放送後記 『ちゃぶ台のラジオ』 #4
ガッツリ2回分溜めてしまった...
冒頭に紹介した個展も個展会場からの生放送(次回)も終わってしまったという怠慢 。。恐るべし年末進行(と自身の体力低下)。
多摩エリアのクリエイターの間では結構な有名人!?
萩原修 さんのご登場。
実は『ちゃぶ台相談室』のお客様第1号(!)で、「まち」と「くらし」とデザインについてを悩み抜いて行動し、今なおモヤモヤし続けながら数々のアクションを起こしている大先輩。その年の差なんと15歳!という訳で、僕の15歳当時のアイドルの楽曲を選曲!
(実はこれがスカアレンジでカッコイイ!※動画ナシ)
1曲目:小泉今日子/「涙の行方」
一言して「何屋さん?」
萩原 修
プロジェクトデザイナー。武蔵野美術大学/視覚伝達デザイン学科 卒。
「シュウヘンカ」共同代表。「明星大学デザイン学部」教授
大日本印刷(10年)、リビングデザインセンターOZONE(10年)でのキャリアを経て、2004年 〜 デザインを活かしたプロジェクトを立ち上げ育てる『プロジェクトファーム』という活動をスタート。「つくし文具店」を拠点に「中央線デザインネットワーク」「国立本店」「西荻紙店」「てぬコレ」「コド・モノ・コト」「かみの工作所」 「テラダモケイ」「かみみの」「3120」「モノプリ」「ペプ」「旭川木工コミュニティキャンプ」「東京にしがわ大学」「クラフトセンタージャパン」などの活動にも参加。デザイン、地域、学びを考え、東京郊外で、活動する。 著書に「9坪の家」「オリジンズ」「デザインスタンス」「コドモのどうぐばこ」など。
とりあえず「つくし文具店」のリンクを。
今年に入って『デザインディレクター』(全てがそうではないが「プロデューサー」だと胡散臭いイメージがあるからと避けてw)を名乗るように。
基本的には「クライアント仕事はしない」と決め、かと言って自主的に何か創業とかビジネスするでもなく、デザイナー(やそれ以外の何人か)と一緒にプロジェクトごと企画する、みたいな動き方を見出し、更新しながら今なお動き続けている。実は僕には(企画屋ではなく職人の立ち位置なせいか...)正直まだピンと来ていない...
だから今後も修さんと関わって人に伝えられるくらいに、地元でこんな動きができるようになるか、すでにやっている人に出会えるようにアンテナを張っておきたい。
【つくし文具店】 「住宅しかない」住宅街への違和感
国立駅北口から徒歩20分ほどのご実家は文房具屋さんだったそう。
「つくし」はお母様の旧姓とのこと。
2社・20年に渡るデザイナー・ディレクター職を経たあと「地元でなんかやりたい」程度の動機ながら、結果的に「後を継ぐ」という形でフルリニューアル。ドリルデザイン さんのプロデュースによる、僅か3坪、駅遠の住宅街という立地ながら、知る人ぞ知る店に。他県や韓国・台湾などから来てくれる方までいるのだとか。
もともとご近所さんに対して、という発想がなかった。というのも住宅に関するデザインをしていた頃から「日本の各一的な住宅街の雰囲気」と「都心に仕事に出て寝るために帰る」生活スタイルが気持ち悪くて仕方がなかったから。他所の土地から人が来て交流する場にしたい、という目的もあった。
「わらしべ長者」的に
しばらくして「なぜそこまで多摩にこだわるんだろう?実際仕事もないし...」とちょっとした行き詰まりを感じたのだという。
そんな時に「シブヤ大学」の姉妹校的な構想で「東京にしがわ大学」をやってみない?という話が来る。
「中央線デザインネットワーク」(現在休止中だが自身で立ち上げ)然り、
「ののわ」「小さなデザイン教室」(10年目)なども、それ以前から関わっていたプロジェクトがきっかけで、予測不能なまま次々と繋がった結果いまの立ち位置なだけ。なんなら隙あらばどこかに移っても良い、くらいの思いもあるのだそうだ(意外!)。
片や自分の話になるが、イラストレーターとして仕事する傍らで「イラストレーターだけとしか繋がらない(それはそれで大事なのだけど)」状況に不安を感じ始め、地域に根ざした動きをする人、地域とクリエイティブの接点を見出して活動をしてる人との関係を築けないかと意識するように。そこで出会った人たちが、結構な割合で修さんとも知り合いだったりした。
そしてこのコロナ禍。行きたくても他の土地に行けず、みんなが地域に目を向けざるを得なくなった。どう考えても地域で物事が回る方が良い。
そこはホントに同感である。
教育現場と先生の影響
(普段音楽は殆ど音楽は聴かないという修さんに無理矢理選んでもらった)
2曲目:RCサクセション/「ぼくの好きな先生」
選曲理由として、忌野清志郎さんは自身の10年ほど前に同じ幼稚園を出たと。(修さんは小・中学校は私立だったが)地元の先輩ということになる。
ガッツリゆかりの地で育ったらしい。
ここで出てくる「先生」は美術の先生。修さんがのちにデザインの道に進むキッカケになった中学高校時代の美術の授業。その時のカリキュラムの監修が実は故・柏木博 氏(※デザイン評論家・放送時はご健在)だったと。
つまり自身でも気付かずに柏木さんの影響を受けていたことになる。
僕も学生時代に一度、柏木講義を受けたことがあって、それがものすごく面白かったのを覚えている。余談だが、つくし文具店の近くにお住まいだったそうで、奇しくも第一号のお客さんだったそうだ。(羨ましい!)
