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宗教都市・京都市から仏教界へ気候危機アクションの呼びかけ|再エネ100宣言 RE Action

2020年11月、京都市(再エネ100宣言RE Actionアンバサダー)が主催する「仏教教団関係者向け特別研究会 〜エネルギーから地域の持続可能性を考える〜」が開催されました。

当日は、新型コロナウイルスの感染対策をおこないながら、京都の会場とオンラインで日本全国、遠くはドイツやハワイからも参加がありました。仏教界でも気候危機に対する関心が高まっています。今回は、当日のイベントレポートをお届けします。

京都から気候危機へのアクション「再エネ100宣言RE Action」とは

京都市では「気候危機」の時代に入り、これまで築き上げてきた生活も、文化も、存続させることができないという危機感の下、「2050年までにCO2排出正味ゼロ」を目指すことを全国に先駆けて宣言をされました。ゼロカーボンシティーを目指すこの動きは、現在、全国404の自治体に広がっています(2021年6月8日時点)。

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歴史と伝統をつむいできた京都市がなぜ、気候危機に取り組みを始めたのか担当者の方はこう話します。

京都は千年を超えて、持続してきました。そういった意味では、すでに持続可能を実現してきた都市であるとも考えられます。しかし現在、直面している気候危機では、生き物の生存の危機が叫ばれ、将来世代に持続可能な地域を繋いでいけないと考えられます。

「2050年までにCO2排出正味ゼロ」を目指す京都市。この目標は、京都市の単独で実現できるものではありません。共に行動していける市民、団体を増やしていきたいとの強い思いから、今回は、寺社仏閣が集まる宗教都市・京都らしく、仏教教団を対象とするの研究会の開催に至りました。

実現に向けた具体的な取組みは、「再エネ100宣言RE Action」を宣言する団体の輪を広げることです。この宣言をするとアンバサダーとして登録(下図2021年6月8日時点)され、それぞれに、再生可能エネルギー100%への意思と行動を示し、共に再エネ普及を目指すことになります。

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京都市内の、仏教関係の宗教法人は1,600団体もあるそうです。宗教法人が行動を起こせば大きな動きになっていくと感じています。

宗教都市・京都にて、僧侶4人で起業したTERA Energとしても、仏教界の方と一緒に気候危機への具体的な行動を拡げていきたいと想いを強くしました。未来の子どもたちの生活を守るために、一刻も早く再エネ100%の未来を実現すべく行動していきます。

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▶︎講演①「なぜRE100、RE Actionなのか?その狙いとメカニズム」
松尾雄介氏(公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)ビジネスタスクフォースディレクター)

▶︎講演②「再生可能エネルギーによる社会発展とSDGs」
豊田陽介氏(特定非営利活動法人 気候ネットワーク上席研究員)

▶︎事例紹介「京都地域で活動する事業者(たんたんエナジー株式会社、TERA Energy株式会社)」

「大人たちが何もしてくれなかった…」子どもたちの憤り。なぜRE100、RE Actionなのか?その狙いとメカニズム

講演1「なぜRE100、RE Actionなのか?その狙いとメカニズム」
松尾雄介氏(公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)ビジネスタスクフォースディレクター )

「気候危機」はエコ、環境問題の枠を超え、今や人道問題、治安、移民、食料問題の危機に直結しています。世界では、企業、政治、宗教界のトップたちが気候危機を、真剣に捉え、政策提言を行っている。それだけ、気候危機が深刻な地球規模での問題になっています。

「大人たちが何もしてくれなかった」欧米諸国で広がる、若者たちのストライキ。「大人たちは、将来のために学校に行きなさい!というけれど、このまま温暖化が進めば、私たちの将来なんてない!それなのに、大人たちは何もしてくれい。だから私たちが動くしかない」

投資家たちに知ってほしい!地球温暖化をとめるための目安としてのカーボンバジェット(気温上昇を産業革命以前の水準から1.5℃以内に抑えようとする場合、温室効果ガスの累積排出量の上限)。全体の予算のうち7割ぐらいはもう使いきっている。それは、残された時間の少なさを示しています。今のままだと、10年弱で限界がくると考えられています。また今後、石油、ガスが不良債権になっていく。

個々人の努力には限界もある。企業、仕組みで気候危機を考える。日本の電力使用量の約5割が、中小企業・教育/保育施設、福祉施設、商店街、お寺などの中規模な拠点。この層が動き出すことが、日本の変革につながる。大企業だけに任せておけば良いというわけではない。

詳しくは動画で配信中!当日の松尾さんのお話はこちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください。

松尾さんのお話から、日本の厳しい現実を突きつけられました。20年前、小学生の教科書には「地球温暖化防止のための対策」「ゴミの削減」「3R」など、まだまだ地球温暖化防止対策がしきりにいわれていた印象がありました。

しかし、あれから20年⋯松尾さんは「地球温暖化防止はもうできません!『防止』はもうできない。すでに温暖化はかなりのところまで進んでいます。いまは、不時着することを目指している」と言われました。

