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土曜の朝、黄色いノートの時間

夢を耕す

毎週土曜日の朝に夢を耕すための黄色いノートと向き合う時間を持つようにしている。夢を耕すとは具体的にどういうことかと言うと、やってみたいあいまいなアイデアを具体的に実現するまでの支援過程のことである。たとえば、一年の初めに「ああ、今年はどこか海外に旅行に行きたいな。」と思ったとすれば、年初のページにその気持ちを書く。それを起点にどんなところへ行きたいか、どの季節がいいか、実現するのにどんなステップが必要かを思いつくたびに書き込む。

年、月、週ごとの振り返り

年単位の目標も月や週の単位でできることを小さく分解することで少しずつ消化できる。新年の抱負などはその年にやりたいことのページに書いておき、それをもとに必要な作業を各月に振り分ける。週末の土曜日にその週の振り返りを行い、その月の抱負リストと照らし合わせながら翌週にしたいことのリストを作る。この時、その週に予定していて終わらなかったことを翌週のリストに転記したり、途中で気が変わってやりたくなくなっていれば傍線で消す。月末にはその月を振り返りの感想を書く。そして年の抱負リストと照らし合わせながら翌月の抱負をリストにする。新年の抱負に入っていなくても、年の途中で新たにしたいことが起きることもある。春分や夏至などの節目に全く新しいことを始める時もある。

夢の種を記号で育てる

毎日どこへ行くのにもこのノートはカバンに入れて持ち歩いて、出先でもわからないこと、閃いたこと、たまたま見つけて啓示的に思えた素敵な文章、私的な会合のメモなどをここに書く。不確定な近未来の予定をなんとなく書きこんでおいたりもする。そういう断片的な書き込みの積み重ねなので、Bullet Journalの書式を採用して、KEY(キー)と呼ばれる記号で箇条書き事項を管理する。これが、とても良い。毎回KEYを書き込むときちょっとぞくぞくする。

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触覚と視覚

書くモチベーションを保つためにノートとペンの質にこだわるのようにと初期のBullet Journalのサイトに書いてあったように思う。一番最初に買ったのは推奨されていたモレスキンの黒い背表紙の方眼ノートだった。書くときに裏面からインクが滲んでいたり、ペンが紙にひっかかったり、筆圧をかけないとうまくインクが出ないのでは気になって集中できない。手書きの楽しさも半減する。ボールペンはいろいろな種類を買ってみた。わたしは普段は日本製の文具の質がとてもいいと思っているけれど、Bullet Journalに関しては、アメリカ製Paper Mate社の水性ボールペンが一番しっくりきた。モレスキンを何冊か使ったあと、針金スパイラル綴じのノートを経て今年のノートはLEUCHTTURM1917という製品の背表紙の色がレモンイエローのもの。去年も同じLEUCHTTURM1917の水色のノートだった。ペンはPapermate Gel 0.7ミリの水性ボールペン。このペンの細さとすべり具合がちょうどLEUCHTTURMの紙質にあっていて書きやすい。

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儀式感とヒーリング

夢を耕すノートを書くときに私が気を付けていることがある。週の振り返りと次週のリスト作りはなるべくティールームやコーヒーショップでする。自宅でもできるけれども、自宅だと家事など、しなければいけないことに気が向きがちなので、静かで片付いていて雰囲気の良いお店にその作業をするためだけに行くことで自分の時間を大切にしている感が高まって満足度も大きい。もう一つは、このノートを単純にThings To Do(やらなければいけないこと)リストとして使わないこと。それは私がノートを始めたきっかけに関係している。長い期間家族や仕事のためにやらなければいけないことを最優先にしてきた結果、ある時期ひどく自分が不幸に感じられて苦しくなった。やらなければいけないことはいくらでも出てくるし、気を許しているとどんどんと侵食して私を追いやり、私がやりたいことを見えなくさせる。相談に行った心理カウンセラーから、「意識して自分のしたいこと、楽しめることに時間を割くように」と薦められたときは感情が干上がった状態で、やりたいことが何も思いつかず、我ながら愕然とした。2013年ごろの事で、当時偶然インターネットで「紙のノートを神のノートに変身させる」というBullet Journalの使い方を紹介した記事を見かけて惹かれるものがあり、少しでも興味を持ったことをノートに書くことにしたのが始まりだった。夢を耕すノートは自分がやりたいこと、いや、やりたいことがある自分を発掘する手段だった。

耕す作業から得たもの

2020年も半分を過ぎた。昨年12月に書いた2020年の抱負のページを見返すと親友に会いにフランスに行く、秋に日本へ一時帰国する、など、パンデミックの関係で現時点で今年にはできないことが確定した事項がいくつかある。半面、コロナに影響されることなく実現できそうな抱負も沢山ある。できないことにとらわれず、できることにフォーカスしようと思える自分がいるのはノートと対峙してきた積み重ねのおかげだと思う。


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