折に触れて発言しているが、小中学校の図工美術の授業はなんとかした方が良い!何なら小5くらいから「デザイン」という教科をぶっ込んでも良いくらいだと個人的には思っている。
2000年以降のデザインの急激な変化
大学で教えるようにもなって、そのことに気づき始めたと。
具体的に大きくは、
・インターネットの発展と普及
・社会課題が浮き彫りになり、その解決にデザインという気付き
・いわゆる「デザイン思考」という言葉が使われるように
(現場のDTP 化も外せないがここでは「考え方」の話なので)
そこに修さんが持って来てくれた書籍。
著書の中でイタリア人は「生活をよくするため」にデザインがあると当たり前に思っていて、ごく自然に生活とデザインが密着しているとある。一方の日本は、産業的・商業的なところにデザインが使われていて「生活は二の次」となっていないか?(実際「専門家だけのもの」になり下がっているというのはものすごく感じる)その「生活」を突き詰めれば、最終的には政治とも切り離せなくなってくる。という内容。
適切な人・適切なタイミング・適切な意識
「暮らしを良くしたい」
たぶん誰にとっても大事なテーマのハズだ。そこまで広い話ではなくても「今日何を食べるか?」どこかに行くにしても「徒歩か車か自転車か?」
考えることは無数にあって、なぜか日本においては「デザイン」と結びついていない。その辺がもどかしいワケだ。
基本的には「方向性・ビジュアルのイメージはがある程度固まって」フィットした場合に初めて仕事がくるイラストレーターという仕事。そのやりにくさを感じる時、それは先方に「どうしたいか」がない時で、そのモヤモヤを共有できた。
自分でできるならやってみて、苦手なところは専門家に頼む。もちろん「どうしたいか」を自覚した上で、その適切な人を選べるか?条件やタイミング或は当事者意識、そこが合わないと良いものは生まれない。
「手抜きはしたくないクリエイターだからこそイライラするんだよね。」との言葉に少し救われた。
確かに「《仕事》だから向こうがOK とさえ言えばそれでいいや」的マインドだったらそんなにイライラすることもない。
政治の話が出たついでに...
奇しくも放送日は衆議院選挙の告示日。その朝に出た動画の話が少し出た。
「投票率が低い」という課題に対しての一つの回答で、実際にこのプロモーションに後押しされて投票した人もいただろう。
反面、あくまで「投票に行こう!」という主張に留まる「寸止め感」にそれはそれでモヤモヤする。と修さん。
「政治と宗教の話はタブー」という使い古された言い回しはもはや
「日本はそういう話はダメって宗教を持った国?」とさえ思ってしまう。
併せて投票行動と切り離してもズラッと並んだ掲示板のポスターを(名前と文字のバランス・見やすさ・ちゃんと伝わってくるか?など)の視点を持って見比べてみるのも面白いよ。とリスナーに提案。
ただ危険なのは「多数決」という仕組みである以上、安易なマーケティング視点が乱用するのでは... みたいな非本質的なことにならないか?とも。
要するに「伝えたいことが伝えたい通りに伝わるビジュアルか?」という点に尽きるのだけど、残念ながらこのへんの「話通じない感」に途方にくれてしまうことが多々ある。という訳でこの楽曲をチョイス。
3曲目:ハナレグミ 「そして僕は途方に暮れる」
「デザイン」という言葉なんて...
まぁ予想どおり全然話したりない...w
いつもの「ミッション」について聞いてみた。
日々生きている以上、避けて通れないもの。であるならば誰でもある程度向き合った方が良い。緩やかにそこに向かっているのは感じるけど、まだまだやるべきこと山ほどある。
CM中に僕が発した「教育が大事」というワード。そこにも修さんは「とても重要ではあるけどそれだと現役世代を諦めることになる」「今やりましょう!」と叱咤激励をいただいた。わざわざ「デザイン」なんて言葉を使う必要がなくなった時が「デザインが浸透した」と言える時なのかな。
最後に「ちいさなデザイン教室」の告知をいただいた。
それを受けて、実際にお邪魔するか、東久留米から人材を送り込むかしたいと発言。のちに僕個人で「ちいさなデザイン教室 11期」の申し込みをしました。その動きも楽しみです。
(大幅にリリース予定を超過したので 11月の告知ナシ)
次回は 12月20日(月)21:00 〜
ゲスト:糸見 仁志(クリエイティブ・ディレクター/Ultra Super New)
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