見出し画像

放送後記 『ちゃぶ台のラジオ』 _vol.2

まだ二回目?

第1回放送は思いのほか好評。それで気を良くした故の油断か...w

番組初のゲストはクリエイティブナッツ代表・若林 勇貴 さん。
約1年前にオンラインで知り合って以来、お互いの活動をチェックし、やりとりも増えるようになった。オフラインでの初対面は実は放送一週間前(!)で、『ちゃぶ台』に来てもらった。結局 5 〜 6 時間は話し込んだか...?
とても初対面とは思えない濃い時間となった。


またしても...w

ゲストとの対面も放送も2回目。前回の反省点改善のイメージを持って臨んだのだが...。

(都合により欠席のパートナーみゆちゃんに代わってツッチーPが座る)
が、音楽がかからない...(!)「これは恒例?」すかさずツッコミをもらう。もうさっさと始めるしかない。早々にゲストを紹介し、その場で新名刺をお渡しする予定だったのだが...

修正再入稿したことで納期も後倒し。放送当日に発送のお知らせが来るという...w そこで、デザイン職でない人には馴染みが薄いであろう、色校そのものを持参した。それはそれでツッチーPには新鮮だったようなので良しとしよう。こんど実物を受け取ってください。


先月話題に上った新聞の雑談。大幅に端折ってしまうが、
・新聞のデザインはほぼ完成形と言えるが「読む人にしか読まれない」と解釈すべき?
・それでも各紙違いはあって、普段読まない他紙は異常に読みにくい。
・例えば「子ども新聞」体裁が全然違うでしょ?
・もし「読む習慣のない人」が読みたくなる新聞をデザインするとしたら全く違うものになる可能性もある... 等々。

これを機に少し分析してみようかなと思ったので貼っときます。


(しかも雑談途中でかかってしまった...)無理矢理仕切り直しての曲紹介。
ハンバートワイズマン(ハンバートハンバート × Cool Wise Men)
「おなじ話」(天然色バージョン)

「デザインには理由がある」ということで、選曲理由を言語化するというルールを設けている。

よくある仕事のトラブル・作り手と発注側の言語障害やありえない修正指示... 作り手同士で話してるとまぁ「同じ話」になるよね...。

と話した。こればっかりは言い続けるしかない、という共通認識も。


プロモーションプランナーとは?

あらためてご紹介。

(ゲストプロフィール)  
若林 勇貴
1978年生まれ 埼玉県出身。
広告企画制作会社『クリエイティブナッツ』代表。
プロモーションプランナー 

大学卒業後、税理士を目指すも断念。その後、ある本との出会いをきっかけに、クリエイティブ業界への転身を決意。コピーライターとしてキャリアをスタートさせ、クリエイティブディレクター、プランナーなどの職を経て、2017年9月、独立を機に『クリエイティブナッツ』を設立。

現在は「プロモーションプランナー」のみならず、
ライター、デザイナー、動画クリエイター、広告コンサルタント、
ドローンパイロットなどマルチに活躍。


告知で「アートディレクター」と書いたら即「プロモーションプランナー」です!と訂正が入った。

何故プロモーションプランナーを名乗るのかを率直に聞いてみた。

創業時に「何の肩書きを以て戦うか」を考えた時(作るのはもちろん好きだが)クリエイターだとどうしてもプロジェクトの末端になってしまう.... そのレイヤーを少しでも上げようと考えた。クライアントとのパワーバランスの優位性や、企画から参入することがしやすくもなる。「プロモーションプランナーってなに?」との質問を誘導でき、必然的に初めから自身の強みを説明できる状況を作りやすい。言ってみれば「なんでも屋」なんですが...w

という。上位になれば当然、報酬のイニシアチブなども取りやすくなる。
なるほど。イラスストレーターの場合は「末端」の側になるから実によく分かるし、ちょっと羨ましい話でもある(ちなみに締切は先)。

実際仕事をしていて「上位」の企画がテキトーだったり詰めが甘かったりすると、どちらかが妥協を強いられたりと残念な仕事になってしまうことが少なくない(行政などはこの辺が決定的に弱い/足りない傾向 → 弱いのがダメなのではなく素直に弱音を吐いてアテにしてくれれば良いのにと思う)。


20代のドタバタなんて...

