見出し画像

狂気について

「人間の思考とは支離滅裂で
理屈通りには行かないものです。
これに仏ならどう答えられますか?
仏像は答えているような無視しているような
そんな態度でいるように私には感じられます。
娑婆はそんなにありがたくもない世界なのです。
だから出離のことが大事なんだと。
そう思えるはずです。」
「なるほど。
よく分かりました。
ではこの世界はゴミ捨て場だと、捨て鉢だと
そう考えても良いのでしょうか?
だから離脱とか解脱とかが
大事なのでしょうか。
この世は所詮、ゴミ捨て場、ありがたいものではない。
溜まっているのはありがたいものではなく、
しょうもないもので、綺麗なものではない。
ただいじけて、汚い残骸が残っているだけ。
綺麗なものは既にそこになく、跡形が誰かの記憶にあるだけ。
そう考えてよいのでしょうか?」
「でも、それは問題ですよね。
現世に生きる意味を否定していますよ。
では自死したらいいのですか?
それとも娑婆に留まるべきですか?
分かりませんよ。全く。」
「だからタイトルに書いてある通りです。
全くの狂気ですよ、こんなのは。
でも、真実がどんなか、それを私は知りません。
現世に生きることがありがたいことか、そうでもないか、それとも、無意味なことか。
それは私は知らないことです。」
「そりゃそうでしょう。
何でも仮託できるんですよ。
つまりまとめると現世とは残り物が渦巻く汚い世界であり、
そこからの解脱を願うのが仏教ではありますよね。
だから現世を生きる意味などないと。
これは無常ですらありませんね。
現世は常にゴミ箱なのですからね。
つまり無明ですね。
こんなの罰当たりじゃないですか。
現世に生きることを否定しているのですよ。
怒るべきじゃないですか?」
「全くだ。
呆れてものが言えないぞ。
現世はありがたい世界で
そこに生きていられるだけで感謝しなければいけないと。
誰かがそう言っていたぞ。
私は心底からは信じられないが、
しかし、これはこれで教条的で好きじゃないな。
生きることはそんなありがたいことか?
ただ死ぬに死ねないだけではないのか?
それなら何故に生きるのだ?
分からないではないか?
それに元気に生きている人はどう思考しているのだ?
多少、不元気な俺には理解できないぞ。
どう説明できる?
前述の範囲はうまく説明できているのにな。
これも他力本願が必要だとそういうことか。
つまり他力とは自力でもあるのだが、
つまりそれが元気の元か?
教条主義とか教戒主義では分からない、
この世界の本質を教えてほしいものだ。」
「元気で毎日、日課に事欠かず、
苦しみを見るものに感じさせない者は
愛に恵まれたものだろうか。
自らを愛して、自ら他者を愛して、
他者に愛される、
それは理想的に美しくはある。
確かにそうだ。
でも、まだ娑婆の臭さが抜けきらない。
話は変わるけど、四苦八苦のように
病や老化を醜いものと考えるなら、どうだ?
それだけでもう全くありがたくないぞ。
しかし、道元禅師も言っていた。
小虫ですら子供のために醜くなっていくことを
喜びとするとか。
学道用心集に書かれていたぞ。
老化しないものなどない。
また寿命が尽きぬものなどない。
この世界の住人だけではなく、
この世界自体もそのもののはずである。
つまり、すべては死すべき運命なのだ。
それは分かっている。
しかし、何だ。
よく分からなくなっきたな。
何だ。狂気か。
でもこの文書は狂気の沙汰か?
珍しくもないだろう、この程度。
普通の仏教的価値観を書いて、広めようとしているだけだ。
その本願は知らないが。
でも最期まで元気で若々しくいられる方が
いいだろう。
やっぱりそうだろう。」
「違わない。
しかし、死ぬ訳にも行かないんだ。
日本では安楽死は違法なんだ。
だから、死ぬに死ねない、そんな奴も少しはいるかもな。
でも、ほとんどいないだろう、そんな奴。」
「馬鹿馬鹿しい!」
「お前は世間のことが何も分かっておらんな。
馬鹿かこんなものを書いて。
で、何だ?何が言いたい?
娑婆は捨て鉢だとな?
つまり、世界はゴミ捨て場だと言いたいのか?
まあそう感じるならそうなのだろう。
お前の自由だ、好きにしろ。」
「お待ち。
そんなことはお前にも関係ない。」
「はあ。
そうでしょうか?
分からないですわ。
分からない、分からない。
世界のことなんて分からない。
みんな誰かの言ったこと、書いたことに影響されすぎるから。」
「でもやはり俗世間ほゴミ捨て場だ。
出離は速やかがいいぞ。
さっさと立ち去れ。」
「でも死ねないよ。
死にたいの?
死ねば自由になれるか?
分かるか?」
「分かりません。
分からない、分からない。
何もかもが分からない。」
「パラダイムシフトって奴?
パラドックスだっけ?
それとも?」
「いい加減にしてくれ。
やはり娑婆はゴミ捨て場だ。
お前はそこから生まれてきたか?」
「そうか?
人によってはそうかもな。
でも俺は肯定したくない。
でも言葉にしたくもない。
理由は分かるか?
分かるなら教えてくれ、
この俺に直接、告げてくれ。」
「それが終わるのが嫌なのだな。
そりゃそうだよな。」
「でも、人間、先のことは分からないものだよ。
どうなると思う?
自分の最期を思い浮かべたことはあるか?
それが満足いくものだったか?
でもなく、不満の湧くものだったか?
不満が湧くものだったとして、
その運命は変えられるだろう。
でも、どうやったら未来が変わったと分かる?
それは最初からないものだった。
お前には何か感じられたかもしれないが、
その跡形は有効か?
どうだ?
分からないだろう。」
「ああ、分からない。
狂気なんてそんなものだな。
大したことはない。
まるで大したことがあるように世間は言うが、
世間は世間知らずなのさ。
そんなもんだろ。」
「そうか。
そうだな。
とりあえず終わろう。」

もしよければサポートお願いします。 頂きましたサポートはクリエイターとしての活動費用に用立てます。さらにクオリティの高い記事を書けるようサポートよろしくお願い致します。