見出し画像

キック動作における効率の良いテイクバックへつなげるトレーニング

多くのサッカー選手を悩ませるケガの1つに股関節周囲の痛み鼡径部痛症候群グローインペイン があげられます。
キック動作が多いサッカーにおいては、股関節に負担がかかりやすくケガをするリスクが非常に高いです。

グローインペインに対するトレーニング方法やリハビリ方法などはこれまで様々な記事を書かせていただきましたが、今回はキック動作で重要なテイクバックについてまとめていきたいと思います!

キック動作におけるテイクバックと必要な機能とは?

キック動作とは?

サッカーのキックフォームは、以下のように分解することができます。

スライド内画像「スポーツ理学療法学」より引用

テイクバック(バックスイング)と呼ばれるタイミングは、上図の中では①〜②のタイミングを指します。

この動作は、簡単にいうと蹴り足を力強く前方へ振り抜くための力を蓄えるための準備動作です。力強くボールをインパクトするには、股関節前面の筋肉から腹筋群など体幹筋群を最大限伸ばし、その反発力を利用することが好ましいとされています。

そのためにも、股関節を最大限後方へ引ける可動性と上半身を反対側へ回旋させて胸を張れる可動性(クロスモーション)が求められます。

中には、このテイクバック動作が適切に行えていないことが原因で股関節痛に悩まされてしまう選手もいます。
キック力などのパフォーマンスの観点から見ても、股関節痛予防の観点から見てもテイクバック動作に必要な股関節の可動性を最大限引き出すことは重要と考えられます。

グローインペインで悩む選手たちのテイクバック動作の特徴

仁賀は、股関節に負担をかけないキックフォームの要素として以下のことをあげています。

参考文献「グローインペインに悩む男性サッカー選手の身体特性」より

さらに、グローインペインに悩む選手や既往歴のある選手たちの身体機能や実際の動作を解析したさまざまな研究では、以下のようなことが指摘されています。

参考文献「鼡径周辺痛既往歴者のインステップキック動作解析」より

テイクバック時には、漠然と股関節を後方に引く(伸展させる)だけでなく、外方向へ開いて(外転)ひねる(外旋)ような3次元的な動きが求められます。
また、このような股関節の動きに対して、上半身も反対側へひねり胸を張ることで(肩甲骨の後傾)股関節に負担をかけることなく円滑な動きをサポートすることが可能となります。

股関節痛に悩む選手の多くは、股関節の動きと上半身の可動域制限が原因の一つと考えられています。そのため、股関節痛の改善及び予防にはこれらの可動域を改善させる必要があります!

効率的なテイクバックに導くトレーニング

テイクバック時に必要なクロスモーションの制限因子は、股関節伸展(足を後方に引く)可動域制限や胸椎回旋(上半身をひねる)可動域制限が考えられます。

また、股関節周囲の筋力低下も股関節の可動域制限に繋がります。これは、筋力低下によって股関節が自由に動けるレールから脱線してしまうからと考えられています。

そのような筋力低下や可動域制限がある中で、テイクバックに必要な動きを反復練習しても、動かない部分をかばいながら動かすため、さらなるケガにつながる危険性もあります。そのため、反復練習の前に可動域を拡大していく個別のトレーニングが必要となります。

|腸腰筋ストレッチ

腸腰筋は股関節の前面にある筋肉で、股関節を後ろへ引くためにはこの筋肉の柔軟性が求められます。また、この筋肉は股関節の軌道を調整する役割もあるため、十分に働きやすい状態にしておく必要があります。

|股割りストレッチ

股関節を後ろへ引くだけでなく、外に開くことやねじることができるようにする必要もあります。背中と骨盤の動きも連動させることでより可動範囲を拡げていきます。

|クラムシェル

このトレーニングと次に紹介するトレーニングは、腸腰筋と同様に股関節の軌道修正に欠かせない筋肉です。これらの筋肉の機能が低下すると、股関節の不安定な動きによって股関節周囲の筋肉や関節を包む膜などを傷つけ、痛みにつながる危険性があります。

|小殿筋トレーニング

このトレーニングでは、うまく足を開くことができない人も多いかと思います。もし、サッカーをやられている選手であれば、インサイドキックをする際の足の動きをイメージしながら行うと馬空後帰るようになるかと思います。

|シンボックス

これは、背骨と骨盤の動きも連動させて行うトレーニングになります。このnoteでもお話ししたように股関節は単独で動いているわけではなく、背骨と骨盤の連動があるから自由に股関節を動かすことが可能となります。そのため、上半身の動き(反動)を意識しながら立ち上がるようにしましょう。

まとめ

今回は、股関節痛を予防する上で重要なテイクバック動作について股関節の可動性に焦点を当てながら進めました。

テイクバック時の股関節の可動域に対する重要性は認識している方も多いかと思いますが、実際にどう解決していけばいいのかわからず悩んでしまう方も同様に多いかと思います。

単純にテイクバックの動きを反復することで改善する場合や軸足の安定性のを向上させることで股関節痛の改善につながる選手もいます。しかしながら、股関節の可動性に問題を抱えている選手も多いため、今回の内容をひとつ参考にしてもらえると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?