独立までの経緯を聞いてみた。

初めは税理士を目指していたものの、実は「数字が苦手」と自覚し半ばアレルギー状態に。そのときに出会ったプロフにも書かれている「ある本」にとにかく勇気づけられたそうだ。

どちらも大事だが、数字とは違う「言葉の暖かさ」を知って救われたことを実感し「コピーライター養成講座」の受講を決意。
ちなみに当時のバイトは高時給のパチンコ店。25歳でも心境的には「かなり焦っていた」(20代の諸君、焦る必要など全くない!)と言うが、30歳を過ぎてコピーライターになった人の話を読み「俺もまだ全然行ける!」と背中を押され、大きな一歩を踏み出した。


☆この日の目玉【拝島駅前商店会】

呼びたかった一番の理由はこの仕事だ。まずは見てほしい。

ローカル商店街とはちょっと思えない出来栄え(!)
ちゃんとしたディレクションとデザインが入り込んでいる好例だ。

【キッカケ 〜 依頼内容のその先を】
拝島駅前都市計画の記念に「商店街マップを作ってくれ」というオファーだったが「花火を一発打ち上げても本質的な地域活性にはほど遠い」と感じたと。確かにそのとおりなのだが、クライアント側がそれに気づいてないことは意外と多い。確信があっても押し付けるわけにも行かない...。

そこでまず、近隣エリアの商店街のイラストマップを自身の足でかき集め、提案と称してド直球の質問をぶつけた。

「このマップを見て、この商店街に《行きたい》と思いますか?」

「確かに頑張ってるんだろうけど、わざわざ行こうとは思わない。」
予想どおりの回答を引き出し、そもそも商店街マップは来てもらわないと何の役にも立たないという課題を浮き彫りにした。


【拝島駅の現状とポテンシャルを《ちゃんと》自覚してもらう】

もうひとつは、地元のことを当事者が「客観的に知る」ということ。
以下は『拝島駅前商店会』のロゴマーク(若林さん作)とそのコンセプト。

画像1

拝島駅は多摩地区でも珍しくJR・私鉄の4路線が乗り入れ、駅を中心に行き先が6方向に延びるターミナル駅です。JR青梅線は立川方面・青梅方面へ、JR五日市線は五日市方面へ、JR八高線は八王子方面・高崎方面へ、西武拝島線は新宿方面へと向かいます。そこで商店会のロゴは、拝島駅を中心と捉え、人が行き交い、人が集まることを、6本の線で表現しています。また、3つのカラーにはそれぞれに意味が込められており、水色には地下深層水100%を使用した美味しい『昭島の水』、緑色には自然豊かな『多摩の緑』、黄色には恵みの太陽と明るい笑顔を表現しています。

お見事!一見すると「単なる色付きの六角形」でしかないそれにもちゃんと意味がある。
そして「ターミナル駅」という大事なポイント。現状は「乗り換えのため」の駅。つまり「必ず利用するけど改札を出てまで商店街になんて行かない」という人が大多数。

この「大多数」をいかにして呼ぶか?中にはご高齢や話の分からない人もいるかもしれない商店会の一人一人に「課題」を説明。他の商店街のいくつかの成功事例も併せて提示。

『拝島駅前商店会も、途中下車して寄りたくなる場所にしよう!』

という共有できる目標が生まれた。

【「3つの柱」と「キラーコンテンツ」】
目標のあとは具体的なアクションだ。その後のデザインワークもほぼ若林さんが手がけたそうだが、目指すゴール(今なお進化中ではあるようだけど)が明確になれば早いもの。地域活性における「3つの柱」をプレゼンした。

『継続できること』『希少であること』『話題になること』


そしてこの3つを揃えた『キラーコンテンツ』を作ろうと提案
行きたくなってもらうための「飛び道具」
その名も『拝島ハイボール』

画像2

・商店会内に飲食店が多い。
・K's BAR や 地元ゆかりの「石川酒造」の存在。
・拝島は都内唯一の「深層地下水」100% の自治体。
 (「水のロゴ」を作っていたり... 東久留米的にはホントに耳が痛い...w)
・拝島の「ハイ」と語呂が良い。

これも単なる思いつきではない。しっかりした根拠、拝島だからできる「希少性」「話題性」もある。そして何より数多い飲食店から提供可能。「継続」のハードルも比較的低い。(ちなみに自分もこの放送で知ったのだが、ハイボールは別にウィスキーだけではないらしい)
今度はこちらからお伺いして、拝島ハイボールで乾杯しましょう!


自分の選択は間違いではなかった。

田我流 & B.I.G.JOE 「マイペース」

独立前は病んでしまいそうなほど苦しみ、創業後もたびたび迷いが生じたりする… そのたびに「人生はたった1回」「やりたいようにやれ」とのリリックが突き刺ささり『やはり独立という自身の選択は正しかった』と思わせてくれる。なのでぜひみなさんにも聴いてほしい。との選曲理由。アツい!

