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村田沙耶香さん『丸の内魔法少女ミラクリーナ』を読んで

旅先。
温泉旅館に泊まりに来ているが、移動中や部屋の中ですることは読書しかない。
持ってきていた読みたい本を読み終えてしまい、帰りの移動はどうしようかと立ち寄った本屋さんで購入。
『丸の内魔法少女ミラクリーナ』
村田沙耶香でこれならアタリ確定だろう。

村田沙耶香さんは『マウス』『コンビニ人間』を読んでの3冊目。
夢中で読み進めるけど、頭が痛くなってくる。
この人の表現する世界の歪みを、私は受け入れられないのだろう。
短篇集なのでそれぞれに感想を。
だが、あんまり書きたくないので短く切り上げよう。

丸の内魔法少女ミラクリーナ

表題にもなってる作品。
あまりにもビックリなタイトルで、これに惹かれて買いました。
村田沙耶香の描く魔法少女はいかなるものなのか、すごく気になります。

ここでいう魔法少女とはつまり厨二病で、心の中の人格と設定で現代社会を賢く生きる術だった。
あー、これなら私もたまにやるかもー。
便利な生き方だと思います。

とか思ってたら後半、物語の歯車が狂いだします。
どうして狂ったのか、なにが悪かったのか、よく分からないけど狂ってしまった。
狂ってしまった歯車を主人公たちは自力で治すことに成功するので、最後はハッピーエンド。
読後感は良好。
これだけなら頭を抱える必要はなかった。

秘密の花園

シチュエーションが狂ってるけど、目的は明快で分かりやすい。
初恋を拗らせるっていってもこうはならんやろ。
いや、なるのか・・・?

最後のオチは「なるほどね。」と分かりやすくまとまって良かった。

無性教室

少しずつ、村田ワールドの沼に浸かっていく感じ。
前の話も苦しみながら読んだが、後半2作はもがき苦しみながら読んだ。

今の世界と比べて「何かが欠落している」ことが当たり前になる世界。
個人的に『性』に関して敏感になっているので、刺激的な作品であったがわけがわからなかった。
「性を押し付ける風潮から脱しよう!」としている世の中の動きには気持ち賛同しているが、「性を意識しない世界線」なんて私には考えられない。

だからこそ、『性』について悩み苦しむ生徒の奮闘を見て、すっきりするかと思ったら大間違い。
「どうして?」が最後まで私につきまとう。

変容

流行りというものは嫌い。
嫌いというよりどうでもいいが正しいか。
自分の好きなもの、気に入ったものを求めるだけで、それが流行りになっているか逆に向かっているのかなんて本当にどうでもいい。

「流行りっていうのは誰かが作り出して〜」みたいな話はよくあるし、それを管理するみたいな話もまぁあると思う。
この作品が問題なのは、「人格すらも流行り廃りにしてしまおう。」という過激な発想。

言語というのは時代とともに移ろう。
「エモい」なんて言葉が出てきて、きっとその人達が表したい感情が短くまとまったいい言葉なんだろうと思う。
「表したいことを言える。」ことはとても大事。

でも「人格」はどうなんだろう。
複雑な感情を表す言葉ができたら、人格すらもコントロールされていくのだろうか。
それとも、考え方が先にくるのかな?
アンガーマネジメントとか新しい敬語で、確実に日常生活は変わっている気がするけど、人格までもが変わったと言えるのか。
それともこれから変わっていくのか。

「人格」という言葉が広いし重い言葉だと思っているので難しいなぁという感じ。

まとめ

この本で読書感想文を書けと言われたら本当に困る。
緩やかに狂っていて、話題もセンシティブ。
でも、だからこそ、読んだ後の自分の気持ちを言語化することは価値があると思う。
型にはまった感想文を書けってなったら断るけど。

好きなのは『丸の内魔法少女ミラクリーナ』。
心の中に力強い味方や理想の自分がいるって日常生活でかなり有用だと思う。

私の場合は『金色のガッシュ!』という漫画のガッシュ&清麿ペアを心の中に飼っている。
悪を許さず友を大切にし、正義のために熱く激しく戦うが、頭は常にクールで切れ者。
辛くて挫けそうなとき、彼らだったらどう立ち上がるのか考える。
苦しくて悩んだとき、彼らだったらどのような答えに向かってあるき出すのか想像する。
彼らが私の心の中にいる限り、きっと私は強く生きることができる。

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