オンライン授業のユニバーサルデザイン♯12「顔を出して話したい授業動画」
オンライン授業ではPowerPointなどのスライドを画面共有して話すことが多いのですが、話し手である教員の姿を映すことも大切です。よくあるテレビの“ワイプ”のように、スライドだけでなく顔が映っている方が受講者には伝わりやすく、集中できるようです。
オンライン授業が始まった当初、PowerPointのナレーション機能を使った「スライドと音声のみの授業動画」が多かったです(※バージョンによっては録音と同時にナレーターの顔を録画する機能があります)。
この音声だけのスライド動画は、実のところ学生にはかなり不評でした。やはり声しか聞こえないというのは不気味ですし、集中力が続きません。話している教員の顔が見えることが程よい緊張感になるようですし、なにより教員の人柄を感じてもらうことも大切なのだと思います。
昨年、発達障害のある学生さんで、教員の顔が映らないPowerPoint動画のオンライン授業が日々続いていたところ、徐々に現実感がなくなり、だんだん「この教授は現実に存在するのか?」と離人症的な症状が出てきたケースを聞きました。様々な要因が複合した一過性のストレス障害と思われますが、やはり音声だけのスライド動画は避けるべきです。
さて教員の姿を動画に含む場合、ノートパソコンのインカメラ(ディスプレイの上部についているカメラ)を使うと、画面いっぱいに顔が映ります。そのため表情はよく伝わるのですが、どうしても教員を仰ぎ見る視点になりますので威圧的な画角になります。また身振り手振りなどのジェスチャーが画面に入りにくいです。
ジェスチャーがある方が説明が伝わりやすくなります。3本指を示しながら「ポイントは3つあります」と伝えた方が入りやすいし、「〜グラフから分かるように、年々右肩上がりで増加しています〜」という説明は、右肩上がりのジェスチャーを加えた方が説得力が出ますし、メリハリを持たせ分かりやすくする効果があります。可能ならばジェスチャーも入るよう、上半身全体が映るようにカメラセッティングした方が良いでしょう。
オンライン授業では、教師と受講者の距離がある分、少しでも伝わりやすくするために、表情やジェスチャーを大げさにする方が良いと思います。そのためのカメラセッティングを工夫してみてはいかがでしょうか?