日本語ヒップホップはやっぱメッセージが強いよね。

せっかくのリクエスト曲、事前に何度か聴いてきたのだけど、本番中のそれは(そこそこパニック状態)全然聴こえて来なかったw


今月の選書と告知

◯まず、とにかく「視て」ください。
・断面を幾何図形かすると、あのお菓子もこのお菓子も同じ色と形
・「ねじ」「グラス」... 一括りにされる者の中にも無数の色や形がある。
・外見しか馴染みのないものの断面の写真をたくさん。

等々、普段はまずしないであろう「ものの見方」をした写真・イラストを多数収録。何かしらの「なるほど」があるはずで、クリエイターであってもなくても普段我々が「いかにモノをちゃんと観察できていないか?」を思い知らされるハズ。間接的かもしれないが、こういった積み重ねが、いわゆる「閃き」や「気付き」のヒントになる。

そういえば(美大1年生アシスタント)みゆちゃんも、実践系の前に「観察」の授業や課題が多いとも。やはりすべてのスタートは「観察」からだと言ってほぼ間違いない。

◯そしてミキサー・かっか君からもひとつ告知。10代にしてインディーズレーベルのオーガナイザーとはスゴイ。
放送3日後(5/26)のリリースでした。


◯僕はとにかく話しても伝わらない相手にも分かる形で、地域や行政に関わる仕事の実績は特に、その都度紹介したいと思っている。要は「見せる」と言うことだ。


余談も含め... でも大切なこと

メールの質問に「やりがいとは?」「譲れないものは?」とあって、
『提案した成果物をクライアントに喜んでもらえること』
『自身が関わるからには期待以上のものにまで持っていく』
とそれぞれに回答。ご立派!
ちなみに「拝島ハイボール」は複数媒体でもたびたび紹介されている。
ツッチーP「情熱大陸も近いんじゃないすか?(笑)」

たくさん話をしてみて(分かっていたつもりではいたがそれでも尚)アウトプットの前にたくさんのプロセスを踏んでいる、何なら最後の「見た目」と同等かそれ以上にそれが大事なんだと強調した。そこを見ようとしないで表面の体裁や好き嫌いで判断してばかりいるから、ちょっと形が似てるくらいで、やれ「パクリだ!」とか簡単に騒ぎ立てることになるのだ。

「何のため?」「どうありたいか?」を問い、そのプロセスを踏んで、その結果「必然的に」出来上がったアウトプットは、そう簡単にヘタレないはずだ。デザインの仕事をする人もそうでない人も、そのプロセスを大事にする(あんまり追及しすぎると疲れちゃけどね...)姿勢はぜひ持っていてほしいし自身も忘れてはならないと思う。東久留米にもそういう人が増えた分だけ、きっと面白い街になっていく。


(順番が前後するが)カタカナ言葉が出た、相手に年配者がいる、との流れからツッチーPが最近ゴルフを始めた話題が出た。打ち方を教えてくれる人の言語、推められた YouTube 動画内での講師のゴルフ用語が悉く解らない... という体験を例に「どの業界であれ、解りやすい言葉で伝えてくれるだけで前進する」と。なにげなく飛び出した至言。全職種の人が心に留めておくべきところではなかろうか。実際若林さんも、初めて「コンテンツ」と発した時、先方は「???」状態だったという。

クリエイターにはやはり、個々の特性を知って活かしてくれるディレクター
・それを相手に伝えてくれる「翻訳者」が必要だ。
スポーツ選手と監督・通訳のような関係に近いか。いないのであれば、少しでもその役もできるようになるか、発注者側の理解を得るまで言い続けるか... 主にこの二択だと思っている。当然といえば当然だが、この番組がその一助となることを目指したい。楽しくやれる範囲で。

画像3


次回!(お試し放送最終回)

正直なところ、尺の見積りも甘すぎ、個人的には数日凹むくらい終始グダグダにしてしまった2回目の放送。だけど音源を聞き直してみて「デザイン職でない人代表」番組P・ツッチーが発する「なるほど」のまぁ多いこと。そこにある種の手応えも感じたし、実際「再放送お願いします」のメールやコメントもいただいた。(局の方、なんとかお願いします!)

次回は6/27(日)。
駄菓子屋店主にしてアートディレクターの 中村 晋也 さんをお迎えします。

『ちゃぶ台のラジオ』 〜みんなのデザイン〜
 6月27日(日) 20:00 〜 
 ゲスト:中村 晋也(ヤギサワベース/アートディレクター)
(※7月からは本放送!毎月第3月曜日 21:00 〜)

次こそはオープニングちゃんとキメます!


サポートいただけたらさらに嬉しいです。実製作も含めた更なる発信に活かしたいと思います。