた派遣仕事ですが、どうにもうまくいかず」と仰っていますから、今のお仕事やそのお仕事を担おうとするご自身について、最初の期待値は高かったのでしょう。それが上手くいかないと感じておられるのは、Aさんが期待しているような仕事内容や職場環境ではなかった、はたまた、ご自身が思っているほどのパフォーマンスを発揮できなかった、という事だと想像します。そんな中、上手くいかない理由として「元々心身の弱い私には向いていなかったのかな」とご自身の性質に課題があるのだと感じる事も自然なことだと思います。ただ、AさんがIT関連のお仕事に向かないほど心身が弱いのかというと必ずしもそうではないかも知れません。もしかすると考え方をコントロールすることで、随分と楽になるかも知れません。

「他に興味ある仕事もないですし経験もない」との事。IT関連のお仕事を選んだことは、先見の明があるなと思います。IT関連のスキルがあれば、ひとまず仕事の領域自体がなくなるという憂き目にあう事はないでしょう。今後、新たにお仕事をする際に、これまでに10社を超える企業でお仕事をした経験がどこかで役に立つ事もあるのではないかと思います。

Aさんが望んでいる「ただただ、心身の安定と平穏な生活を送りたい」ために、どうすればよいのか、具体的に何ができるのかを一緒に考えてみたいと思います。

あせらずに一つひとつ、順番に取り組んでいただきたいと思い、今回のお悩みへは二回に分けてお伝えさせていただきます。何よりもまずは、心身の状態を整える事に取り組んでいただきたいので、今回は不眠対策についてお話しします。

不眠対策~心身を整える

心の状態が良くない時に大きな決断をすると、後々に後悔する様な判断をしてしまいかねません。大きく後悔しないためにも、ある程度、心が落ち着いた状態でしばらく考え、自分なりに納得のいく決断をするようにしていただきたいと思います。自分ではない誰かに決めてもらうのではなく、自分で決めたという事実も後悔しないためのポイントです。

それでは具体的な心身の状態を整える方法を二つご紹介します。出来る範囲で取り組んでみてください。

1)吐く息を長めに深呼吸をする。

仏教では呼吸を大切にします。とくに坐禅では、様々な呼吸法があります。Aさんの場合、緊張状態が続いている様に見受けられますので、よりリラックスすることにつながる呼吸法を紹介します。

姿勢はあぐらか椅子に楽な姿勢で座り、骨盤を立てて座骨が直角に地面に突き刺さっている様にしてください。そうすると、自然と背筋がのび、首や肩周りに力が入っていない状態になります。目は半眼、薄目で少しだけ空け、1.5m程前を見るようにしてください。これで深呼吸をする準備が整いました。

深呼吸をする際には、とにかく息を吐くことに集中してください。

まず、息をゆっくり口から吐ききります。次に、自然と息が鼻から入ってきます。次に、心の中で「ひとーーーつーーーーーーーーー」と息が続くまで吐ききります。その後は繰り返しで「ふたつ」「みっつ」「よっつ」「いつつ」「むっつ」「ななつ」「やっつ」「ここのつ」「とお」と頭の中で数えながら10回呼吸をしてください。とにかく吐く息と数を数える事に集中すると余計なことを考える余地がなくなり、身体中に息が行き渡り、リラックスできると思います。

2)ぬるめの湯船に長めにつかる。余裕があれば銭湯へ行きサウナに入る。

毎日、夜寝る1時間以内に15分~30分程度、湯船につかることをおすすめします。

夜中に目が冴えてしまう時には、本来、昼間や活動しているときに活発となる「交感神経」が働いてしまっている状態です。ぬるめの湯船につかることで「副交感神経」が上手くはたらき、リラックスして自然と眠ることにつながります。

サウナは、サウナ室→水風呂→外気浴をすることで、交感神経と副交感神経という自律神経を交互に活発化させることで、自律神経系の訓練にもなります。ぼくもサウナが好きで週3回程度入るのですが、汗をかくことでほどよい疲れも感じ、安眠効果は抜群です。

次回へつづく

今回、はじめての相談をいただき、とてもとても嬉しかったです。テラエナジーのスタッフもみんな、相談が来た!と喜びました。こうして嬉しく感じた背景にあるのは「誰にも求められていないのではないか」というぼく自身の不安です。ぼくの文章を読んで相談したいと思ってくれたんだ、という実感がその不安を取り除いてくれくれたのです。Aさんには心から有難うと御礼を申し上げたい気持ちです。

仏教では「縁起=因縁生起」という法則を基本としています。この世界のありとあらゆるものはすべて因と縁によって生じているのだ、全ては影響し合って存在しているのだ、という真理です。

Aさんにとってこの様な場で相談する事は、きっと少なからぬ勇気が必要だったことと思います。それでも具体的な行動を起こしてくださったことで、ぼくやテラエナジーのスタッフへ良い影響を与えました。まさにAさんとぼくたちがつながっていること、影響し合えることを実感した出来事でした。この記事がAさんへ少しでも良い影響になる事を心より願っています。

次回は引き続きAさんへ向けて、「自分の考え方のクセを知り、コントロールする」事についてお伝えさせていただきます。

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それでは、ご相談をお待ちしております。

竹本 了悟(たけもと りょうご)
奈良県西照寺住職。生きる意味を求め、防衛大学校を卒業後、海上自衛隊に入隊するが、道に迷い退官。改めて、生きる意味を求め、龍谷大学大学院で救済論(救いとは何か、どうすれば救われるか)について研究。その際に浄土真宗本願寺派の僧侶となる。その後、浄土真宗本願寺派総合研究所の研究員として、宗教者の役割をテーマとして実践的に研究し、2010年に「自死の苦悩を抱える方の心の居場所づくり」をする京都自死・自殺相談センター(愛称:Sotto)を設立、代表を務めている。2018年、研究所を退職、電力事業で「温かなつながりをつむぐ」TERA Energy株式会社を4人の僧侶で起業、代表取締役に就任。

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