「あの頃から、対策をとっていれば、今こんなことになっていなかったのでは?」そんなことがふと、頭をよぎります。若者たちのストライキの想いには「大人たちが何もしてくれなかった」という怒り。これからの大人たちの行動にかかっています

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3.5%の人が参加すれば社会が変わる。再生可能エネルギーによる社会発展とSDGs

講演2「再生可能エネルギーによる社会発展とSDGs」
豊田陽介氏(特定非営利活動法人気候ネットワーク上席研究員 )

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温暖化対策は、日本では義務や負担と結び付けて捉えられることが多いが、世界的には「生活の質を高める」「豊かさ」につながるものと考えられている

地域の課題解決や魅力向上につながる生活が豊かになるもの、ポジティブなものと捉えることが重要。日本でもすでにまちづくりにつながっている事例もある。

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③ 今日からできることは、個人でも企業でも、再エネ電力への切り替えや選んでいくこと。再エネ普及は、温暖化対策だけではなく、様々な地域課題の解決、雇用の創出、経済循環、SDGsに貢献する。

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詳しくは動画で!当日の豊田さんのお話はこちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください。

再エネを使うことができるために。京都で活動する事業者の事例紹介

たんたんエナジー株式会社 代表取締役 木原浩貴氏

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・エネルギーの地産地消を通じて、地域の活性化を目指している会社。
地域で生み出されるエネルギーと地域の人とのハブ機能を担っていく。

・ 再エネは地域の権利であり、発展のために使われるべきである。

・エネルギーのやりとりだけではなく、地域を元気をする仕組みを作っていきたい。一次産業との連携しながら、京都の食べ物・木材を大事にしていきたい。

TERA Energy株式会社 代表取締役 竹本了悟氏

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・TERA Energyは社会課題に取り組んでいる僧侶4人で起業した新電力会社。再エネはもちろん、みんなが居心地よく過ごせるより良い社会の仕組みをつくりたい。

・再エネ由来電源比率の高い電力をリーズナブルに提供。また、喜捨の実践でもある「寄付つきでんき」で、お客様の応援したい活動へ電気料金の2.5%を寄付している。

・世界中の一人ひとりが大切にされ,居心地よく生活できる世界にしたい,という想いで、電力会社をツールとして「温かなつながりをつむぐ」。

・気候危機は、いのちの問題である。今の生活を続けていることが、回りまわって、誰かを傷つけることになっている。私自身宗教者として、その事を知った、気付かされた以上は、行動するしかない。仏教関係者には、未来を見据えた選択を考えていただきたい。

詳しくは動画で!当日のたんたんエナジー株式会社、TERA Energy株式会社のお話はこちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください!

お寺のアクションは社会を変えていく力がある

後半は、登壇者4人と参加者での質疑応答も実施され、仏教団体が感じているところ、仏教との関わりなど、様々な意見が出ていました。

4人のお話で共通していたことは、気候危機の問題は環境問題だけにとどまらず、いのちや生活に関わる問題であるということでした。また、それが電気を選ぶこと、再エネを目指していくところに解決への道があるのだと聞かせていただきました

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全国には約7万を超えるお寺があると言われています。また、寺院に属する保育施設、社会福祉施設もふまえると、日本の電力の少なくない割合を仏教界が消費していると言えます。まずはこれらの施設が再エネを選ぶだけでも大きな出来事です。

また、お寺や僧侶が積極的に発信していけば、檀信徒や社会に対する大きな影響を持ち得ると思います。ヨーロッパでは、ローマ法王をはじめとする聖職者が牽引している様に、日本でも、仏教者がいのちの問題である気候危機を牽引していく未来を想像できます。

宗教都市・京都から、気候危機へのアクションが拡がり「お寺が変われば、社会が変わる」と、社会にとって大きなインパクトになると感じています。

詳しくは動画で。意見交換の様子をこちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください!

京都市の行政から仏教団体へのはたらきかけは、新しい協働への第一歩であり、京都市、登壇者の松尾さんや豊田さんも仏教界、宗教界へ大きな期待をよせてくださっています。

気候変動の問題と電気を選んでいくことは、密接に関係しています。電気を切り替えることは、小さなことのように思われるかもしれません。しかし、社会にとっては大きな一歩になり得ます。

テラエナジーでんきは、再生可能エネルギーを高い比率で供給しています。気候危機へのアクションとして、具体的な一歩を一緒に踏み出してみませんか?

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今後も「仏教教団気候変動研究会」は引き続き開催予定です。ご関心のある仏教関係者の方は、お気軽にお問い合わせください。

ライター:藤井 一葉(ふじい かずは)
兵庫生まれ。浄土真宗本願寺派僧侶。若手僧侶のグループ・ワカゾーで死をカジュアルに語る場「デスカフェ」を提供。これまでに仏教やお寺にご縁のなかった方への情報発信ウェブサイト他力本願.netの企画運営に携わる。

テラエナジーでんきのWebサイトはこちら
https://tera-energy.com/

3分で完了!テラエナジーでんきのお申込みはこちら
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