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杉井光さん『世界でいちばん透きおとった物語』を読んで

本屋で平台に積まれていて気になった。
『神様のメモ帳』の杉井光さん。
高校生の時、ドハマりしたんだよなあ。
気になって飲んだドクペの味は未だに忘れられない。
コーラの方が美味しいし、人気だし、でもドクペの方が好きって感じ。
うーん、マイナー推し?してる自分酔い?

杉井光さんが『神様のメモ帳』以外のラノベを書いていたり、一般書籍の方でも活躍しだしたりっていうのは知っていましたが、「読みたい!!」と心が反応しなかったので距離を置いていました。

ですが、なんか、今回は気になった。
「読みたい!!」とまではならないけど、「読んでみようかな?」ぐらいの気持ち。

どうせこの記事に辿り着くような人は、「まだ読んでません!」って人はいないと思っているので、ネタバレなど気にせずに思ったことをつらつら書きます。

私は本のページの裏地に透ける文字、あれ好きなんです。
読もうなんで無粋なことしないし、目に入ってきて集中力がーなんてこともない。
ただ、無意識に、
「自分、本読んでるんだなぁ。」とか、
「あ、次のページ、文字少ない。章の終わりかな?」
みたいなことを思っているのかなと思います。
ちなみに私は、文字の上からでも気にせず裏地の文字を認識するので、トリックには霧子さんのヒントがないと気づけませんでした。

それを活用というか、悪用というか、「ここまでやりきったらどうなるだろう。」と突き詰めるっていう心意気にすごく感動しました。
涙が出る感動ではなく、「おおう、すげぇな。やりきれるんだ。」みたいな感動。
突き詰めたやりこみには、何か人を魅了するものが宿るものなのです。

私はゲームが大好きです。特殊なやりこみプレイで日本一、世界一の記録も出しています。
そういったゲームのやりこみプレイって自分でやるのも楽しいし、人のやりこみプレイを見たり記録を読んだりするのも楽しいです。

『世界でいちばん透きとおった物語』には、作者が自分に課した「ここまでやれたら凄い」に見事打ち勝った感動が眠っていました。

このトリックのせいなのかどうなのか分かりませんが、トリックを除いた物語としての魅力は、正直そこまで感じられませんでした。

「宮内彰吾が作った物語が今読んでるこれなんだろ?」って思って序盤から読んでいたので、物語を物語として読めていない可能性もあります。

ミステリ作品って知って読んでしまうと、ミステリを解いてみたい気持ちや違和感の謎が頭をよぎってしまう感じで、登場人物に感情移入したり思い耽たりすることが少ないんです。
逆にミステリと気づかずに読めると、真剣に登場人物に感情移入していて、ミステリの解き明かしに登場人物と同じように驚いたり感動したりできます。

だから、帯に「トリックが〜」とか書かれると真剣に困ります。
読みたくなくなります。

最後に2点、まず霧子さんについて。
素敵です。魅力的です。不思議な人です。
情報が足りないのでどんどん美化されていきます。
とっても好きです。
ですが、なぜだろう。
人間臭さが無くて違和感が残ります。

2点目、「」内の末尾に句点や感嘆符がないこと。
これは意図的なのか、過去の作品から杉井さんがやられていることなのか分かりません。
ですが、私の中では「変な感じ」が残ります。
あ、これは会話文や心内語ではなく、強調表現なので句点とかが無くても大丈夫なやつですよ。

きっとこれらにも私が気づいていない謎が隠されているんでしょうが、私は探偵ではないので分かりませんでした。

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