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佐藤多佳子さん『しゃべれども、しゃべれども』を読んで(再読)

高校生に読んだとき以来でしょうか?
中古の本屋で見つけて、面白そうだから買ってみたのが出会いだったかな?
佐藤多佳子さんの作品は何作か読んでいますが、どれも面白い。
活字離れしている人にも読みやすいと思う作品ばかりなので、ぜひ読んでいただきたい。

本作のテーマとなっているのは"自信"。
主人公の三つ葉は「自分で自分を"良し"と納得すること」と結論を出して、周囲の人間や自分は何がズレているのか考えた。
この考え方は好きだ。
世間というハードルと比べず、周囲の人間とも比べず、己が己に適度なゴーサインを出せれば良いという考え方は素敵だ。

私は自分に自信があるかと問われれば、「うーん」と返事をしてしまいそう。
仕事においては、「はい!」と答えたいが経験値が足りない。
勉強もしているが、幅が広すぎるのも悪い。

趣味に関しては自信があるのかも。
「自分で自分を"良し"と納得すること」なら。
好きで本を読んで、なんとなく自分の感想を書く。
好きでゲームして、オリジナルなチャート組んだり日本一取ったり。

でも、"納得"って言葉が厄介だな。
ここまでできたら十分と思えたら、簡単に成長を止められる。
追い求めたらどこまでも先があるけど、いつまでも辿り着かない。
好きなことなら低いハードルで終わりたくないし、好きなことで悩み苦しみたくもない。
だからこそ、自分に合う納得できる線を引けという話なんだろうけど、それが簡単にできるもんなのかね?

でもとりあえず。
今のSNS時代の、再生数だ、♥の数だ、で自信を得ようといているのは、私から見ても、今昔亭三つ葉から見てもズレてるなぁという感想かな。

自分で自分を"よし”と言ってやれる、それはまさに自己肯定感。
いいこと悪いこと全てに目を瞑って肯定するのではなく、
好きも嫌いも得意も苦手も受け入れた上でどう生きていくか考える。
そんな簡単なことではないけど、生きなくちゃ。

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